◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目
東京世界陸上の3日目が行われ、男子棒高跳のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)が6m30の世界新記録を樹立し、大会3連覇を達成した。
「想像以上に素晴らしい結果を出せました。みんなにこの世界記録を届けられて最高です」
興奮冷めやらぬ中、5万人の観客のインタビューに答えたデュプランティス。今大会一番の歓声がスターを包んだ。
デュプランティスにとって東京は特別な場所である。初めて世界タイトルを獲得したのは2021年の東京五輪。当時21歳で既に世界記録保持者だったが、無観客の国立競技場で種目の第一人者としての地位を確立した。
その後も記録を更新し続け、今年8月には6m29まで到達。世界陸上は2022年オレゴン、2023年ブダペストと連覇し、2024年はパリ五輪も制覇した。直近の敗戦は2023年8月であり、35連勝中。彼の出場する競技では、勝敗よりも「世界記録更新」が最大の注目点となっている。
今回もまた同じ展開だった。5m55から跳びはじめ、5m85、5m95、6m00をいとも簡単にクリア。1人また1人と脱落者が増えるなか、別次元のパフォーマンスを披露した。
同じ1999年生まれで、15歳の頃から国際舞台を共にしてきたエマノイル・カラリス(ギリシャ)が6m00に成功し食い下がったが、6m10、6m15、6m20を1回ずつ失敗。この時点でデュプランティスの3連覇が確定した。
こうなれば、あとは世界新記録の誕生を待つだけ。すでに他の競技は終了しており、観客の視線はデュプランティスにだけ注がれた。
1回目,2回目とバーが身体をかすめて失敗。ただ、いずれの試技も成功を予感させるには十分なパフォーマンスだった。そして迎えた最後の試技。大歓声のなか助走をはじめ、ポールを突っ込み、そして踏み切る。脚を振り上げてロックバック局面から倒立姿勢へ。すべての動きが流れるように進み、身体がふわりと宙に舞う。2回目と同様に、バーはわずかに揺れたものの、支柱から落ちることはなかった。
試合の度に世界記録を期待されるプレッシャーは計り知れない。だが本人は「もう慣れたこと。大会への準備には自信を持って臨んでいる。私はいつも全身全霊で取り組んでいる」と意に介さない。
何よりも、この日は満員の国立競技場が、デュプランティスを奮い立たせた。「4年前とは違い、観客のエネルギーがあふれていた。夜も更ける中の雰囲気は、いままでで経験した中で最高のスタジアムの1つだった」と、ファンの期待を力に変えたことを、自身のパフォーマンスで証明した。
「6m30はとても素敵な響きだと思う。6m29よりもずっと特別な記録になる。しかも、世界陸上で世界記録を出せたことが格別なことだ」
そう笑顔で話し、熱気に包まれたスタジアムを後にした。
【動画】デュプランティスが空に舞う!6m30の世界新
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