HOME 国内、世界陸上、日本代表、海外
リチャードソンが逆境乗り越え女子100m制覇 男子円盤投はストールが劇的大会新V/世界陸上Day3
リチャードソンが逆境乗り越え女子100m制覇 男子円盤投はストールが劇的大会新V/世界陸上Day3

世界選手権初出場で初優勝を飾った女子100mのリチャードソン

◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)3日目

ブダペスト世界選手権3日目が行われ、女子100m決勝はシャカリ・リチャードソン(米国)が世界歴代5位タイの10秒65(-0.2)で優勝を果たし、初のスプリント女王の座についた。

広告の下にコンテンツが続きます

7月の全米選手権予選で10秒71の今季最高を出し、優勝候補としてブダペストに乗り込んでいたリチャードソン。準決勝ではスタートで出遅れてしまうアクシデントもあったが、後半に猛烈な追い込みでなんとか10秒84(-0.4)の3着で決勝に滑り込んだ。

迎えた決勝は大外の9レーンからのスタート。序盤は、6度目の優勝を目指したシェリー・アン・フレイザー・プライスと、前回2位のシェリカ・ジャクソンのジャマイカ勢が先行した。しかし、準決勝同様に60m付近からトップスピードに乗ったリチャードソンがフィニッシュ手前で2人をかわしてフィニッシュ。金メダル確定を知ると飛び跳ねて喜びを表した。

リチャードソンは23歳。19歳だった19年に200mでU20世界記録(当時)となる22秒17を樹立し、100mも10秒75(U20記録としては非公認)をマークして注目を浴びた。

順調なスター街道を歩むかに思われたが、21年の全米選手権100mで初優勝を飾った際のドーピング検査でマリファナの使用が発覚。大会は失格扱いとなり、東京五輪の代表資格も失った。

広告の下にコンテンツが続きます

マリファナもドーピングの対象薬物だが、リチャードソンは競技力向上ではなく、生母の死去の悲しみを紛らわすために使用したと告白。全米反ドーピング機関(USADA)のカウンセリングプログラムを受けて、資格停止期間が1ヵ月に短縮された。それでも、昨年の全米選手権でも予選で敗退。オレゴン世界選手権の出場も逃したため、その実力を疑う声も少なくなかった。

だが、今季はダイヤモンドリーグで2勝を果たし、全米選手権では予選で10秒71のベストと着実に成長。初のシニア世界大会となった今大会で一気に頂点へと駆け上がった。

「決勝は良いスタートが切れたし、自分のベストを引き出すことができた。私は戻ってきたわけではない、より強くなったのだ。そしてこれからも強くなるだろう」と新女王は喜びを語った。

10秒72で2位となったジャクソンは「できる限りのことはやってきたが……」と言葉少なに会場を後にした。一方、10秒77で3位のフレイザー・プライスは「シャカリとシェリカ、おめでとう!本当に素晴らしいレースだった。前回、私が作った大会記録がもう破られたことはすごいことだと思う」と勝者を称えている。

男子円盤投では最終投てきの逆転劇となり、5回目終了時点で2位だった前回金メダリストのクリストヤン・チェー(スロベニア)が、6回目に70m02を投げてトップに浮上。しかし、逆転された前々回優勝者のダニエル・ストール(スウェーデン)が71m46の大会新スローで再逆転し、2大会ぶり2回目の優勝を果たした。

男子三段跳でもユーグ・ファブリス・ザンゴ(ブルキナファソ)が5回目に17m64(-0.3)を跳んで逆転で優勝。前々回銅メダル、前回銀メダルからさらに順位を上げて、母国に初の金メダルをもたらした。

このほか、男子110mハードルではグラント・ホロウェイ(米国)が12秒96(±0)で圧勝している。

日本勢では男子100mハードルで泉谷駿介(住友電工)が日本人初入賞となる5位。同400mハードルの黒川和樹(法大)は48秒58の日本歴代6位の好タイムをマークした。

4日目も午後セッションのみとなり、赤松諒一(アワーズ)が出場する男子走高跳や三浦龍司(順大)と青木涼真(Honda)が臨む男子3000m障害など決勝4種目が行われる。

◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)3日目 ブダペスト世界選手権3日目が行われ、女子100m決勝はシャカリ・リチャードソン(米国)が世界歴代5位タイの10秒65(-0.2)で優勝を果たし、初のスプリント女王の座についた。 7月の全米選手権予選で10秒71の今季最高を出し、優勝候補としてブダペストに乗り込んでいたリチャードソン。準決勝ではスタートで出遅れてしまうアクシデントもあったが、後半に猛烈な追い込みでなんとか10秒84(-0.4)の3着で決勝に滑り込んだ。 迎えた決勝は大外の9レーンからのスタート。序盤は、6度目の優勝を目指したシェリー・アン・フレイザー・プライスと、前回2位のシェリカ・ジャクソンのジャマイカ勢が先行した。しかし、準決勝同様に60m付近からトップスピードに乗ったリチャードソンがフィニッシュ手前で2人をかわしてフィニッシュ。金メダル確定を知ると飛び跳ねて喜びを表した。 リチャードソンは23歳。19歳だった19年に200mでU20世界記録(当時)となる22秒17を樹立し、100mも10秒75(U20記録としては非公認)をマークして注目を浴びた。 順調なスター街道を歩むかに思われたが、21年の全米選手権100mで初優勝を飾った際のドーピング検査でマリファナの使用が発覚。大会は失格扱いとなり、東京五輪の代表資格も失った。 マリファナもドーピングの対象薬物だが、リチャードソンは競技力向上ではなく、生母の死去の悲しみを紛らわすために使用したと告白。全米反ドーピング機関(USADA)のカウンセリングプログラムを受けて、資格停止期間が1ヵ月に短縮された。それでも、昨年の全米選手権でも予選で敗退。オレゴン世界選手権の出場も逃したため、その実力を疑う声も少なくなかった。 だが、今季はダイヤモンドリーグで2勝を果たし、全米選手権では予選で10秒71のベストと着実に成長。初のシニア世界大会となった今大会で一気に頂点へと駆け上がった。 「決勝は良いスタートが切れたし、自分のベストを引き出すことができた。私は戻ってきたわけではない、より強くなったのだ。そしてこれからも強くなるだろう」と新女王は喜びを語った。 10秒72で2位となったジャクソンは「できる限りのことはやってきたが……」と言葉少なに会場を後にした。一方、10秒77で3位のフレイザー・プライスは「シャカリとシェリカ、おめでとう!本当に素晴らしいレースだった。前回、私が作った大会記録がもう破られたことはすごいことだと思う」と勝者を称えている。 男子円盤投では最終投てきの逆転劇となり、5回目終了時点で2位だった前回金メダリストのクリストヤン・チェー(スロベニア)が、6回目に70m02を投げてトップに浮上。しかし、逆転された前々回優勝者のダニエル・ストール(スウェーデン)が71m46の大会新スローで再逆転し、2大会ぶり2回目の優勝を果たした。 男子三段跳でもユーグ・ファブリス・ザンゴ(ブルキナファソ)が5回目に17m64(-0.3)を跳んで逆転で優勝。前々回銅メダル、前回銀メダルからさらに順位を上げて、母国に初の金メダルをもたらした。 このほか、男子110mハードルではグラント・ホロウェイ(米国)が12秒96(±0)で圧勝している。 日本勢では男子100mハードルで泉谷駿介(住友電工)が日本人初入賞となる5位。同400mハードルの黒川和樹(法大)は48秒58の日本歴代6位の好タイムをマークした。 4日目も午後セッションのみとなり、赤松諒一(アワーズ)が出場する男子走高跳や三浦龍司(順大)と青木涼真(Honda)が臨む男子3000m障害など決勝4種目が行われる。

【動画】大外から強烈な追い込み!大会新が誕生した女子100m

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.06.18

100m清水空跳の“桐生超え”なるか 200mは佐藤克樹と熱戦予感 女子200mの秋澤理沙も注目/IH北信越

広島インターハイ(7月25日~29日)を懸けた地区大会が6月に各地で行われる。 インターハイ北信越地区大会(新潟、長野、富山、石川、福井)は6月19日から22日までの4日間、福井県営陸上競技場(9.98スタジアム)で開か […]

NEWS 女子短距離のフロレス・アリエが日本国籍取得 5月に400mで日本記録上回る51秒71マーク

2025.06.18

女子短距離のフロレス・アリエが日本国籍取得 5月に400mで日本記録上回る51秒71マーク

内閣府が発行する「官報」の第1488号が6月18日に公開され、女子短距離のフロレス・アリエ(日体大)の帰化申請が許可されたことがわかった。 日体大3年のフロレスは静岡県出身。父がペルーと日本、母はイタリアとペルーにルーツ […]

NEWS 円盤投はチェーが70m対決制す 女子ハンマー投はロジャースが貫禄勝ち/WAコンチネンタルツアー

2025.06.18

円盤投はチェーが70m対決制す 女子ハンマー投はロジャースが貫禄勝ち/WAコンチネンタルツアー

6月17日、フィンランド・トゥルクで世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのパーヴォ・ヌルミ・ゲームスが開催され、男子円盤投ではオレゴン世界選手権金メダルのK.チェー(スロベニア)が70m61で優勝した。チェーは […]

NEWS 【プレゼント】効率的な腕の動きを促すためのZAMSTの「アームスリーブ」/2025年7月号

2025.06.18

【プレゼント】効率的な腕の動きを促すためのZAMSTの「アームスリーブ」/2025年7月号

世界と戦うトップアスリートも愛用するサポート・ケア製品ブランド「ZAMST(ザムスト)」を展開する日本シグマックス株式会社。同社から発売中の手首から上腕にかけてサポートする「アームスリーブ」が好評だ。 疲労対策に加え、暑 […]

NEWS 110mH村竹ラシッドがダイヤモンドリーグ・パリにエントリー!今季3戦目

2025.06.18

110mH村竹ラシッドがダイヤモンドリーグ・パリにエントリー!今季3戦目

世界最高峰シリーズのダイヤモンドリーグ(DL)第8戦パリ大会(フランス)のエントリー選手が発表され、男子110mハードルに村竹ラシッド(JAL)が登録した。今大会は予選・決勝となる。 村竹は昨年のパリ五輪で5位の快挙。す […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年7月号 (6月13日発売)

2025年7月号 (6月13日発売)

詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会

page top