HOME 国内、世界陸上、日本代表
足の痛みに耐えた赤松諒一 2大会連続8位タイも「2m28は絶対に跳べると思っていた」/東京世界陸上
足の痛みに耐えた赤松諒一 2大会連続8位タイも「2m28は絶対に跳べると思っていた」/東京世界陸上

健闘を称えたった赤松諒一(右)と瀬古優斗

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)4日目

東京世界陸上4日目のイブニングセッションが行われ、男子走高跳決勝に出場した赤松諒一(SEIBU PRINCE)が2m24を跳び、8位入賞を果たした。

前回のブダペスト大会に続き8位タイ。昨年のパリ五輪では自己ベストの2m31で日本勢88年ぶりとなる五輪最高順位タイの5位に入り、世界大会で3年連続の入賞という快挙となった。

広告の下にコンテンツが続きます

それでも今大会はメダル獲得を狙っていただけに、赤松は「入賞できてうれしい気持ちはもちろんありますが、目標を達成できなかった悔しさのほうが大きいです」と無念さをにじませた。

足に痛みを抱え、万全のコンディションではなかった。2年前のブダペスト大会直前に踏み切り脚の左足小指を疲労骨折し、昨年3月に手術でボルト固定。その左足に、大会2週間前から再び痛みが出ていたという。「(7月4日の)日本選手権ぶりの跳躍」となった14日の予選では、2m21を跳んだ直後に「激痛が走った」と明かした。

それでも予選では2m16、2m21、2m25をすべて一発クリアし、全体トップタイで決勝に進出。さすが世界ランキング7位の実力を示した。

迎えた決勝。「足の痛みはアップの段階から常にあった」が、赤松に迷いはなかった。「今年一番の目標にしていた大会だったので、痛みがあっても思い切って踏み切ろうと決めていました」。

最初の2m21は華麗な跳躍で一発クリア。観客の手拍子を求めて臨んだ2m24は1回目の失敗の後、2回目できっちり成功させた。

「助走のスピードを落とさずにアプローチできた試技が何本かできたのは良かった。攻めた助走ができましたし、今年1番の助走になったと思います」

しかし2m28は3回ともクリアならず。ともに決勝を戦い、2m21の10位で競技を終えていた瀬古優斗(FAAS)が「何か見るところありますか?」と声をかけ、踏み切り位置の確認を手伝ってくれたという。赤松はその気遣いに感謝しつつも、結果には結びつかなかった。

「多少浮いていた感覚はありましたが、最後の腰の抜きが足りず、前後に幅のない跳躍になってしまった。修正できませんでした」と振り返る。

「2m28は絶対に跳べると思っていたのですが、結果的には跳べなかったので本当に悔しい試合でした。ようやく世界のレベルで戦えるようにはなってきましたが、記録としてはまだまだ弱い。そういった弱さを今後、冬季のトレーニングで修正していきたいと思います」

