◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目
東京世界陸上6日目のイブニングセッションが行われ、女子800m予選3組の久保凛(東大阪大敬愛高)は2分02秒84で7着に終わり、この種目日本人初となる準決勝には進めなかった。
今夏のインターハイで3連覇を達成し、その前の日本選手権では自らの日本記録を更新する1分59秒52で2連覇を果たした“スーパー高校生”。その走りに大きな期待が寄せられた久保は「少しプレッシャーもあった」というが、「楽しんで走る」ことを誓ってスタートラインに立った。
「前半は3、4番ぐらいの前の方で進めたかった」というレースプランを描き、「スローペースになってしまうと絶対に勝てない」と考えていた。
しかし、レースが始まると、できれば避けたかったスローペースの展開に。そこで久保は集団の前に出ようとしたが、「100mで被せられてしまって、うまく前に出ることができず、(集団の)内側の方にも入ってしまって何もかもうまくいかなかったです。3、4番手につけるところで、ちょっと遠慮してしまったかなという部分があって……」と落胆する。
先頭が27秒53で通過した200mも、1分00秒05で通過した400mも、久保よりはるかに大柄な外国勢に前進を阻まれ、最後方付近でレースを進めるしかなかった。後半も厳しいポジションでなんとか食らいつき、フィニッシュ直前に1つ順位を上げるのが精一杯。ほろ苦い世界陸上デビューレースとなった。
「高校生のうちに世界陸上に出たいとずっと思っていたので、出場できたことは収穫ですが、そこで何もできませんでした。まだ(世界とは)差があるという感じで、スローペースになってもラストでついていける力も必要だと感じましたし、それをわかっていてもできないという面で、まだ力不足だと思います」
久保は「初めての世界陸上が東京ということで、始まる前からたくさん応援していただいて、すごく幸せですし、楽しんで走ることができました」とポジティブな感想を口にしながら、あふれ出る涙を堪えるようにして話した。思うようなレースができずに悔しいのは、相手が世界のトップ選手であろうと変わらなかった。
「世界でもしっかり通用する選手になることが自分の目標。まだ全然通用もしていないですし、世界の舞台で思い切ったレースができないのも弱い部分だと感じました。またイチから磨き直して、もっと強い久保凛をしっかり見せられるようにがんばりたいと思います」
今後、幾度となく世界大会出場の機会は巡ってくるだろう。2025年東京世界陸上は、久保が世界への第一歩を踏み出した記念すべき大会となった。
文/小野哲史
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.11.05
「アスリート・オブ・ザ・イヤー」最終候補にデュプランティス、ライルズら12人!
2025.11.05
キヤノンAC九州の中村日菜多が退部「最後まであきらめずに頑張れた」高校時代から駅伝で活躍
2025.11.05
エディオン・古木愛莉が10月末で退部・退社 ルーテル学院高時代に全国高校駅伝1区5位
-
2025.11.05
-
2025.11.05
-
2025.11.05
2025.11.02
青学大が苦戦の中で3位確保!作戦不発も「力がないチームではない」/全日本大学駅伝
-
2025.11.02
-
2025.11.02
-
2025.11.03
2025.10.18
【大会結果】第102回箱根駅伝予選会/個人成績(2025年10月18日)
-
2025.11.02
-
2025.10.18
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.11.05
「アスリート・オブ・ザ・イヤー」最終候補にデュプランティス、ライルズら12人!
世界陸連(WA)はワールド・アスレティクス・アワード2025「ワールド・アスリート・オブ・ザ・イヤー」の最終候補者を発表した。 トラック、フィールド、競技場外種目の各部門で、10月に発表された候補者の中から男女2選手ずつ […]
2025.11.05
キヤノンAC九州の中村日菜多が退部「最後まであきらめずに頑張れた」高校時代から駅伝で活躍
キヤノンAC九州は10月末で中村日菜多の退部を発表した。 中村は熊本県出身の21歳。ルーテル学院高ではトラックでインターハイこそ届かなかったものの、3000mで9分38秒80を持ち、3年時に全国高校駅伝に出場して5区を務 […]
2025.11.05
エディオン・古木愛莉が10月末で退部・退社 ルーテル学院高時代に全国高校駅伝1区5位
エディオン女子陸上競技部は11月4日、古木愛莉の退部、退社を発表した。 古木は熊本・ルーテル学院高出身で、今年4月に入社。昨年のインターハイ3000mで13位と力走し、2年時には全国高校駅伝の1区で5位の活躍を見せている […]
2025.11.05
26年WA室内ツアーの日程が発表 ゴールドは欧州中心に8大会を実施
世界陸連(WA)は11月3日、26年のWA室内ツアーの日程を発表した。12月から3月にかけて約80大会が開催される。 ツアーでは大会の規模により、ゴールド、シルバー、ブロンズ、チャレンジャーと4つのカテゴリーに分類。ゴー […]
2025.11.05
オランダ・アメルスフォールトに「フェムケ・ボル・ホール」がオープン! 地元の英雄の名を冠した体育施設
オランダ・アーメルスフォールト市に、同市出身で女子400mハードル東京世界選手権金メダリスト・F.ボルの名前を冠した体育施設がオープンした。 「フェムケ・ボル・ホール」と名付けられたホールは同市内の体育施設で、小学校の体 […]
Latest Issue
最新号
2025年11月号 (10月14日発売)
東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望