男子400mハードルで東京五輪代表に内定した安部孝駿(ヤマダホールディングス)が7月9日、都内の練習拠点で合同取材を行い、その後は練習を公開した。
2011年テグから、13年モスクワ、17年ロンドン、19年ドーハと4度の世界選手権代表となっている安部。この種目の第一人者だが、オリンピックは東京五輪が初出場となる。「高校生の頃からずっと出たいと思って目指してきた舞台」にようやく立つことができる。
すでに参加標準記録(48秒90)をクリアした状態で今シーズンに突入。日本選手権で3位以内となれば即時内定が得られる優位な状況だった。しかし、春先にアキレス腱を負傷。さらに、5月の東京五輪テストイベントでは自身が4位と苦しむなか、若手の黒川和樹(法大)、山内大夢(早大)、そしてドーハ代表の豊田将樹(富士通)が参加標準記録を突破。代表3枠を4人が争う展開となった。
「5月の試合以降は治療に最低週1回2時間以上通い、調子が上向いていた」状態で日本選手権へ。12年ロンドン五輪の年には参加標準記録をクリアしていながら日本選手権で「若さもあって勝ちに行ってしまった」ことで5位に敗れている苦い経験も。そのため、「しっかり3位以内を目指し」2位で初五輪を手にした。
これまで2度、オリンピックへの挑戦があったが届かず、「何かが足りなかったということ」。その何かを埋める作業がこの5年だったのだが、ケガやコロナ禍もあって苦しい時期が続いたという。特にこの春はケガで不安が募ったが「家族やチーム、多くの人が支えてくれた」ことで自分と逃げずに向き合えた。「当時はただ、漠然と『行きたい』だけだった。今はどういうサポートを受けて、どういうふううに戦っていくか、出た先のことを考えられている」と語る。
今季、世界の男子400mハードルは過去最高レベルに到達。世界記録が誕生するなど、上位争いは熾烈だ。「そこに勝つのが難しい」としながら「4位以下は混戦」と踏む。狙うのは「準決勝で自分の走りをすること」。そこで自己ベストが出れば、ファイナルも見えてくる。
「いろいろな難しい状況もありましたが、乗り越えてきたことで自信がつきました。8台目以降の走りがポイント。競り合った中でどれだけ自分の走りができるかだと思っています。準決勝で自分が持っている以上の走りをする。日本選手権の時よりはコンディションを上げていける。夢の舞台を存分に味わってレースがしたいです」
飯塚翔太(ミズノ)、戸邉直人(JAL)、大迫傑(Nike)、岡田久美子(ビックカメラ)らとともに2010年世界ジュニア選手権を戦った『プラチナ世代(1991年度)』の一人。29歳のハードラーが、満を持して初の夢舞台に挑む。

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.07.07
2025.07.05
パリ五輪代表の山本有真は7位に涙「現実を受け入れられない」/日本選手権
-
2025.07.02
2025.06.17
2025中学最新ランキング【男子】
-
2025.06.17
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.07.08
ホクレンDC第4戦北見大会のエントリー発表 1500mに日本選手権Vの飯澤千翔、遠藤日向ら 男子5000mには五輪マラソン・ケニア代表ムティソも
日本陸連は7月8日、ホクレンディスタンス第4戦・北見大会(7月16日)のエントリー選手を発表した。 男子1500mでは5月のアジア選手権、7月の日本選手権では連覇を飾った飯澤千翔(住友電工)が登録。また、5000mでブダ […]
2025.07.08
セイコーが東京2025世界陸上競技選手権大会の開催を記念したミニスポーツタイマークロックを数量限定で発売!
セイコーウオッチは7月8日、東京2025世界陸上競技選手権大会の開催を記念して、ゴールドカラーをまとった特別仕様のミニスポーツタイマークロックを8月1日より発売することを発表した。希望小売価格は5,500円(税込)、国内 […]
2025.07.08
広島インターハイのスタートリスト発表!! 久保凛は800m予選6組、1500m予選1組に登録 清水空跳は100m7組目 フィールド予選通過ラインも決定
◇全国高校総体(インターハイ、7月25日~29日/広島・ホットスタッフフィールド広島) 7月7日、広島インターハイの大会事務局は大会サイトでスタートリストならびに、フィールド種目の予選通過記録を発表した。 広告の下にコン […]
2025.07.08
プーマから日本人の足に合わせたフィット感を実現した新作ランニングシューズ「VELOCITY NITRO™ 4」が登場!
プーマ ジャパンは、“弾む走りで、世界が広がる”をコンセプトとした新作ランニングシューズ「VELOCITY NITRO™ 4(ヴェロシティ ニトロ 4)」を、7月17 日よりプーマストア、公式オンラインストア、一部取扱い […]
2025.07.07
東京世界陸上の競技開始時間が一部変更 DAY8最終種目が女子5000m決勝から男子800m決勝へ
9月13日~21日に東京・国立競技場で開かれる東京世界選手権のDAY1、DAY2、DAY8、DAY9の競技開始時間の一部が変更になった。7月1日に変更が加えられており、大会公式のSNSで7月7日に発表された。 最も大きな […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会