◇Athlete Night Games in FUKUI(8月15、16日/福井・9.98スタジアム)
日本グランプリシリーズのAthlete Night Gameが行われ、男子走高跳は瀬古優斗(滋賀県スポ協/FAAS)が日本歴代2位タイ、屋外日本最高タイとなる2m33をクリア。東京世界選手権の参加標準記録を突破して、初の世界大会代表に大きく近づいた。
日本選手権で5位になっていた瀬古。「これが世界選手権の標準を狙うラストチャンス」。21年に跳んだ自己記録を3cm更新する2m30を3回目にクリアして喜んだが「このチャンスは逃せない。2m30のまま跳べば行ける」と、世界選手権の標準記録となる2m33に挑戦した。
1回目はこれまでの課題だった「残り6歩のマークの後に上げ過ぎてしまった」。2回目は、直前の欧州遠征で試したという「残り4歩で乗せていって」踏み切りピタリと入った。だが、自身は「ほとんど記憶がない」と笑った。
小学生時代にバレーボールで培った、持ち味の脚関節と腰回りの強さで高く跳び上がり、ノータッチでバーを越えた。「自分でも信じられないくらい」だという、世界基準のジャンプ。その後は日本記録となる2m36にも挑戦したが、これは失敗に。すべての競技が終わった後、もう一度2m33にバーを掛けて記念撮影。「俺、これを跳んだのか」と思ったほどの高さだった。
滋賀県出身。中学から陸上を始め、最初は走幅跳だった。誘ってくれた友人のほうが記録が伸びたことで走高跳に挑戦したという。草津東高時代には国体など出場経験はあるが、インターハイは3年時に近畿大会で7位と、全国を逃している。中京大でも2m20がベストと、決してエリート街道ではない。
それでも、身長180cmながら、バネと力強さ、助走スピードは高く評価されてきた。社会人2年目、東京五輪イヤーには2m27に成功。だが、そこからは「気持ちが折れた時もありました」。類い稀なバネと沈み込んで跳ぶことができるジャンプは諸刃の剣で、ケガも多かった。
22年オレゴン世界選手権も、ワールドランキングで狙える位置にいながら日本選手権で記録なし。悔しさを味わった。23年もブダペスト世界選手権を逃し、「何か変えたい」と思っている時に、数々のトップジャンパーを育てた名指導者・福間博樹コーチから「もっと跳べるのに」と声をかけられ、「その日のうちにスケジュールを決めました」とアドバイスを求めるようになった。
滋賀レイクスターズも退社し、フリーランスで活動した時期もある。現在は国民スポーツ大会を控える滋賀県スポーツ協会からの支援もあって、遠征など競技に集中しながら、母校・草津東高で高校生たちと汗を流す日もある。
日本選手権で瀬古の上にいる4人が8月24日までに参加標準記録を3人跳ばなければ、初の世界選手権代表になる。アジア室内選手権2大会代表で銀メダルの経験もあるが、念願の日本代表に「感慨深いです」と言うも、「ここがゴールじゃない」とも。
22年オレゴンで真野友博(九電工)、23年ブダペスト世界選手権と昨年のパリ五輪で赤松諒一(SEIBU PRINCE)が入賞してきた男子走高跳陣。「今日以上のジャンプができるように準備して、2人に続いて結果を出せるようにしたいです」。
メガネがトレードマークの湖国が誇るジャンパーが、満を持して世界の舞台に立つ。
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