2024.07.30
いよいよ間近に迫るパリ五輪の陸上競技。今大会は55人の代表が世界に挑戦する。ここで改めて3年前の東京五輪の日本勢の戦いぶりをプレイバック!
コロナ禍により、本来2020年に開催だったが1年の延期。さらに、酷暑の影響でマラソン・競歩が札幌開催となるなど、紆余曲折ありながらも無観客で開催にこぎ着けた。
日本代表がメダルを手にしたのは陸上7日目。札幌開催の男子20km競歩で、池田向希(旭化成)が銀メダル、山西利和(愛知製鋼)が銅メダルを手にした。イタリアのマッシモ・スタノとの壮絶な競り合いに敗れたが、同一種目の複数メダルは1936年ベルリン大会(男子マラソン、棒高跳、三段跳)以来、実に85年ぶりだった。池田はパリ五輪でも代表入り。男子の2大会連続メダルとなれば1932年ロスと36年ベルリンの棒高跳・西田修平以来の快挙だ。
メダルはこの2つだったが、ハイライトとなったのは田中希実(当時・豊田自動織機TC)の女子1500m8位入賞だった。当時・21歳の田中は快進撃を見せる。5000mは決勝進出を逃したが、それにより吹っ切れた田中。1500mの予選で4分02秒33の日本新を樹立すると、準決勝で日本女子初の4分切りとなる3分59秒19とさらに日本記録を更新。5着に入ってファイナルに進んだ。これだけでとてつもない偉業だが、決勝でも3分59秒95を叩き出して8位でフィニッシュラインを駆け抜けた。身長152cmの小さな巨人が世界への扉を開いた瞬間だった。
若き力は地元で輝きを放つ。男子3000m障害では当時・順大2年だった三浦龍司が、予選で8分09秒92の日本新。2着で決勝に進むと、ファイナルも激走を見せて8分16秒90で7位入賞を果たしている。
女子10000mでは廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が25年ぶり入賞となる7位。5000mでは16年ぶりに日本記録(当時)を樹立する14分52秒84で9位と日本長距離のエースとして君臨した。
田中、三浦はパリ五輪でさらなる飛躍を誓う。
男子50km競歩では川野将虎(旭化成)が6位。長い歴史を誇るこの種目だが、改変のため東京五輪を最後に、35kmへと距離が短縮された。日本にとっても重視してきた種目で意地を見せた。川野は今大会、男女混合競歩リレーに登場する。
男子フィールドのエース・走幅跳の橋岡優輝(富士通)は8m10(±0)を跳んで6位。日本37年ぶりの入賞だった。それでも悔しさのあまり、その日のうちに選手村をあとにした橋岡。この借りはパリで返す。
のちに世界女王に輝く女子やり投の北口榛花(JAL)は57年ぶりに決勝に進んだものの、左脇腹を痛めて決勝は12位。涙に暮れたが、その悔しさをバネに、その後の活躍は誰もが知るところ。パリも優勝候補に挙がる。
男女マラソンも入賞の意地。男子は大迫傑(Nike)が6位。今大会を最後に現役引退。覚悟して望み、レース後は涙を見せた。その後は現役復帰し、2度目のマラソン代表を手中に収めパリでもその走りが見られる。女子は一山麻緒(当時・ワコール)が粘りの走りで8位。一山もパリ五輪代表を決めている。ともに前回の経験を生かして2大会連続入賞なるか。
地元の大きな期待を背負った男子4×100mリレー。前回のリオの銀から5年がたち、多田修平(住友電工)、山縣亮太(セイコー)、桐生祥秀(日本生命)、小池祐貴(住友電工)で臨んだものの、決勝は1・2走でバトンがつながらずに途中棄権だった。
日本はメダル2、入賞7。これは戦後史上最高の成績だった。3年の時を経て、前回初出場として活躍した選手たちも多く残り、この3年間は世界を主戦場に戦ってきた。8月1日から始まる大舞台。日出ずる国のアスリートが、花の都でまばゆいばかりの輝きを放つ。
文/向永拓史
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