東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目
東京世界陸上の2日目が行われ、女子100mはメリッサ・ジェファーソン・ウッデン(米国)が世界歴代4位となる10秒61(+0.3)をマークし、悲願の金メダルを獲得した。
女子100mは「ポケットロケット」の愛称で呼ばれるシェリーアン・フレーザー・プライス(ジャマイカ)が2010年代に一時代を築いた種目。しかし、2020年代に入ると若手が台頭し、東京五輪以降の世界大会では毎年異なる女王が誕生。群雄割拠の時代に突入したが、今大会では24歳の新星が新たな頂点に立った。
パリ五輪銅メダリストのジェファーソン・ウッデンは、初日の予選を10秒99(-0.9)で通過。さらに決勝2時間前の準決勝では10秒73(+0.2)を叩き出し、余裕をもって勝ち上がる。
決勝には、フレーザー=プライス、パリ五輪金のジュリアン・アルフレッド(セントルシア)、前回女王シャカリ・リチャードソン(米国)、200m世界選手権連覇中のシェリカ・ジャクソン(ジャマイカ)ら、8人中7人が世界大会のメダリストという豪華な顔ぶれがそろった。それでも、ジェファーソン・ウッデンの走りは際立っていた。
リアクションタイム0.173秒と鋭いスタートを決めると、二次加速で一気にトップへ。40m付近で先頭に立つと、70mからはさらにリードを広げ、最後まで力強く押し切った。フィニッシュタイムは自己ベストを更新し、大会記録も0.04秒塗り替えた。2位ティナ・クレイトン(ジャマイカ)との差0.15秒は、大会史上2番目の大差となった。
レース後、ジェファーソン・ウッデンは「楽に勝てたように見えるかもしれませんが、ここに来るまでには本当に多くの練習と努力がありました」と笑顔。「スタートはうまくいったと思いますが、その後のことはあまり覚えていなくて、『ゴールラインまで、ゴールラインまで』と自分に言い聞かせるように走りました。一番良かったのは、自分のパフォーマンスに集中できたことです」と振り返った。タイムについては「『Oh! My God!』という感じ。自分でも驚いています」と白い歯を見せた。
さらに、「世界大会で優勝したことのない私は、今回ハンター(挑戦者)として臨みました。来年以降は、間違いなくライバルが追いかけてくるでしょうから、どう立ち回るかを学んでいく必要がある」と語り、早くも新女王としての覚悟をにじませている。
優勝候補の筆頭だったアルフレッドはレース中にハムストリングを痛めながらも、10秒84で3位を確保。ジャクソンが10秒88、リチャードソンが10秒94で4位、5位と続いた。
今季限りでの引退を表明している38歳のフレイザー・プライスは11秒03で6位。初めて出場した世界陸上はくしくも同じ日本で開催された07年大阪大会だったが、「あの時は自分が何をしたいのかまったく分からなかったのですが、この大会から多くのものを得ることができました」と世界陸上とともに成長してきたスプリンター人生を振り返った。
女子円盤投では東京、パリと五輪連覇中のヴァラリー・オールマン(米国)が69m48で快勝。22年オレゴン大会銅メダル、23年ブダペスト大会銀メダルを経て、再び東京で世界一となり、「プレッシャーと緊張で大変でしたが、夢を叶えることができました」と話した。
女子走幅跳はタラ・デイヴィス・ウッドホールが今季世界最高の7m13(-0.2)を跳んで快勝。男子10000mはジミー・グレシエ(フランス)が非アフリカ出身選手としては42年ぶりとなる金メダルを獲得し、同100mはオブリク・セヴィル(ジャマイカ)が9秒77(+0.3)で優勝を飾った。また、モーニングセッションでは女子マラソンが行われ、激しいスパート合戦を制したペレス・ジェプチルチル(ケニア)が金メダルに輝いた。
女子100m世界歴代10傑
10.49 0.0 F.グリフィス・ジョイナー(米国) 1988. 7.16 10.54 0.9 E.トンプソン・ヘラー(ジャマイカ) 2021. 8.21 10.60 1.7 S.-A.フレイザー・プライス(ジャマイカ) 2021. 8.26 10.61 0.3 M.ジェファーソン・ウッデン(米国) 2025. 9.14 10.64 1.2 C.ジェッター(米国) 2009. 9.20 10.65A 1.1 M.ジョーンズ(米国) 1998. 9.12 10.65 1.0 S.ジャクソン(ジャマイカ) 2023. 7. 7 10.65 -0.2 S.リチャードソン(米国) 2023. 8.21 10.72 0.4 M.-J.タルー(コートジボワール) 2022. 8.10 10.72 -0.1 J.アルフレッド(セントルシア) 2024. 8. 3【動画】東京世界陸上2日目ハイライト
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