HOME 国内

2023.02.20

消耗戦に持ち込んだ池田向希が初V「世界の舞台でリベンジできる権利を得ることができた」/日本選手権20km競歩
消耗戦に持ち込んだ池田向希が初V「世界の舞台でリベンジできる権利を得ることができた」/日本選手権20km競歩

2023年日本選手権20km競歩で初優勝した池田向希(旭化成)

◇第106回日本選手権20km競歩(2月19日/兵庫・神戸)

8時50分にスタートした男子20kmは、東京五輪および昨年のオレゴン世界選手権でともに銀メダルを獲得している池田向希(旭化成)が1時間18分36秒で初優勝。8月19日に開幕するブダペスト世界選手権の代表に内定した。

スタート時に14度を示していた気温も、次第に冷たい雨とともに下がり、さらに時折突風が吹く悪コンディションとなった。そんななか、池田は「安定したペースでいって最後に上げる」というレースプランを描いていたが、「風をあえて利用しよう」という戦略に切り替えた。序盤から誰もが嫌がる向い風のところで前に出て、ペースアップを繰り返る。そうしてライバルたちのスタミナを奪い、「消耗戦に持ち込めたところがうまくいった点かなと思います」と会心のレースを振り返る。

オレゴン世界選手権で連覇を果たし、ワイルドカードでのブダペスト大会出場が決まっている王者・山西利和(愛知製鋼)は出場を見送ったものの、前回に続く7度目のVを目指す高橋英輝(富士通)、オレゴンでは35kmで銀メダルを獲得している川野将虎(旭化成)など日本代表経験者が多数出場。ハイレベルな戦いとなるなか、コンディションに左右されない安定した歩きが光った。

優勝を逃した世界選手権後に歩型を見直し、「ペースやコンディションに左右されない歩きができるようになってきました」と、この日は5人の国際審判員がジャッジするなか「注意もゼロで歩き切れたことは自信になります」と納得の表情を浮かべた。

悪コンディションのなか1㎞・3分49秒から55秒前後のハイラップを刻み、連覇を目指す高橋との一騎打ちに。やや歩型に乱れが出て4回目の注意を受けた高橋が立て直しを図ろうとした直後の16㎞過ぎに一気にスパート。「最後までもつれると何があるかわからないので、一気に引き離そうと思いました」と、終わってみれば2位の高橋に31秒の大差をつけた。

初優勝は果たしたものの、この日はゲスト解説席でレースを見守った山西の存在が常に脳裏にある。「山西さんが今回は出ていなかったので。でも、これで無事に世界選手権の代表に決まり、もう一度、世界の舞台でリベンジできる権利を得ることができました。今回は思い通りのレースができましたが、世界ではさらに激しい途中のゆさぶりや駆け引きがある。その中でも最後にしっかり上げきれるだけの力をつけていきたい」ときっぱり。

広告の下にコンテンツが続きます

神戸をステップに、今度こそ世界の頂点に立つつもりでいる。

文/花木 雫

次ページ 第106回日本選手権20km競歩 男子上位成績

◇第106回日本選手権20km競歩(2月19日/兵庫・神戸) 8時50分にスタートした男子20kmは、東京五輪および昨年のオレゴン世界選手権でともに銀メダルを獲得している池田向希(旭化成)が1時間18分36秒で初優勝。8月19日に開幕するブダペスト世界選手権の代表に内定した。 スタート時に14度を示していた気温も、次第に冷たい雨とともに下がり、さらに時折突風が吹く悪コンディションとなった。そんななか、池田は「安定したペースでいって最後に上げる」というレースプランを描いていたが、「風をあえて利用しよう」という戦略に切り替えた。序盤から誰もが嫌がる向い風のところで前に出て、ペースアップを繰り返る。そうしてライバルたちのスタミナを奪い、「消耗戦に持ち込めたところがうまくいった点かなと思います」と会心のレースを振り返る。 オレゴン世界選手権で連覇を果たし、ワイルドカードでのブダペスト大会出場が決まっている王者・山西利和(愛知製鋼)は出場を見送ったものの、前回に続く7度目のVを目指す高橋英輝(富士通)、オレゴンでは35kmで銀メダルを獲得している川野将虎(旭化成)など日本代表経験者が多数出場。ハイレベルな戦いとなるなか、コンディションに左右されない安定した歩きが光った。 優勝を逃した世界選手権後に歩型を見直し、「ペースやコンディションに左右されない歩きができるようになってきました」と、この日は5人の国際審判員がジャッジするなか「注意もゼロで歩き切れたことは自信になります」と納得の表情を浮かべた。 悪コンディションのなか1㎞・3分49秒から55秒前後のハイラップを刻み、連覇を目指す高橋との一騎打ちに。やや歩型に乱れが出て4回目の注意を受けた高橋が立て直しを図ろうとした直後の16㎞過ぎに一気にスパート。「最後までもつれると何があるかわからないので、一気に引き離そうと思いました」と、終わってみれば2位の高橋に31秒の大差をつけた。 初優勝は果たしたものの、この日はゲスト解説席でレースを見守った山西の存在が常に脳裏にある。「山西さんが今回は出ていなかったので。でも、これで無事に世界選手権の代表に決まり、もう一度、世界の舞台でリベンジできる権利を得ることができました。今回は思い通りのレースができましたが、世界ではさらに激しい途中のゆさぶりや駆け引きがある。その中でも最後にしっかり上げきれるだけの力をつけていきたい」ときっぱり。 神戸をステップに、今度こそ世界の頂点に立つつもりでいる。 文/花木 雫 次ページ 第106回日本選手権20km競歩 男子上位成績

