HOME 国内

2026.01.26

初マラソン日本最高の矢田みくに 世界経験し「がむしゃらさ」と「初心」を胸に見せた激走/大阪国際女子マラソン
初マラソン日本最高の矢田みくに 世界経験し「がむしゃらさ」と「初心」を胸に見せた激走/大阪国際女子マラソン

26年大阪国際女子マラソンで初マラソン日本最高を出した矢田と沢栁監督

◇第45回大阪国際女子マラソン(1月25日/大阪・ヤンマースタジアム長居発着)

MGCシリーズ2025-26女子G1の大阪国際女子マラソンが行われ、S.チェサン(ウガンダ)が2時間19分31秒で優勝した。

広告の下にコンテンツが続きます

東京世界選手権10000m代表の矢田みくに(エディオン)が2時間19分57秒で日本人トップの4位。安藤友香(当時・スズキ浜松AC、現・しまむら)が17年に作った初マラソン日本最高(2時間21分36秒)を上回った。日本歴代6位、国内レースでは日本2人目の2時間20分切りだった。この結果、ロサンゼルス五輪選考会となるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の切符を手にしている。

世界選手権10000mで20位に終わり、「自分に足りないのはがむしゃらさ。1本ネジを外したい、自分の当たり前を変えたい」と感じ、マラソンへの挑戦を決意した。ペースメーカーの設定タイムが5kmあたり16分35秒(フィニッシュ:2時間19分56秒)の第1ペースメーカーにつくか、または16分55秒(フィニッシュ:2時間22分45秒)の第2ペースメーカーを目安に進めるか、数日前まで悩んでいた矢田。最終刺激の出来が良かったことから、第1集団につくことを決めた。

ハーフマラソンの経験もなく、「20km持つかどうかわからない」と未知数な中で挑んだ初マラソン。17km手前で松田瑞生(ダイハツ)、中間点過ぎに上杉真穂(東京メトロ)と、マラソンで実績のある選手が遅れる中で、ただ1人先頭集団でレースを進めた。

ペースメーカーが外れる30kmを1時間39分21秒で通過。「30km行った時点で自分の中では合格点。自分のリズムで走っていたら、前に出ていた感じです」と図らずも先頭集団を引くかたちになる。

「残り10kmはトラックの大会でも抜きつ抜かれつというのがあるので、10000mのレースをフラッシュバックさせながら、最後まで食らいついて走りました」。マラソンで苦しくなる“30kmの壁”もどこ吹く風で、果敢な走りを見せる。

残り3kmほどで先頭争いから後れを取ったが、そこから粘りを見せ、ベダトゥ・ヒルパ、ウォルケネシュ・エデサ(ともにエチオピア)と激しい2位争いを展開。スパート勝負で敗れたものの、堂々たるレースを披露した。

事前に思い描いていたタイムは2時間23分30秒。「ここまでしっかりと走るとは思っていませんでしたので、本当にすごい選手だと思います」と沢栁厚志監督も驚きの快走だった。

熊本県出身で26歳の矢田は、ルーテル学院高時代に2年生ながら5000mで当時高校最高の15分25秒87をマーク。卒業後はデンソーに進むも苦しい時期が続き、2022年にはエディオンに移籍した。世界選手権に出場するまでは「強くもないのに強さを偽っていた」と涙ながらに振り返る。

しかし、世界選手権で打ちのめされたことで、「弱い自分を見せられるようになりました。守るものもないし、走るのが楽しいし、一から強くなりたい」と心境の変化があった。それが初マラソンでの攻めの走りにつながった。

もちろん、マラソンで重要なのは2回目だというのも承知している。「初マラソンで初心の気持ちに戻れたから、この記録が出たのもあると思っています。初心を常に忘れずにロスに向かって練習していきたいです」と慢心はない。

もう2年後になるロサンゼルス五輪を、トラックとマラソンのどちらで目指すか悩んでいた矢田。「走り終わって決まるかなと思ったんですけど、改めてトラックの大事さというのも気づいたので、同じように力を入れながら、その中でマラソンで出られたら良いかなと思います」。持ち味でもあるトラックでのスピードを磨きながら、マラソンで世界に挑戦していく。

