HOME 国内、世界陸上

2025.09.21

世界陸連コー会長が大会総括「私の“世界記録”として記憶に残る大会」/東京世界陸上
世界陸連コー会長が大会総括「私の“世界記録”として記憶に残る大会」/東京世界陸上

世界陸連のコー会長

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場) 9日目

東京世界陸上最終日の9月21日、世界陸連のセバスチャン・コー会長と東京2025世界陸上財団の尾縣貢会長が、大会総括の会見を行った。

コー会長は、競技面や環境などあらゆる面から「9日間すばらしいプロジェクトだった」と今大会を高く評価した。

広告の下にコンテンツが続きます

2021年の東京五輪が無観客開催となったことから、コー会長自ら世界陸上の東京開催について積極的だった。そうして開催が決まった経緯があるだけに、コー会長にとっても「素晴らしいものが見られた」とうなずく。

特に、「(日程の)ほとんどがフルスタジアムになった」ことを強調。イブニングセッションは連日のように満員となり、8日目終了時点で総入場者数が53万6990人に達した。最終日を含めると「60万人に到達する」見込みで、1991年東京大会の58万1462人を上回ることが確実だ。コー会長は「私にとっての“世界記録”のように記憶に残る大会になった。夏のパーティーとクリスマスパーティーが一緒にやってきたものだ」と絶賛する。

また、会場だけではなくテレビや配信での世界中への広がりも評価。「メインブロードキャストのTBSでは、1991年を上回る数字が出ている」とし、男子棒高跳のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)が6m30の世界新記録を樹立した時には「スウェーデンの視聴率が70%に達したと聞いている」。正式な数値は改めて公表するとしたが、「アスリート、ボランティアのみなさんが本当に素晴らしかった。また、組織委員会、日本陸連、東京都などいろいろな部門の方々と非常に連携が取れたことも良かった」と振り返る。

コー会長は2012年ロンドン五輪において、組織委員会会長を務めていた。その後、2017年には世界陸連会長の立場としてロンドン世界陸上を開催。そういった経験を踏まえ、「日本の社会は大きなスポーツイベントに対して試練を与えている、または試練を受けている状態にあると感じた」と言う。そのため、今回の世界陸上にあたっては「無理を強いるのではないかという懸念はあった」と明かす。だが、それは杞憂となった。

「今回の世界陸上で明らかになったことがいくつかある。日本と、日本の国民がスポーツに対する熱狂を生み出そうとする雰囲気があった。だから、日本は大丈夫なんだと感じた。今、世界はスポーツを、さまざまな場面で違うかたちに見ている。もしかしたら、もう一度五輪をやったらいいのではないか、とも思った」

コー会長は「イノベーション」という言葉を頻繁に使い、陸上をメジャースポーツにするための新たな取り組み、チャレンジを繰り返してきた。来年9月にハンガリー・ブダペストで開催予定の新たな世界大会「世界陸上アルティメット選手権」もその1つ。総額1000万ドル、優勝者に15万ドルという賞金が設定された。今後、「ロサンゼルス五輪のメダリストにも賞金を出す。競技が成長した配分をアスリートに渡したい」と意欲的だ。

また、女性アスリートの公平性を確保するべく、9月以降の世界陸連主催大会に出場するために、遺伝子検査を受けることを義務化した。男性の発達に関わる、Y染色体上の「SRY遺伝子」があるかを調査するもので、「100%の選手が受けた。批判はほんの一握りで、多くのアスリートが賛同してくれたと聞いている。だからこそ、迅速に対応できた」とし、「今後もずっと続けます」ときっぱりと語った。

