2023.12.28
「やっと優勝を狙えるチームになってきた」
実業団選手だった両親を持つ吉居は中学時代から全国大会で活躍。宮城・仙台育英高時代は故障に苦しみながらも、3年時にはインターハイ5000mで日本人トップに輝くと、全国高校駅伝では日本一も経験した。
中大に進学すると、1年時は5000mでU20日本記録を2度も更新。冬季にはバウワーマントラッククラブ(BTC)の練習に参加するなど、世界を本気で目指してきた。その一方で大学1年時に藤原正和駅伝監督から「第100回大会の箱根駅伝で優勝を目指そう!」という言葉を聞き、吉居も”同じ夢”を追い求めるようになった。
「箱根駅伝を目指すチームの一員になり、年々、第100回大会で優勝したい気持ちが強くなってきたんです」
目標にしていた5000mでの世界大会出場はかなわなかったが、今季は10月1日の世界ロードランニング選手権5kmに出場。箱根駅伝だけでなく、スピードを磨き、世界への挑戦も続けてきた。
8月下旬にコロナ感染した影響もあり、出雲駅伝は欠場。全日本大学駅伝も3区で区間11位と振るわなかった。それでも吉居は自身の成長を感じている。
「今季は凄く良い記録を出すことはできなかったんですけど、シーズンを通して5000mは13分30秒前後で安定して走れました。練習も2・3時と比べてできるようになっています」
![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2023/12/DSC06765.jpg)
チーム力が上がり「優勝を目指せる」と実感(チーム提供)
吉居は11月25日の八王子ロングディスタンス10000mに出場した。駒大のエース3人が27分20~30秒台で駆け抜けたレースで28分01秒02。わずかだが自己ベスト(28分03秒90)を更新している。
「僕のターゲットは27分50秒~28分切りだったんです。ペースメーカーが予定より速くなり、中盤から自分で引っ張るような展開になりました。最後は少しペースを落としてしまいましたが、悪くはなかったと思っています。駒大勢ですか? 自分たちのやるべきことをやるだけなので、あまり意識していません。僕らの一番の目標は1月2日・3日の箱根駅伝ですから」
10000mのレースとしては駒大勢に”完敗”したかたちだが、箱根駅伝に向けての調整は成功したと感じているようだ。最後の箱根駅伝で吉居は何区に登場するのだろうか。
「前回経験していますし、頑張りポイントもわかったので、自分としては2区がいいんじゃないかなと思います」。目標タイムについては「自分は前半突っ込むタイプなので、1時間5分30秒を切るような勢いでいきたいです」。
箱根駅伝の予選会を2度経験するも、吉居が入学して中大は急上昇を始めた。最後の学生駅伝で大学4年間のすべてを懸ける。
「やっと箱根駅伝で優勝を狙えるチーム状況になってきました。駒大は強いですけど、自分や中野が駒大の芽吹、篠原、佐藤圭汰にしっかり勝ちたい。個人としては区間賞・区間新記録を目標にして、チームの優勝に貢献したいと思っています」
赤いタスキを渡した先に、パリ五輪と東京選手権を見つめている吉居大和。中大の絶対エースが伝統の「C」に情熱の炎を灯す。
文/酒井政人
駅伝主将として過ごした1年
吉居大和(中大4)の走りには何度も驚かされてきた。特に箱根駅伝の快走は衝撃的だった。1区に登場した前々回は6km過ぎに抜け出すと、10kmを27分台で通過。20kmを56分30秒台という驚異的なタイムで駆け抜ける。終盤もペースを落とすことなく突っ走り、1時間0分40秒の区間記録を樹立。箱根路では最古となっていた東海大・佐藤悠基(現・SGホールディングス)が保持していた区間記録を26秒も塗り替えて、後続に39秒以上の大差をつけたのだ。 そして前回は花の2区で信じられない走りを見せた。エース区間を言い渡されたのは3週間前で、「最初はマジか?」と思ったという。 「当初は3区を走りたい気持ちがありましたし、2区は上りが強い中野(翔太)のほうが向いていると思っていました。でも3週間前は中野より自分の状態が良かったので、すぐに気持ちを切り替えたんです。本当に苦しくて、最後まで持たないかと思いましたが、一緒に頑張ってきた仲間が待っていてくれたので、最後は思い切りいきました」 トップと18秒差の4位でタスキを受けた吉居は3.2kmで明大をかわしてトップに立つと、10kmを28分00秒で通過した。その後はペースが鈍り、12.2kmで駒大・田澤廉(現・トヨタ自動車)に並ばれて、引き離される。しかし、青学大・近藤幸太郎(現・SGホールディングス)の背後につくと、息を吹き返した。田澤、近藤とのデッドヒートを強烈スパートで制圧。中大としては20年ぶりに戸塚中継所をトップで通過して、吉居は区間歴代8位の1時間6分22秒で区間賞に輝いた。「やっと優勝を狙えるチームになってきた」
実業団選手だった両親を持つ吉居は中学時代から全国大会で活躍。宮城・仙台育英高時代は故障に苦しみながらも、3年時にはインターハイ5000mで日本人トップに輝くと、全国高校駅伝では日本一も経験した。 中大に進学すると、1年時は5000mでU20日本記録を2度も更新。冬季にはバウワーマントラッククラブ(BTC)の練習に参加するなど、世界を本気で目指してきた。その一方で大学1年時に藤原正和駅伝監督から「第100回大会の箱根駅伝で優勝を目指そう!」という言葉を聞き、吉居も"同じ夢"を追い求めるようになった。 「箱根駅伝を目指すチームの一員になり、年々、第100回大会で優勝したい気持ちが強くなってきたんです」 目標にしていた5000mでの世界大会出場はかなわなかったが、今季は10月1日の世界ロードランニング選手権5kmに出場。箱根駅伝だけでなく、スピードを磨き、世界への挑戦も続けてきた。 8月下旬にコロナ感染した影響もあり、出雲駅伝は欠場。全日本大学駅伝も3区で区間11位と振るわなかった。それでも吉居は自身の成長を感じている。 「今季は凄く良い記録を出すことはできなかったんですけど、シーズンを通して5000mは13分30秒前後で安定して走れました。練習も2・3時と比べてできるようになっています」 [caption id="attachment_124862" align="alignnone" width="800"]![](https://www.rikujyokyogi.co.jp/wp-content/uploads/2023/12/DSC06765.jpg)
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