2020.02.15
青学大・原晋監督が振り返る
「箱根王座」奪還に挑んだ1年間
独自の〝アオガク・メソッド〟で2年ぶり5度目の箱根駅伝総合優勝に導いた原晋監督。1月25日に相模原市で開催された優勝パレードの報告会にて
まさかの敗戦から1年。箱根路に、強い青学大が帰ってきた。戦力低下も囁かれ、チーム運営に苦慮したシーズン前半からのV字回復。わずか1年で箱根王者に返り咲いた秘訣、その舞台裏を知将・原晋監督に振り返ってもらうとともに、黄金期を迎えつつある今後のチーム像を語ってもらった。
●文/田中 葵
●撮影/加藤成一
徹底した「意識改革」で組織を再建
昨年の箱根駅伝では「5連覇確実」と言われながら、敗戦を喫した。5年ぶりに「王者」の肩書きが外れたチームを再建するために、原晋監督が重点を置いたのは「精神面での強化」。〝チーム青山〟の組織力再構築に向けた選手の意識改革にメスを入れた。
「学生には『理念を持つ』『傍観者主義にならない』『他者責任にしない』という、組織発展に必要な三要素をいろんな事例を踏まえながら伝えていきました。あとは『覚悟』。これは主に4年生に伝えたことです。結果は問わないとまでは言いませんが、卒業しても『自分たちの代はがんばった』と胸を張れるOBになれるよう、プロセスを大切に、覚悟を持って取り組みなさいと言ってきました」
その進化の過程で、今季新たに実施した5月のゴールデンウィーク合宿で大きな出来事が起きた。無記名の忘れ物が見つかるという些細なことだったが、それを原監督は大きな問題だと察知したという。
「本当にしょうもないことですよ。合宿中に名前のない忘れ物があって、持ち主が名乗り出なかったんです。そんなわけない。君たち以外いないでしょ、と」
チーム内では同じウェアを着用することは日常茶飯事のため、支給されたら名前を書くことが決められていたが、それが徹底されていなかった。何度も注意をしたにもかわらず、状況が改善しない。それが指揮官はどうしても許せなかった。
「実は同じようなことが1~4月にもあったんです。これは犯人捜しをしているわけではない。その背景が大事で、まずは決められたことができなかったこと。そして、それを誰も注意できないことが大きな問題です。傍観者になっているんです。そんな状況で『次からは気をつけましょう。解散』では何も解決していませんし、終わらせられません。そこは指揮官としてこだわりました」
原監督の厳しい指導で意識改革をして箱根路優勝へたどり着いた青学大の選手たち
その日、夕食後から行われたミーティングは長時間に及び、終了は「24時を回っていたんじゃないかな」(原監督)。翌日にポイント練習が予定されていたこともあり、主務からは終了を打診されたが、「こういった思いを駅伝シーズンまで持ち込みたくないと、ここで意識の共有を図らないといけないと伝えました。『こんなこと……』と思うかもしれませんが、決められたルールも守れないで強くなれるはずがない。練習より大切なことなんだと教え込みました」と指揮官は決して妥協することはなかった。
今季は大黒柱が不在で、総合力で戦っていくためにも、こうした徹底が不可欠。「傍観者とならず、全員がリーダ―意識を持つチームにならないといけない」。そう何度も言い続けた結果、4年生が朝練習で一番最後まで残ってケアやコアトレを行うなど、下級生を引っ張っていく姿を見せるようになっていく。チーム全体の雰囲気も変わる転機となった。
精神面で成長した選手たちは、走りでも戦う集団へ変貌を遂げた。出雲、全日本では5位、2位と優勝こそ逃したものの、「いずれも優勝争いに加わることができ、決して悲観するものではなかった」と原監督。11月の世田谷246ハーフと関東学連主催の10000m記録挑戦競技会、そして12月上旬に千葉県富津市で実施した選抜強化合宿を経て、王座奪還への確固たる手応えをつかんでいった。
「夏合宿後の学内5000mタイムトライアルでは、過去5年と遜色のないデータが出てきて、『もしかしたら強いのではないか?』と思い始めました。箱根では特殊区間もあるので、そこを含めて戦える感触はありましたし、12月の強化合宿で過去と変わらぬ練習を消化していました。12月10日のエントリー段階では『これは勝てるな』と思っていましたね」
※この続きは2020年2月14日発売の『月刊陸上競技3月号』をご覧ください。
定期購読はこちらから
青学大・原晋監督が振り返る 「箱根王座」奪還に挑んだ1年間
独自の〝アオガク・メソッド〟で2年ぶり5度目の箱根駅伝総合優勝に導いた原晋監督。1月25日に相模原市で開催された優勝パレードの報告会にて
まさかの敗戦から1年。箱根路に、強い青学大が帰ってきた。戦力低下も囁かれ、チーム運営に苦慮したシーズン前半からのV字回復。わずか1年で箱根王者に返り咲いた秘訣、その舞台裏を知将・原晋監督に振り返ってもらうとともに、黄金期を迎えつつある今後のチーム像を語ってもらった。
●文/田中 葵
●撮影/加藤成一
徹底した「意識改革」で組織を再建