9月13日から国立競技場を熱狂の渦に包み込んだ東京世界陸上は今日9月21日、最終日を迎える。

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場) 9日目 東京世界陸上最終日の9月21日、世界陸連のセバスチャン・コー会長と東京2025世界陸上財団の尾縣貢会長が、大会総括の会見を行った。 コー会長は、競技面や環境などあらゆる面から「9日間すばらしいプロジェクトだった」と今大会を高く評価した。 2021年の東京五輪が無観客開催となったことから、コー会長自ら世界陸上の東京開催について積極的だった。そうして開催が決まった経緯があるだけに、コー会長にとっても「素晴らしいものが見られた」とうなずく。 特に、「(日程の)ほとんどがフルスタジアムになった」ことを強調。イブニングセッションは連日のように満員となり、8日目終了時点で総入場者数が53万6990人に達した。最終日を含めると「60万人に到達する」見込みで、1991年東京大会の58万1462人を上回ることが確実だ。コー会長は「私にとっての“世界記録”のように記憶に残る大会になった。夏のパーティーとクリスマスパーティーが一緒にやってきたものだ」と絶賛する。 また、会場だけではなくテレビや配信での世界中への広がりも評価。「メインブロードキャストのTBSでは、1991年を上回る数字が出ている」とし、男子棒高跳のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)が6m30の世界新記録を樹立した時には「スウェーデンの視聴率が70%に達したと聞いている」。正式な数値は改めて公表するとしたが、「アスリート、ボランティアのみなさんが本当に素晴らしかった。また、組織委員会、日本陸連、東京都などいろいろな部門の方々と非常に連携が取れたことも良かった」と振り返る。 コー会長は2012年ロンドン五輪において、組織委員会会長を務めていた。その後、2017年には世界陸連会長の立場としてロンドン世界陸上を開催。そういった経験を踏まえ、「日本の社会は大きなスポーツイベントに対して試練を与えている、または試練を受けている状態にあると感じた」と言う。そのため、今回の世界陸上にあたっては「無理を強いるのではないかという懸念はあった」と明かす。だが、それは杞憂となった。 「今回の世界陸上で明らかになったことがいくつかある。日本と、日本の国民がスポーツに対する熱狂を生み出そうとする雰囲気があった。だから、日本は大丈夫なんだと感じた。今、世界はスポーツを、さまざまな場面で違うかたちに見ている。もしかしたら、もう一度五輪をやったらいいのではないか、とも思った」 コー会長は「イノベーション」という言葉を頻繁に使い、陸上をメジャースポーツにするための新たな取り組み、チャレンジを繰り返してきた。来年9月にハンガリー・ブダペストで開催予定の新たな世界大会「世界陸上アルティメット選手権」もその1つ。総額1000万ドル、優勝者に15万ドルという賞金が設定された。今後、「ロサンゼルス五輪のメダリストにも賞金を出す。競技が成長した配分をアスリートに渡したい」と意欲的だ。 また、女性アスリートの公平性を確保するべく、9月以降の世界陸連主催大会に出場するために、遺伝子検査を受けることを義務化した。男性の発達に関わる、Y染色体上の「SRY遺伝子」があるかを調査するもので、「100%の選手が受けた。批判はほんの一握りで、多くのアスリートが賛同してくれたと聞いている。だからこそ、迅速に対応できた」とし、「今後もずっと続けます」ときっぱりと語った。 9月13日から国立競技場を熱狂の渦に包み込んだ東京世界陸上は今日9月21日、最終日を迎える。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.05

全国高校駅伝都道府県代表出そろう 前年V佐久長聖&長野東など 最速は男女とも仙台育英 6日から地区大会順次開幕

全国高校駅伝の出場権を懸けた都道府県高校駅伝が11月4日の埼玉をもってすべて終了し、都道府県代表がすべて出そろった。 昨年の全国大会は男子が佐久長聖、女子は長野東といずれも長野勢が優勝を遂げた。全国2連覇中の佐久長聖は県 […]

NEWS 神戸マラソンの招待選手発表 荒生実慧、平田幸四郎らがエントリー 21年パリ優勝のロティッチも参戦

2025.11.05

神戸マラソンの招待選手発表 荒生実慧、平田幸四郎らがエントリー 21年パリ優勝のロティッチも参戦

11月5日、神戸マラソンの主催者は16日に開催される神戸マラソン2025の招待選手を発表した。 国内からは、8月末のシドニーで2時間7分42秒の6位に入った荒生実慧(NDソフト)がエントリー。前回大会で日本人トップの4位 […]

NEWS 日本陸連と広島テレビ放送が 「スポーツを通じて誰もが自分らしく活躍できる社会づくりに関する連携協力協定」を締結

2025.11.05

日本陸連と広島テレビ放送が 「スポーツを通じて誰もが自分らしく活躍できる社会づくりに関する連携協力協定」を締結

11月5日、日本陸連は広島テレビ放送株式会と「スポーツを通じて誰もが自分らしく活躍できる社会づくりに関する連携協力協定」を結んだことを発表した。陸上競技を通じて人と人をつなぎ、すべての人が心身ともに健やかで、自分らしく生 […]

NEWS 仙台国際ハーフの来年大会の日程が決定 国内レースによる「ジャパンプレミアハーフシリーズ」

2025.11.05

仙台国際ハーフの来年大会の日程が決定 国内レースによる「ジャパンプレミアハーフシリーズ」

仙台国際ハーフマラソン大会実行委員会は、2026年大会の日程が5月10日に決まったと発表した。定員は10,000人とし、エントリーは11月18日から順次開始される。 国内主要ハーフマラソン6大会が連携する「ジャパンプレミ […]

NEWS 「アスリート・オブ・ザ・イヤー」最終候補にデュプランティス、ライルズら12人!

2025.11.05

「アスリート・オブ・ザ・イヤー」最終候補にデュプランティス、ライルズら12人!

世界陸連(WA)はワールド・アスレティクス・アワード2025「ワールド・アスリート・オブ・ザ・イヤー」の最終候補者を発表した。 トラック、フィールド、競技場外種目の各部門で、10月に発表された候補者の中から男女2選手ずつ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top