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棒高跳・諸田実咲 涙のバー越え「あきらめなくて良かった」5月両手首骨折から大舞台へ/東京世界陸上
棒高跳・諸田実咲 涙のバー越え「あきらめなくて良かった」5月両手首骨折から大舞台へ/東京世界陸上

東京世界陸上女子棒高跳予選に出場した諸田実咲

【動画】女子棒高跳予選に出場した諸田の跳躍!

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目 東京世界陸上3日目のモーニングセッションに行われた女子棒高跳予選に日本記録保持者の諸田実咲(アットホーム)が出場し、4m25をマーク。決勝進出は果たせなかったが、この種目16年ぶりの代表で確かな足跡を刻んだ。 「3ヵ月前に大ケガをして間に合うかどうかギリギリの状態だったので、正直、ホッとしました。バーを越えられるか不安だったので…。あきらめなくて良かったです。満足できない記録でも、残せて良かった」 そう言うと涙が溢れた。 23年のアジア大会銀メダリストで、4m48の日本記録保持者の諸田。ワールドランキングで東京世界陸上を見えるところにいたが、アクシデントは5月末のアジア選手権だった。激しい風雨にあおられて踏み切れず、押し戻されて着地。その際に両手をついて、両手首骨折の重傷を負った。特に右手は手術してボルトを入れて止めるほど。銅メダルだったが表彰台にその姿はなく、すぐに帰国した。 「絶望的で正直、無理かなと思いました」。ただ、ドクターや田中成コーチらの支えから前を向くと、練習もすぐに再開。だが、実際にポールを持っての練習になると「怖さがありました」。衝撃から痛みが出ることもあり、直前の記録会で4m00を跳んでいたとはいえ、「ウォーミングアップまで怖さがあった」。 しかし、午前中からスタンドにも大勢の人が訪れ、家族や所属先の人たちなどが応援に駆けつけて「本当に後押しされました」。最初の高さは4m25で、2回失敗したが「冷静に自分の動きができれば跳べると思っていました」と自信がみなぎり、見事にバーを越えた。挫折、ケガ、恐怖心に打ち勝った価値ある1本だった。 この種目で世界陸上の出場は2009年ベルリン大会の近藤高代以来のこと。中学、高校、大学と棒高跳の記録を次々と塗り替えてきた“申し子”が、また一つ歴史を開いた。 それでも、万全ではないとはいえ「決勝というのは全然遠いというのを改めて感じました。もっとベースアップして、日本のレベルを引き上げていきたい」。この一歩は諸田の競技人生において、そして日本女子棒高跳にとっても大きなものになった。

【動画】女子棒高跳予選に出場した諸田の跳躍!

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