昨年の箱根駅伝では「5連覇確実」と言われながら、敗戦を喫した。5年ぶりに「王者」の肩書きが外れたチームを再建するために、原晋監督が重点を置いたのは「精神面での強化」。〝チーム青山〟の組織力再構築に向けた選手の意識改革にメスを入れた。 「学生には『理念を持つ』『傍観者主義にならない』『他者責任にしない』という、組織発展に必要な三要素をいろんな事例を踏まえながら伝えていきました。あとは『覚悟』。これは主に4年生に伝えたことです。結果は問わないとまでは言いませんが、卒業しても『自分たちの代はがんばった』と胸を張れるOBになれるよう、プロセスを大切に、覚悟を持って取り組みなさいと言ってきました」 その進化の過程で、今季新たに実施した5月のゴールデンウィーク合宿で大きな出来事が起きた。無記名の忘れ物が見つかるという些細なことだったが、それを原監督は大きな問題だと察知したという。 「本当にしょうもないことですよ。合宿中に名前のない忘れ物があって、持ち主が名乗り出なかったんです。そんなわけない。君たち以外いないでしょ、と」 チーム内では同じウェアを着用することは日常茶飯事のため、支給されたら名前を書くことが決められていたが、それが徹底されていなかった。何度も注意をしたにもかわらず、状況が改善しない。それが指揮官はどうしても許せなかった。 「実は同じようなことが1~4月にもあったんです。これは犯人捜しをしているわけではない。その背景が大事で、まずは決められたことができなかったこと。そして、それを誰も注意できないことが大きな問題です。傍観者になっているんです。そんな状況で『次からは気をつけましょう。解散』では何も解決していませんし、終わらせられません。そこは指揮官としてこだわりました」
原監督の厳しい指導で意識改革をして箱根路優勝へたどり着いた青学大の選手たち
その日、夕食後から行われたミーティングは長時間に及び、終了は「24時を回っていたんじゃないかな」(原監督)。翌日にポイント練習が予定されていたこともあり、主務からは終了を打診されたが、「こういった思いを駅伝シーズンまで持ち込みたくないと、ここで意識の共有を図らないといけないと伝えました。『こんなこと……』と思うかもしれませんが、決められたルールも守れないで強くなれるはずがない。練習より大切なことなんだと教え込みました」と指揮官は決して妥協することはなかった。
今季は大黒柱が不在で、総合力で戦っていくためにも、こうした徹底が不可欠。「傍観者とならず、全員がリーダ―意識を持つチームにならないといけない」。そう何度も言い続けた結果、4年生が朝練習で一番最後まで残ってケアやコアトレを行うなど、下級生を引っ張っていく姿を見せるようになっていく。チーム全体の雰囲気も変わる転機となった。
精神面で成長した選手たちは、走りでも戦う集団へ変貌を遂げた。出雲、全日本では5位、2位と優勝こそ逃したものの、「いずれも優勝争いに加わることができ、決して悲観するものではなかった」と原監督。11月の世田谷246ハーフと関東学連主催の10000m記録挑戦競技会、そして12月上旬に千葉県富津市で実施した選抜強化合宿を経て、王座奪還への確固たる手応えをつかんでいった。
「夏合宿後の学内5000mタイムトライアルでは、過去5年と遜色のないデータが出てきて、『もしかしたら強いのではないか?』と思い始めました。箱根では特殊区間もあるので、そこを含めて戦える感触はありましたし、12月の強化合宿で過去と変わらぬ練習を消化していました。12月10日のエントリー段階では『これは勝てるな』と思っていましたね」
※この続きは2020年2月14日発売の『月刊陸上競技3月号』をご覧ください。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2026.02.05
【大会結果】第12回アジア室内選手権(2026年2月6日~8日)
2026.02.05
木梨嘉紀がベルギーの室内60mで2位!黒木海翔、藤原寛人も決勝に進出/WA室内ツアー
2026.02.05
勝木隼人、川野将虎が東京マラソンのペースメーカーに!「安心してついてきてください」
-
2026.02.05
-
2026.02.04
-
2026.02.04
2026.01.31
青学大・黒田朝日は「コンディション不良に近い」MGC獲得が「第一目標」/別大毎日マラソン
2026.02.01
【大会結果】第29回日本学生ハーフマラソン選手権(2026年2月1日)
-
2026.02.01
2026.01.31
青学大・黒田朝日は「コンディション不良に近い」MGC獲得が「第一目標」/別大毎日マラソン
-
2026.02.01
-
2026.01.18
Latest articles 最新の記事
2026.02.05
【大会結果】第12回アジア室内選手権(2026年2月6日~8日)
【大会結果】第12回アジア室内選手権(2026年2月6日~8日/中国・天津) 男子 60m 金 銀 銅 [日本代表] 桐生祥秀(日本生命) 守祐陽(大東大) 400m 金 銀 銅 [日本代表] 佐藤風雅(ミズノ) 800 […]
2026.02.05
勝木隼人、川野将虎が東京マラソンのペースメーカーに!「安心してついてきてください」
東京マラソンの主催者は2月5日、東京マラソン2026の参加ランナー向けのペースセッター(ペースメーカー)を発表し、男子競歩日本代表の2人が参加することが決まった。 昨年の東京世界選手権35km競歩銅メダルを獲得した勝木隼 […]
2026.02.05
東京メトロ・佐藤奈々が現役引退 女子3000m障害でアジア選手権銅、日本選手権7度入賞
東京メトロは2月5日、佐藤奈々が2月8日の全日本実業団ハーフマラソンをもって現役を引退することを発表した。 佐藤は1989年生まれの36歳。京教大附高から京教大に進み、大学院生時代から3000m障害に取り組み、日本インカ […]
2026.02.04
関東学院大にチーム初のケニア人留学生・オンディソが入学 自由ケ丘高・吉田悠輝ら11人が加入
2月4日、関東学院大は今春に入部予定の11人を発表した。 5000mの持ち記録では14分45秒63の吉田悠輝(自由ケ丘高・福岡)がトップ。吉田は1500mも得意としており、インターハイ路線では北九州大会に進んでいる。 広 […]
Latest Issue
最新号
2026年2月号 (1月14日発売)
EKIDEN Review
第102回箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
全国高校駅伝
全国中学校駅伝
富士山女子駅伝