◇天皇賜盃第94回日本学生対校選手権(6月5日~8日/岡山・JFE晴れの国スタジアム)2日目
学生日本一を決める日本インカレの2日目が行われた。男子100mは木梨嘉紀(筑波大)が10秒31(-1.1)で優勝を飾った。
岡山・津山高出身の木梨。フィニッシュ後、万感の思いがあふれた。
「(開催地が)岡山と去年知ってから、学生最後の日本インカレで地元優勝したいと思っていました。すごくよい終わり方ができました」
2連覇中の栁田大輝(東洋大)は4×100mリレーのみの出場となったが、4月末の織田記念を制した井上直紀(早大)、5月の世界リレーで井上とともに日本の4位入賞に貢献した愛宕頼(東海大)ら、好選手がそろう。その中で、2レーンに入った木梨が抜群のスタートを見せた。
3月の世界室内選手権60mでセミファイナリストになるなど、持ち味は前半の加速力。それを存分に発揮し、身体一つ抜け出す。そして、ここからが今季の成長点。谷川聡コーチから「以前は前半から全力でいっていたけど、9割で出ることを意識するように指導を受けました」。それまでは「最後に差されることが多かった」が、この日は最後まで誰も前に出さなかった。
「隣が見えなかったので、勝ったかなと思いました」と木梨。2位の愛宕とは0.05秒差がついていたが、レース中は「周りのことを見ずに集中していた」ため、結果が出るまで確信を得られなかった。そして、大型モニターに映し出された自身の名前を見て、優勝を確認。大学院2年生は驚きの表情を見せたあと、顔覆ってひざまずく。念願の地元優勝達成の喜びに浸った。
津山高では全国大会出場のレベルだったが、順大で年々力をつけた。4年時には国体成年100mで6位に入賞。冬の日本選手権室内60mで初の全国制覇を果たした。筑波大院に進んでからも、本番の出場機会は得られなかったものの昨年の世界リレー4×100mリレーで代表入り。学生日本一のタイトルをステップに、次は日本選手権での飛躍を誓う。
「(自己ベストは10秒21で)まだ10秒1台がないので、日本選手権の準決勝で出して、決勝に残りたい」
晴れの国・岡山で育った木梨が、晴れやかな笑顔でそう力強く語った。
2位は愛宕で10秒36、3位は関口裕太(早大)で10秒37。井上は10秒38で4位だった。
【動画】木梨が地元・岡山で優勝!男子100m決勝のレースをチェック!
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