HOME ニュース、国内

2021.04.30

金井大旺が110mH13秒16の日本新!競技人生の集大成となる東京五輪のファイナルへ大きな一歩/織田記念
金井大旺が110mH13秒16の日本新!競技人生の集大成となる東京五輪のファイナルへ大きな一歩/織田記念


◇織田記念(4月29日/広島・エディオンスタジアム)

サトウ食品日本グランプリシリーズの織田記念が行われ、男子110mハードルは金井大旺(ミズノ)が優勝した。自身が昨年マークした13秒27を上回る衝撃の13秒16(+1.7)。高山峻野(ゼンリン)が持つ13秒25を更新し、日本人初の13秒1台突入となる日本新記録で東京五輪の参加標準記録(13秒32)を突破した。アジア歴代では、あの劉翔(中国)に次ぐ2位に入り、今季の世界ランキングで3位という快記録でもある。

「想定していた記録をはるかに上回っていたのでとてもビックリしています」。いつも通り冷静に淡々と話す金井だが、その表情からは自信が満ちあふれていた。力強いインターバルランと踏み切り、そして流れるようなハードリング。1.7mという追い風に乗って他を圧倒した。

4月17日の法大競技会で初戦を迎え、13秒36(+1.3)と上々のスタートを切っていた。金井。冬季で「ウエイトトレーニングの質と量を増やしつつ、その出力をスピードトレーニングにつなげてきた」と言い、3月の室内60mハードル、そして屋外初戦と「中盤は良かった」と手応えがあった。一方で、「スタートが完璧ではなくて1、2台目で浮いてしまっていた」という。決勝では、「(力が)上にいくことなく、前に進められた。今回やっと噛み合った」と好記録の要因を分析。これまで以上のスピード感にも「ブレーキすることなく、すごくいいレースだったと思います」と納得の表情を浮かべた。

覚悟の冬を過ごした。金井は東京五輪を競技人生の集大成とし、今シーズン終了後には父の跡を継ぐため歯科医師を目指して進学すると決めている。日々の練習に加えて、「習慣化しないといけない」と毎日机に必ず向かうようにしているのだという。この冬は「1日、1日の重さを感じながら取り組んできた」と言い、「もう一度この冬季トレーニングができるかと聞かれてイエスとは言えない」というほど追い込んだ。「区切りをつけてやっているからこそ、この記録につながった」。どれだけの快記録を出しても、競技引退を覆すつもりはない。

目指すのは東京五輪のファイナル。13秒1台はまさにワールドクラスで、準決勝でマークすればほぼ間違いなく決勝へと進める記録であると同時に、メダルも射程圏内に入る。「決勝進出のラインをクリアできたので記録の面では良かった」と話すも、「今回は追い風に乗った。風がない中でもコンスタントに記録を出せるようにしていきたい。五輪の準決勝で13秒1台の動きができるように。まずは日本選手権で3位以内に入って出場権を獲得したい」と身を引き締める。これまで、110mハードルで五輪・世界選手権のファイナルにいった日本人は、いない。ハードル人生の最終章。歴史に名を刻む壮大なストーリーはいよいよ仕上げに入る。

