2024.02.09
男子マラソンの日本記録保持者(2時間4分56秒)である鈴木健吾(富士通)が2月9日、エントリーしている東京マラソンに向けてオンラインで取材に応じた。
「このマラソンに向けて練習を継続でき、予定していた練習は消化できています」。久しぶりに笑顔をのぞかせる。昨年10月のパリ五輪代表選考会マラソングランドチャピオンシップ(MGC)は途中棄権。そこに向けては「脚の状態も良くなかった」と打ち明ける。それでも、「どうしてもスタートラインに立たないと次がない」と覚悟の上で走り出したという。
21年に日本新、そして22年は東京でパフォーマンス歴代2位となる2時間5分28秒をマーク。オレゴン世界選手権代表を勝ち取った。だが、そこから苦しい日々が待っていた。
「(体調不良で)オレゴンを辞退してから、歯車が噛み合わない時期が長く続き、大会の欠場も多かったです」。大小のケガも重なり、22年の東京以来、フルマラソンの完走はない。走れない時期も長く、「気持ちが沈む時もありました」。ただ、心に火を灯し続けられたのは、オリンピックに向けた強い思いがあるからだった。
2019年の東京五輪MGCは7位。「勝負することができなかった」。それからは「次こそは、という思いで、いろいろなサポートのお陰でここまで取り組んできました。自分の大きな目標としてオリンピックがあったので、ぶらさずにやってこられて今があります」。
昨年のMGCを経て「今の自分の立ち位置、状態が良くも悪くもわかりました。もう一回じっくり作り直す必要があると思い、じっくりやっていきました」。自身が「走るのが好きなので、(故障していても)なるべく走り続けたいタイプ」と言うが、ここまでは「状態を整えてから練習に入った」と耐えた。それには福嶋正・総監督は「苦しい時も糧になって精神的にも成長しています」と言う。
1月は徳之島で合宿。あの高橋尚子もこなしたアップダウンの多い“尚子コース”で「脚作りをしてきました」。福嶋・総監督も「予定通りできた」と順調をアピールする。「22年に比べ、練習の内容からするとそこまで大きく変わらない」(鈴木)といい、「あと1ヵ月で仕上げていきたい」。
パリ五輪代表の残り1枠のために必要なのは2時間5分50秒。それ以上のタイムを出して、日本人トップにならなければならない。もちろん、先に行われる大阪マラソンの結果次第でも展開は変わりそう。ただ、初マラソンも東京で、2年前には設定記録を上回るタイムを出しているだけに「比較的平坦で、記録が出やすいコース。相性は悪くない」。
「やれる準備をして後悔ないように走りたい。まずは代表にならないと本当の勝負の場に立てない。代表になることを第一目標にチャレンジしていきたい」
強い覚悟を持って臨む東京マラソンで完全復活し、夢のオリンピック代表をつかみ取るつもりでいる。
東京マラソンは3月3日、9時10分に号砲が鳴る。
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