2022.11.07
男子走幅跳の橋岡優輝(富士通)が本場・米国でトレーニングするため、11月7日に離日。成田空港で会見を行った。
『世界』への欲求で満ちあふれている。19年ドーハ世界選手権(8位)と21年東京五輪(6位)で入賞している橋岡。だが、今季はケガの影響が長引いたこともあってオレゴン世界選手権では決勝進出するも10位にとどまった。
世界大会を終えるたびに語っていた世界との差が「経験」。その差を埋めるために渡米することを決めた。「レベルアップするために、自分の中で刺激を求めました」。これまで短期では海外遠征を行ったことはあるが、今回の2ヵ月は最長となる。
拠点とするのは米国フロリダ州のジャクソンビルにある「タンブルウィードTC」。男子100mでオレゴン世界選手権ファイナルに進んだサニブラウン・アブデル・ハキームも練習している。以前から海外遠征は頭の中に思い描いていたが、オレゴン後に具体的に動き、高校時代から交流のあるサニブラウンや代理人などを通じて交渉し、実現に至った。
同クラブにはトレイヴォン・ブロメルやマーヴィン・ブレイシーといった世界トップアスリートがいる。「普段の練習からどんなメンタルかなど聞いてみたいです」と橋岡。サニブラウンと同じラナ・レイダー・コーチに指導を仰ぐ予定だという。
実際にはどんな練習をするのは「行ってみないとわかりません」。サニブラウンに聞いても「詳しく教えてくれないので、その面では少し不安もあります」と笑う。クラブに跳躍の選手は不在だが、「元々、冬は跳躍練習をほとんどしません。助走スピードを高めるため、まずはスプリントが大事」と磨いていく構え。冗談交じりに「9秒台を目指します」と言うが、さらに大きなジャンプをするためには走力の向上は不可欠だと捉えている。
今季は「苦しみ抜いた」と橋岡。来年のブダペスト世界選手権は「パリ五輪に向けた大事な通過点」と位置づけている。年末に一度帰国予定だが、その後は再度渡米の可能性も残し、「室内シーズンから(海外)転戦できれば」と思い描く。
「頭を使ってがむしゃらに食らいつきたい。チャレンジが必要。自力を上げて、強くなったという自信をつけて戻ってきたいです。この2ヵ月があったからブダペストで結果を残せたと言えるようにしたい」
橋岡はこれまでも、悔しさをバネに成長してきた。米国は世界選手権を8回制している走幅跳王国。日本陸上界の至宝が陸上競技の『本場』で磨きをかければ、来年はいよいよ世界のトップで勝負するステージに上がる。
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