広告の下にコンテンツが続きます

2位に入った泉谷駿介(順大)も自己記録を0.03秒更新する13秒33(日本歴代3位)で、東京五輪の参加標準記録に0.01秒に迫った。

かない・たいおう/1995年9月28日生まれ。北海道函館市出身。函館ラ・サール高→法大→福井県スポーツ協会→ミズノ。

◇織田記念(4月29日/広島・エディオンスタジアム) サトウ食品日本グランプリシリーズの織田記念が行われ、男子110mハードルは金井大旺(ミズノ)が優勝した。自身が昨年マークした13秒27を上回る衝撃の13秒16(+1.7)。高山峻野(ゼンリン)が持つ13秒25を更新し、日本人初の13秒1台突入となる日本新記録で東京五輪の参加標準記録(13秒32)を突破した。アジア歴代では、あの劉翔(中国)に次ぐ2位に入り、今季の世界ランキングで3位という快記録でもある。 「想定していた記録をはるかに上回っていたのでとてもビックリしています」。いつも通り冷静に淡々と話す金井だが、その表情からは自信が満ちあふれていた。力強いインターバルランと踏み切り、そして流れるようなハードリング。1.7mという追い風に乗って他を圧倒した。 4月17日の法大競技会で初戦を迎え、13秒36(+1.3)と上々のスタートを切っていた。金井。冬季で「ウエイトトレーニングの質と量を増やしつつ、その出力をスピードトレーニングにつなげてきた」と言い、3月の室内60mハードル、そして屋外初戦と「中盤は良かった」と手応えがあった。一方で、「スタートが完璧ではなくて1、2台目で浮いてしまっていた」という。決勝では、「(力が)上にいくことなく、前に進められた。今回やっと噛み合った」と好記録の要因を分析。これまで以上のスピード感にも「ブレーキすることなく、すごくいいレースだったと思います」と納得の表情を浮かべた。 覚悟の冬を過ごした。金井は東京五輪を競技人生の集大成とし、今シーズン終了後には父の跡を継ぐため歯科医師を目指して進学すると決めている。日々の練習に加えて、「習慣化しないといけない」と毎日机に必ず向かうようにしているのだという。この冬は「1日、1日の重さを感じながら取り組んできた」と言い、「もう一度この冬季トレーニングができるかと聞かれてイエスとは言えない」というほど追い込んだ。「区切りをつけてやっているからこそ、この記録につながった」。どれだけの快記録を出しても、競技引退を覆すつもりはない。 目指すのは東京五輪のファイナル。13秒1台はまさにワールドクラスで、準決勝でマークすればほぼ間違いなく決勝へと進める記録であると同時に、メダルも射程圏内に入る。「決勝進出のラインをクリアできたので記録の面では良かった」と話すも、「今回は追い風に乗った。風がない中でもコンスタントに記録を出せるようにしていきたい。五輪の準決勝で13秒1台の動きができるように。まずは日本選手権で3位以内に入って出場権を獲得したい」と身を引き締める。これまで、110mハードルで五輪・世界選手権のファイナルにいった日本人は、いない。ハードル人生の最終章。歴史に名を刻む壮大なストーリーはいよいよ仕上げに入る。 2位に入った泉谷駿介(順大)も自己記録を0.03秒更新する13秒33(日本歴代3位)で、東京五輪の参加標準記録に0.01秒に迫った。 かない・たいおう/1995年9月28日生まれ。北海道函館市出身。函館ラ・サール高→法大→福井県スポーツ協会→ミズノ。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

NEWS 【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

2025.04.30

【高校生FOCUS】男子競歩・山田大智(西脇工高)インターハイで昨夏の雪辱誓う 高校記録更新にも挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山田大智 Yamada Daichi 西脇工高3兵庫 2025年シーズンが本格的に始まり、高校陸上界では記録会、競技会が次々と開かれています。その中で好記録も生まれており、男子50 […]

NEWS 5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

2025.04.30

5.3静岡国際、パリ五輪代表の坂井隆一郎、200m世界陸上標準突破の水久保漱至らが欠場

5月3日に行われる静岡国際のエントリーリストが更新され、現時点で欠場届を提出した選手が判明した。 男子100mはパリ五輪代表の坂井隆一郎(大阪ガス)が欠場。坂井は4月13日の出雲陸上で脚を痛め、29日の織田記念の出場も見 […]

NEWS 26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

2025.04.30

26年ブダペスト開催の「世界陸上アルティメット選手権」やり投・北口榛花が出場権獲得

世界陸連(WA)は4月29日、2026年に新設する「世界陸上アルティメット選手権」の大会500日前を受け、昨年のパリ五輪の金メダリストに出場資格を与えることを発表した。女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花(JAL)も含 […]

NEWS 100mH寺田明日香 恩師の訃報に「熱意と愛情を少しでも次の世代へ引き継げるように」

2025.04.30

100mH寺田明日香 恩師の訃報に「熱意と愛情を少しでも次の世代へ引き継げるように」

福島千里や寺田明日香ら女子短距離を中心に数々の名選手を育成した中村宏之氏が4月29日に79歳で他界したことを受け、寺田が自身のSNSを更新して思いを綴った。 寺田は北海道・恵庭北高時代に中村氏の指導を受け、100mハード […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top