まだまだ世界の舞台で挑戦を続ける30歳。その姿勢こそが、赤松を日本男子ハイジャンの第一人者たらしめている。

文/小野哲史

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)4日目 東京世界陸上4日目のイブニングセッションが行われ、男子走高跳決勝に出場した赤松諒一(SEIBU PRINCE)が2m24を跳び、8位入賞を果たした。 前回のブダペスト大会に続き8位タイ。昨年のパリ五輪では自己ベストの2m31で日本勢88年ぶりとなる五輪最高順位タイの5位に入り、世界大会で3年連続の入賞という快挙となった。 それでも今大会はメダル獲得を狙っていただけに、赤松は「入賞できてうれしい気持ちはもちろんありますが、目標を達成できなかった悔しさのほうが大きいです」と無念さをにじませた。 足に痛みを抱え、万全のコンディションではなかった。2年前のブダペスト大会直前に踏み切り脚の左足小指を疲労骨折し、昨年3月に手術でボルト固定。その左足に、大会2週間前から再び痛みが出ていたという。「(7月4日の)日本選手権ぶりの跳躍」となった14日の予選では、2m21を跳んだ直後に「激痛が走った」と明かした。 それでも予選では2m16、2m21、2m25をすべて一発クリアし、全体トップタイで決勝に進出。さすが世界ランキング7位の実力を示した。 迎えた決勝。「足の痛みはアップの段階から常にあった」が、赤松に迷いはなかった。「今年一番の目標にしていた大会だったので、痛みがあっても思い切って踏み切ろうと決めていました」。 最初の2m21は華麗な跳躍で一発クリア。観客の手拍子を求めて臨んだ2m24は1回目の失敗の後、2回目できっちり成功させた。 「助走のスピードを落とさずにアプローチできた試技が何本かできたのは良かった。攻めた助走ができましたし、今年1番の助走になったと思います」 しかし2m28は3回ともクリアならず。ともに決勝を戦い、2m21の10位で競技を終えていた瀬古優斗(FAAS)が「何か見るところありますか?」と声をかけ、踏み切り位置の確認を手伝ってくれたという。赤松はその気遣いに感謝しつつも、結果には結びつかなかった。 「多少浮いていた感覚はありましたが、最後の腰の抜きが足りず、前後に幅のない跳躍になってしまった。修正できませんでした」と振り返る。 「2m28は絶対に跳べると思っていたのですが、結果的には跳べなかったので本当に悔しい試合でした。ようやく世界のレベルで戦えるようにはなってきましたが、記録としてはまだまだ弱い。そういった弱さを今後、冬季のトレーニングで修正していきたいと思います」 まだまだ世界の舞台で挑戦を続ける30歳。その姿勢こそが、赤松を日本男子ハイジャンの第一人者たらしめている。 文/小野哲史

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.16

中央学大がTKK株式会社とスポンサー契約 同大卒業生が代表取締役

中央学大駅伝部が「TKK株式会社」とスポンサー契約を結んだことを発表した。 同社は千葉県八千代市に本社を構え、主にプレキャストコンクリート鋼製型枠を取り扱うメーカー。中央学大卒業の安保誠司氏が代表取締役を務めており、「未 […]

NEWS 今年度限りでの「引退」を表明した村澤明伸インタビュー【前編】 大学3・4年時はトラックと駅伝の両立に挑戦したが「バランスを取るのが難しかった」

2025.12.16

今年度限りでの「引退」を表明した村澤明伸インタビュー【前編】 大学3・4年時はトラックと駅伝の両立に挑戦したが「バランスを取るのが難しかった」

全国高校駅伝で日本一に輝き、箱根駅伝は花の2区で快走。日本選手権10000mでも上位に食い込んだのが、村澤明伸(SGホールディングス、34歳)だ。紆余曲折を経て、今年度限りでの「引退」を表明したが、どんな競技生活を過ごし […]

NEWS ニューイヤー駅伝エントリー発表! トヨタ自動車は鈴木芽吹が登録も太田智樹が外れる 連覇目指す旭化成は葛西潤、Honda・小山直城、GMO・吉田祐也らエントリー!

2025.12.16

ニューイヤー駅伝エントリー発表! トヨタ自動車は鈴木芽吹が登録も太田智樹が外れる 連覇目指す旭化成は葛西潤、Honda・小山直城、GMO・吉田祐也らエントリー!

12月16日、日本実業団陸上競技連合は第70回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝/2026年1月1日)のエントリー選手を発表した。70回記念大会の今回は、例年より3チーム多い、40チームがエントリーした。 前回、5年 […]

NEWS 赤﨑優花が自身の思いと感謝綴る 移籍は「前向きな決断」「この道を正解にします」

2025.12.16

赤﨑優花が自身の思いと感謝綴る 移籍は「前向きな決断」「この道を正解にします」

12月15日で第一生命グループを退社し、夫の赤﨑暁も所属するクラフティア(前・九電工)へ移籍加入した赤﨑優花(旧姓・鈴木)が自身のSNSを更新し、改めて思いを綴った。 昨年のパリ五輪女子マラソン6位入賞の赤﨑。「決して悲 […]

NEWS お詫びと訂正(月刊陸上競技2026年1月号)

2025.12.16

お詫びと訂正(月刊陸上競技2026年1月号)

月刊陸上競技2026年1月号別冊付録「全国高校駅伝総展望」に掲載したデータに誤りがございました。 正しいデータの情報を掲載するとともに、関係者の皆様にお詫びをし、訂正いたします。 男子 今治北(愛媛) 誤 都大路学校最高 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top