文/馬場遼

◇第45回大阪国際女子マラソン(1月25日/大阪・ヤンマースタジアム長居発着) MGCシリーズ2025-26女子G1の大阪国際女子マラソンが行われ、S.チェサン(ウガンダ)が2時間19分31秒で優勝した。 東京世界選手権10000m代表の矢田みくに(エディオン)が2時間19分57秒で日本人トップの4位。安藤友香(当時・スズキ浜松AC、現・しまむら)が17年に作った初マラソン日本最高(2時間21分36秒)を上回った。日本歴代6位、国内レースでは日本2人目の2時間20分切りだった。この結果、ロサンゼルス五輪選考会となるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の切符を手にしている。 世界選手権10000mで20位に終わり、「自分に足りないのはがむしゃらさ。1本ネジを外したい、自分の当たり前を変えたい」と感じ、マラソンへの挑戦を決意した。ペースメーカーの設定タイムが5kmあたり16分35秒(フィニッシュ:2時間19分56秒)の第1ペースメーカーにつくか、または16分55秒(フィニッシュ:2時間22分45秒)の第2ペースメーカーを目安に進めるか、数日前まで悩んでいた矢田。最終刺激の出来が良かったことから、第1集団につくことを決めた。 ハーフマラソンの経験もなく、「20km持つかどうかわからない」と未知数な中で挑んだ初マラソン。17km手前で松田瑞生(ダイハツ)、中間点過ぎに上杉真穂(東京メトロ)と、マラソンで実績のある選手が遅れる中で、ただ1人先頭集団でレースを進めた。 ペースメーカーが外れる30kmを1時間39分21秒で通過。「30km行った時点で自分の中では合格点。自分のリズムで走っていたら、前に出ていた感じです」と図らずも先頭集団を引くかたちになる。 「残り10kmはトラックの大会でも抜きつ抜かれつというのがあるので、10000mのレースをフラッシュバックさせながら、最後まで食らいついて走りました」。マラソンで苦しくなる“30kmの壁”もどこ吹く風で、果敢な走りを見せる。 残り3kmほどで先頭争いから後れを取ったが、そこから粘りを見せ、ベダトゥ・ヒルパ、ウォルケネシュ・エデサ(ともにエチオピア)と激しい2位争いを展開。スパート勝負で敗れたものの、堂々たるレースを披露した。 事前に思い描いていたタイムは2時間23分30秒。「ここまでしっかりと走るとは思っていませんでしたので、本当にすごい選手だと思います」と沢栁厚志監督も驚きの快走だった。 熊本県出身で26歳の矢田は、ルーテル学院高時代に2年生ながら5000mで当時高校最高の15分25秒87をマーク。卒業後はデンソーに進むも苦しい時期が続き、2022年にはエディオンに移籍した。世界選手権に出場するまでは「強くもないのに強さを偽っていた」と涙ながらに振り返る。 しかし、世界選手権で打ちのめされたことで、「弱い自分を見せられるようになりました。守るものもないし、走るのが楽しいし、一から強くなりたい」と心境の変化があった。それが初マラソンでの攻めの走りにつながった。 もちろん、マラソンで重要なのは2回目だというのも承知している。「初マラソンで初心の気持ちに戻れたから、この記録が出たのもあると思っています。初心を常に忘れずにロスに向かって練習していきたいです」と慢心はない。 もう2年後になるロサンゼルス五輪を、トラックとマラソンのどちらで目指すか悩んでいた矢田。「走り終わって決まるかなと思ったんですけど、改めてトラックの大事さというのも気づいたので、同じように力を入れながら、その中でマラソンで出られたら良いかなと思います」。持ち味でもあるトラックでのスピードを磨きながら、マラソンで世界に挑戦していく。 文/馬場遼

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

         

Latest articles 最新の記事

2026.06.10

100mH高校記録保持者・石原南菜が登場!男女スプリントも高水準、3種目に挑む地元シュブルチェック/IH北関東

滋賀インターハイ(7月30日~8月5日)を懸けた地区大会が6月に各地で行われる。 インターハイ南関東地区大会(千葉、東京、神奈川、山梨)は6月12日~15日の4日間、水戸信用金庫スタジアム(笠松運動公園陸上競技場)で実施 […]

NEWS 日本選手権初日のスタートリスト発表!100m予選・桐生祥秀は最終組に登場 男子5000m吉田祐也、山口智規らが欠場

2026.06.10

日本選手権初日のスタートリスト発表!100m予選・桐生祥秀は最終組に登場 男子5000m吉田祐也、山口智規らが欠場

名古屋アジア大会の代表選考会を兼ねた第110回日本選手権(6月12日~14日)の1日目のスタートリストが発表された。 注目の男子100m予選では前回優勝の桐生祥秀(日本生命)が最終の7組1レーンに登場。同じ組には世界リレ […]

NEWS 男子100mは片山瑛太軸に今年もハイレベル!七種競技で高校記録保持者・岡田紗和が登場 /IH南関東

2026.06.10

男子100mは片山瑛太軸に今年もハイレベル!七種競技で高校記録保持者・岡田紗和が登場 /IH南関東

滋賀インターハイ(7月30日~8月5日)を懸けた地区大会が6月に各地で行われる。 インターハイ南関東地区大会(千葉、東京、神奈川、山梨)は6月12日~15日の4日間、水戸信用金庫スタジアム(笠松運動公園陸上競技場)で実施 […]

NEWS 河野洋平氏が死去 1999年から2013年に第6代日本陸連会長務める 日本学連会長も歴任

2026.06.10

河野洋平氏が死去 1999年から2013年に第6代日本陸連会長務める 日本学連会長も歴任

日本陸連元会長の河野洋平氏が6月8日に亡くなったことがわかった。89歳だった。 河野氏は1937年生まれ。父は河野一郎・元農林大臣で、1965年に第3代日本陸連会長を務めている。また、元参議院議長を務めた叔父の河野謙三氏 […]

NEWS 男子短距離は田澤柊翔ら弘前実勢に注目! 女子中長距離は激戦模様 走幅跳・小川章介は記録も期待/IH東北

2026.06.10

男子短距離は田澤柊翔ら弘前実勢に注目! 女子中長距離は激戦模様 走幅跳・小川章介は記録も期待/IH東北

滋賀インターハイ(7月30日~8月5日)を懸けた地区大会が6月に各地で行われる。 インターハイ東北地区大会(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)は6月12日から15日までの4日間、仙台市のキューアンドエースタジアムで開催 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年6月号 (5月14日発売)

2026年6月号 (5月14日発売)

落合晃&丸山優真が日本新
26春 学生長距離勢力図

page top