HOME 東京五輪、日本代表、五輪
23歳・池田向希が快挙!20km競歩初となる銀メダル 東洋大マネージャー兼選手がつかんだ世界2位
23歳・池田向希が快挙!20km競歩初となる銀メダル 東洋大マネージャー兼選手がつかんだ世界2位


写真/時事
◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技7日目

陸上競技7日目のアフタヌーンセッションで男子20km競歩が札幌で行われ、池田向希(旭化成)が1時間21分14秒で銀メダルを獲得した。この種目日本初のメダル獲得で、陸上競技今大会初メダル。さらに3位に19年ドーハ世界選手権金メダルの山西利和(愛知製鋼)が入り、一気に2つのメダルを獲得。同一種目で複数メダル獲得は、1936年ベルリン五輪(マラソン、棒高跳、三段跳)以来、85年ぶりの快挙となる。

広告の下にコンテンツが続きます

序盤から飛ばした王凱華(中国)だが、「まだ序盤だったので落ち着いてうかがっていました」と池田。11kmすぎに山西と池田らの集団がとらえた。集団は6人。さらにもう一人・張竣(中国)も加わり7人に絞られた。

勝負どころは17kmすぎ。王者・山西がペースを上げ、池田とイタリアのM.スタノも残り、3人によるメダルの「色」争いとなった。「本当は後ろを払って逃げ切ろうと思ったのですが」(山西)。思った以上に余力が残っていない。

スタノのペースが上げる。山西が遅れたが、池田が食らいつく。「ずっと山西さんが強くて負け続けてきた。ラストのスピード、スパートに対応できるように取り組んできました」。それが大一番で発揮される。

さいごはスタノに話されたものの、23歳のホープが堂々の銀メダル。ドーハ世界選手権で初出場ながら6位と健闘したものの、悔しさに泣き崩れていた男が、2年後は笑顔でフィニッシュした。

広告の下にコンテンツが続きます

「本当にうれしいです。メダルを一つの目標にしてきました」

静岡・浜松日体大高から東洋大に進学。中学、高校と中長距離ランナーとして走っていたがケガや貧血もあって結果が出ず、高校2年から歩き出した。同県には50km競歩代表の川野将虎(旭化成)が同学年にいて、ずっと背中を追ってきた。

東洋大に入った時は「長距離マネージャー兼選手」。徐々に結果を出して世界競歩チーム選手権で「世界一」なってからマネージャー業務から離れたが、しばらくは自発的に業務を続けていた。

酒井瑞穂コーチ、長距離の酒井俊幸監督のもと、競技力も、人間力も成長させてもらった。東洋大競歩関係者は、12年ロンドン五輪に西塔拓己が出場し、16年リオ五輪には松永大介(現・富士通)が出て日本初の7位入賞を果たしていた。どんな時も「その1秒をけずりだせ」を心に秘めて歩いた。

広告の下にコンテンツが続きます

1年前のインタビューでは、東京五輪が「応援してくれた人や家族に最高の恩返しができる舞台」と話していた池田。その時は「まだ目標は金メダルと言えない」。23歳にしてつかんだ銀メダル。次は「目標は金メダル」と胸を張って言えるはずだ。

