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2025.01.04

1区で飛び出した中大 復路も大崩れせず総合5位「来年につながる駅伝になった」/箱根駅伝
1区で飛び出した中大  復路も大崩れせず総合5位「来年につながる駅伝になった」/箱根駅伝

25年箱根駅伝総合5位だった中大(9区吉中祐太から10区藤田大智へのタスキリレー】

◇第101回箱根駅伝(東京・大手町~神奈川・箱根町往復/10区間217.1km)

箱根駅伝が2日間にわたって行われ、青学大が2年連続の総合優勝を果たした。中大は10時間52分49秒の総合5位だった。

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2011年以降の15大会では、前々回の2位に次ぐ好成績だ。藤原正和駅伝監督が「主導権を握るとこんなにも駅伝が楽なのかと感じました」と話したように、当日変更で1区に送り込んだエース・吉居駿恭(3年)の快走からすべては始まった。

スタート直後、「スローペースになるのは嫌でした」と集団の前に出たが、「気がついたら後ろがいませんでした」と、瞬く間に後続を引き離す。自身さえ想定していなかった序盤からの独走劇は、奇しくも3年前に1区で区間新記録(1時間00分40秒)を樹立した2つ上の兄・大和(現・トヨタ自動車)を彷彿させるものだった。後半こそ我慢の走りとなったものの、歴代4位となる1時間1分07秒。2位・駒大に1分32秒ものリードを奪った。

2区の溜池一太(3年)が区間9位ながら1時間6分39秒で好走したのち、3区の本間颯(2年)も区間賞の快走。「1、2区の先輩方や、箱根直前の記録会で4年生の東海林宏一さんが良い流れを作ってくれて、その流れに乗るだけでした。自分の仕事を果たすだけと考えていました」とチームをさらに加速させる。4区の白川陽大(3年)も首位を死守した。

5区を担った園木大斗(4年)には、「9月に左膝をケガして平地が走れなくなり、上りの練習しかできなくなったから(5区を走る)覚悟を決めました」という事情があった。

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1区からチームメイトがトップでつないでくる状況に「緊張しっぱなしでした」と言い、猛追してきた青学大・若林宏樹(4年)に山中の9.5kmで逆転を許してしまう。24年ぶりの往路優勝とはならなかったものの、中大は堂々の2位でレース前半を折り返した。

藤原監督が「青学大のピクニックランにしないように抗いたいです」と語っていた復路は、トップから1分47秒差でスタート。6区の浦田優斗(4年)、7区の岡田開成(1年)と、区間順位はそれぞれ6位、7位と悪くなかったが、浦田は首位の青学大に大きく引き離され、岡田は駒大に抜かれて1つ順位を落とす。

さらに8区の佐藤大介(1年)は「走っている最中に身体がどんどん冷えて低体温症のようになってしまいました」。区間最下位に終わり、順位も6位に後退した。

しかし、中大はこのままでは終わらない。続く吉中祐太(3年)が区間8位で流れを引き戻し、アンカーの藤田大智(2年)は「7位を目標にしていましたが、5位に入るのと、7位で終わるのとでは来年に向けて大きな差があります。しっかりと順位を上げよう」と気迫の走り。区間4位の力走で、順位を5位に押し戻した。

「全日本(大学駅伝)までだとズルズルいっていたところから、リカバリーして5位まで戻してくれました。来年につながる駅伝になりました」。藤原監督は手応えをつかむ。

前回は優勝候補の一角に挙げられながら、体調不良者が続出して13位。箱根予選会は6位通過で、全日本は12位と、実力者がそろっているにもかかわらず、今年度もどこかチームとしてかみ合っていなかった。だが、2025年が明けて最初のレースでようやく本領を発揮。中大の頂点を目指す戦いが再び始まる。

文/小野哲史

◇第101回箱根駅伝(東京・大手町~神奈川・箱根町往復/10区間217.1km) 箱根駅伝が2日間にわたって行われ、青学大が2年連続の総合優勝を果たした。中大は10時間52分49秒の総合5位だった。 2011年以降の15大会では、前々回の2位に次ぐ好成績だ。藤原正和駅伝監督が「主導権を握るとこんなにも駅伝が楽なのかと感じました」と話したように、当日変更で1区に送り込んだエース・吉居駿恭(3年)の快走からすべては始まった。 スタート直後、「スローペースになるのは嫌でした」と集団の前に出たが、「気がついたら後ろがいませんでした」と、瞬く間に後続を引き離す。自身さえ想定していなかった序盤からの独走劇は、奇しくも3年前に1区で区間新記録(1時間00分40秒)を樹立した2つ上の兄・大和(現・トヨタ自動車)を彷彿させるものだった。後半こそ我慢の走りとなったものの、歴代4位となる1時間1分07秒。2位・駒大に1分32秒ものリードを奪った。 2区の溜池一太(3年)が区間9位ながら1時間6分39秒で好走したのち、3区の本間颯(2年)も区間賞の快走。「1、2区の先輩方や、箱根直前の記録会で4年生の東海林宏一さんが良い流れを作ってくれて、その流れに乗るだけでした。自分の仕事を果たすだけと考えていました」とチームをさらに加速させる。4区の白川陽大(3年)も首位を死守した。 5区を担った園木大斗(4年)には、「9月に左膝をケガして平地が走れなくなり、上りの練習しかできなくなったから(5区を走る)覚悟を決めました」という事情があった。 1区からチームメイトがトップでつないでくる状況に「緊張しっぱなしでした」と言い、猛追してきた青学大・若林宏樹(4年)に山中の9.5kmで逆転を許してしまう。24年ぶりの往路優勝とはならなかったものの、中大は堂々の2位でレース前半を折り返した。 藤原監督が「青学大のピクニックランにしないように抗いたいです」と語っていた復路は、トップから1分47秒差でスタート。6区の浦田優斗(4年)、7区の岡田開成(1年)と、区間順位はそれぞれ6位、7位と悪くなかったが、浦田は首位の青学大に大きく引き離され、岡田は駒大に抜かれて1つ順位を落とす。 さらに8区の佐藤大介(1年)は「走っている最中に身体がどんどん冷えて低体温症のようになってしまいました」。区間最下位に終わり、順位も6位に後退した。 しかし、中大はこのままでは終わらない。続く吉中祐太(3年)が区間8位で流れを引き戻し、アンカーの藤田大智(2年)は「7位を目標にしていましたが、5位に入るのと、7位で終わるのとでは来年に向けて大きな差があります。しっかりと順位を上げよう」と気迫の走り。区間4位の力走で、順位を5位に押し戻した。 「全日本(大学駅伝)までだとズルズルいっていたところから、リカバリーして5位まで戻してくれました。来年につながる駅伝になりました」。藤原監督は手応えをつかむ。 前回は優勝候補の一角に挙げられながら、体調不良者が続出して13位。箱根予選会は6位通過で、全日本は12位と、実力者がそろっているにもかかわらず、今年度もどこかチームとしてかみ合っていなかった。だが、2025年が明けて最初のレースでようやく本領を発揮。中大の頂点を目指す戦いが再び始まる。 文/小野哲史

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