第106回日本選手権20km競歩 男子上位成績

1位 池田向希(旭化成)    1時間18分36秒 2位 高橋英輝(富士通)    1時間19分07秒 3位 野田明宏(自衛隊体育学校)1時間19分52秒 4位 住所大翔(順大)     1時間20分28秒 5位 川野将虎(旭化成)    1時間20分37秒 6位 村山裕太郎(富士通)   1時間21分10秒 7位 諏方元郁(愛知製鋼)   1時間21分40秒 8位 吉川絢斗(東京学芸大)  1時間21分43秒

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.12.11

やり投・北口榛花2025年は「みんなで一緒にもう一度最高の感動を味わいたい!」タニタ健康大賞受賞でコンディション作りも明かす

健康総合企業の株式会社タニタが12月11日、日本人の健康づくりに貢献した個人・団体を顕彰する「タニタ健康大賞」を発表し、女子やり投のパリ五輪金メダリスト・北口榛花(JAL)が選ばれ、同日に贈賞式に出席した。 「競技中でも […]

NEWS 26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定

2024.12.11

26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定

日本陸連は12月11日、2026年に開催される愛知アジア大会のマラソン代表選考方針を発表した。 「国際競技会に通用する『勝負強さ』と『スピード』を有するとともに本大会において最大限に持てる力を発揮できる競技者を選出し、メ […]

NEWS 27年北京世界陸上マラソン代表選考方針が発表!MGCファストパス突破者、MGCシリーズ26-27覇者が内定

2024.12.11

27年北京世界陸上マラソン代表選考方針が発表!MGCファストパス突破者、MGCシリーズ26-27覇者が内定

日本陸連は12月11日、2027年北京世界選手権のマラソン代表選考方針を発表し、編成方針は「2027年度最重要国際競技会と位置づけ、メダル獲得および入賞を目指す競技者で選手団を編成する」とした。 そのうえで、代表内定基準 […]

NEWS 「速い選手」「強い選手」「勢いのある選手」の選考を!ロス五輪に向けマラソン代表選考方針示す

2024.12.11

「速い選手」「強い選手」「勢いのある選手」の選考を!ロス五輪に向けマラソン代表選考方針示す

日本陸連は12月11日、2028年ロサンゼルス五輪のマラソン代表選考の選考方針を明らかにした。 選考競技会としては、2021年東京、24年パリ五輪に向けてと同様に、代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MG […]

NEWS ニューイヤー駅伝のエントリー発表! トヨタ自動車は太田智樹、西山雄介 Hondaはパリ代表・小山直城、青木涼真ら 東日本VのGMOは吉田祐也が登録

2024.12.11

ニューイヤー駅伝のエントリー発表! トヨタ自動車は太田智樹、西山雄介 Hondaはパリ代表・小山直城、青木涼真ら 東日本VのGMOは吉田祐也が登録

12月11日、日本実業団陸上競技連合は第69回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝/2025年1月1日)のエントリー選手を発表した。 前回4回目の優勝を飾ったトヨタ自動車はパリ五輪10000m代表の太田智樹や福岡国際マ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top