写真/時事 ◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技7日目 陸上競技7日目のアフタヌーンセッションで男子20km競歩が札幌で行われ、池田向希(旭化成)が1時間21分14秒で銀メダルを獲得した。この種目日本初のメダル獲得で、陸上競技今大会初メダル。さらに3位に19年ドーハ世界選手権金メダルの山西利和(愛知製鋼)が入り、一気に2つのメダルを獲得。同一種目で複数メダル獲得は、1936年ベルリン五輪(マラソン、棒高跳、三段跳)以来、85年ぶりの快挙となる。 序盤から飛ばした王凱華(中国)だが、「まだ序盤だったので落ち着いてうかがっていました」と池田。11kmすぎに山西と池田らの集団がとらえた。集団は6人。さらにもう一人・張竣(中国)も加わり7人に絞られた。 勝負どころは17kmすぎ。王者・山西がペースを上げ、池田とイタリアのM.スタノも残り、3人によるメダルの「色」争いとなった。「本当は後ろを払って逃げ切ろうと思ったのですが」(山西)。思った以上に余力が残っていない。 スタノのペースが上げる。山西が遅れたが、池田が食らいつく。「ずっと山西さんが強くて負け続けてきた。ラストのスピード、スパートに対応できるように取り組んできました」。それが大一番で発揮される。 さいごはスタノに話されたものの、23歳のホープが堂々の銀メダル。ドーハ世界選手権で初出場ながら6位と健闘したものの、悔しさに泣き崩れていた男が、2年後は笑顔でフィニッシュした。 「本当にうれしいです。メダルを一つの目標にしてきました」 静岡・浜松日体大高から東洋大に進学。中学、高校と中長距離ランナーとして走っていたがケガや貧血もあって結果が出ず、高校2年から歩き出した。同県には50km競歩代表の川野将虎(旭化成)が同学年にいて、ずっと背中を追ってきた。 東洋大に入った時は「長距離マネージャー兼選手」。徐々に結果を出して世界競歩チーム選手権で「世界一」なってからマネージャー業務から離れたが、しばらくは自発的に業務を続けていた。 酒井瑞穂コーチ、長距離の酒井俊幸監督のもと、競技力も、人間力も成長させてもらった。東洋大競歩関係者は、12年ロンドン五輪に西塔拓己が出場し、16年リオ五輪には松永大介(現・富士通)が出て日本初の7位入賞を果たしていた。どんな時も「その1秒をけずりだせ」を心に秘めて歩いた。 1年前のインタビューでは、東京五輪が「応援してくれた人や家族に最高の恩返しができる舞台」と話していた池田。その時は「まだ目標は金メダルと言えない」。23歳にしてつかんだ銀メダル。次は「目標は金メダル」と胸を張って言えるはずだ。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.05.03

800m落合晃 衝撃の1分46秒54「狙っていた」高校新、U20日本新!!「可能性低くてもオリンピック狙う」/静岡国際

◇静岡国際陸上(5月3日/小笠山総合運動公園静岡スタジアム) 日本グランプリシリーズG1の静岡国際が5月3日に行われ、男子800mは落合晃(滋賀学園高3)が優勝した。 広告の下にコンテンツが続きます 先に行われた女子80 […]

NEWS 真夏の福岡IHに向け、都府県大会が4日からスタート!! 山梨皮切りに6月上旬まで各地で実施

2024.05.03

真夏の福岡IHに向け、都府県大会が4日からスタート!! 山梨皮切りに6月上旬まで各地で実施

今夏の福岡インターハイ(7月28日~8月1日/福岡・博多の森競技場)を目指し、5月4日から山梨県大会を皮切りに都府県大会が始まる。 全国インターハイは、5月上旬から6月上旬までに各地で行われる都府県大会、さらに、6月中旬 […]

NEWS 旭化成にケニア人のエマニュエル・キプルトが加入 「トラックや駅伝でベストを尽くしたい」 5000mベストは13分08秒42

2024.05.03

旭化成にケニア人のエマニュエル・キプルトが加入 「トラックや駅伝でベストを尽くしたい」 5000mベストは13分08秒42

旭化成は5月3日、ケニア人のエマニュエル・キプルトが新加入したことを発表した。 キプルトは24歳。22年には5000mで13分08秒42の自己記録をマークし、23年世界クロスカントリー選手権の代表にも選ばれている。昨年は […]

NEWS 800m高2の久保凛がGP連勝!高校歴代3位の2分03秒57!「今日は100点です」/静岡国際

2024.05.03

800m高2の久保凛がGP連勝!高校歴代3位の2分03秒57!「今日は100点です」/静岡国際

◇静岡国際陸上(5月3日/小笠山総合運動公園静岡スタジアム) 日本グランプリシリーズG1の静岡国際が5月3日に行われ、女子800mで久保凛(東大阪大敬愛高2)が優勝した。 広告の下にコンテンツが続きます 昨年のインターハ […]

NEWS パリ五輪へ!日本選手権10000m、今日静岡で号砲 男子は塩尻、太田、相澤の三つ巴か

2024.05.03

パリ五輪へ!日本選手権10000m、今日静岡で号砲 男子は塩尻、太田、相澤の三つ巴か

◇第108回日本選手権10000m(5月3日/小笠山総合運動公園静岡スタジアム) パリ五輪代表選考会となる第108回日本選手権10000mが5月3日に静岡・エコパで行われる。日本GPシリーズの静岡国際の後に開催となるのは […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年5月号 (4月12日発売)

2024年5月号 (4月12日発売)

パリ五輪イヤー開幕!

page top