2019.06.20
【IH地区大会トピック】
棒高跳・古澤一生
勝ち切る強さを身につけて全国へ
悪条件でしっかり勝ち切る
2年生優勝へ着実に成長
沖縄行きの切符を懸けた北関東大会の男子棒高跳には、大きな注目が集まった。群馬県大会で、5m30の高校歴代4位タイ、高2歴代3位を跳んだ古澤一生(前橋育英2)が〝どれだけ跳ぶのか〟――結果は、4m90。優勝したものの、記録更新とはならなかった。
「納得のいく跳躍をして優勝したいと思っていました。去年は3位だったので、北関東のタイトルを取れたのはよかったですが、記録の面ではまだまだ」
4m70から登場した古澤は、1回で成功させ4m80をパス。4m90を3回目で成功して優勝を決めた。その後は、大会新となる5m10に挑戦したが失敗。「風に対応できなかったです」。高さは出ていたが最後まで押し切れなかった。13時半にスタートしたが、表彰式では陽がすっかり落ち、大きな月が顔を出していた。
全中は2年時から連覇を果たし、中学記録(5m05※室内)も作った古澤。鳴り物入りで高校陸上界に挑んだ昨年は、江島雅紀(荏田、現日大)の持つ高1歴代最高(5m20)を塗り替える5m22をマークした。しかし、1年生優勝を狙ったインターハイでは4m80で6位。常に記録と結果を求められるプレッシャーの中でシーズンを戦い、先輩たちの強さの前に屈した。
その1年を経験し、古澤は一皮むけた。北関東大会は、途中で風向きのピットの変更があったが運悪く向かい風に変わった。さらにウォーミングアップを始めた途端に雷雨による中断。「今までにないほどのアクシデント。悪条件でした」と言う中で、しっかりと勝ち切る。そこが、古澤の成長した証だった。
もちろん、跳躍面でも向上している。「助走スピードもついてきました。上半身も少しずつパワーアップして、15フィートのポールの握りも高いところを持てるようになりました」と、自身も成長を感じているようだ。今は15フィート180ポンドを使用しているが、より長い15.7フィートで「しっかりポールを立たせることができれば5m40から50くらいを狙えます」と、すでに次のステージを見据えている。
「まずは日本選手権で挑戦。去年のインターハイは6位だったので、予選からしっかり跳べるようにしたい。5mからの勝負になると思うので、3本目ではなく、1回でしっかり跳んでいきたいです。プレッシャーはありますが、それに負けない強さを出せるようにがんばります」
常に記録を期待され、結果を求められる。あこがれの偉大な先輩・江島がそれに打ち勝ってきたように、古澤もまたその高みを目指している。江島が持つ高2歴代最高は5m36。この高さを越え、2年生優勝を果たした時、また一歩近づくことができる。
(文/向永拓史)
棒高跳・古澤一生 勝ち切る強さを身につけて全国へ
[caption id="attachment_3604" align="aligncenter" width="633"]
悪条件でしっかり勝ち切る 2年生優勝へ着実に成長
沖縄行きの切符を懸けた北関東大会の男子棒高跳には、大きな注目が集まった。群馬県大会で、5m30の高校歴代4位タイ、高2歴代3位を跳んだ古澤一生(前橋育英2)が〝どれだけ跳ぶのか〟――結果は、4m90。優勝したものの、記録更新とはならなかった。 「納得のいく跳躍をして優勝したいと思っていました。去年は3位だったので、北関東のタイトルを取れたのはよかったですが、記録の面ではまだまだ」 4m70から登場した古澤は、1回で成功させ4m80をパス。4m90を3回目で成功して優勝を決めた。その後は、大会新となる5m10に挑戦したが失敗。「風に対応できなかったです」。高さは出ていたが最後まで押し切れなかった。13時半にスタートしたが、表彰式では陽がすっかり落ち、大きな月が顔を出していた。 全中は2年時から連覇を果たし、中学記録(5m05※室内)も作った古澤。鳴り物入りで高校陸上界に挑んだ昨年は、江島雅紀(荏田、現日大)の持つ高1歴代最高(5m20)を塗り替える5m22をマークした。しかし、1年生優勝を狙ったインターハイでは4m80で6位。常に記録と結果を求められるプレッシャーの中でシーズンを戦い、先輩たちの強さの前に屈した。 その1年を経験し、古澤は一皮むけた。北関東大会は、途中で風向きのピットの変更があったが運悪く向かい風に変わった。さらにウォーミングアップを始めた途端に雷雨による中断。「今までにないほどのアクシデント。悪条件でした」と言う中で、しっかりと勝ち切る。そこが、古澤の成長した証だった。 もちろん、跳躍面でも向上している。「助走スピードもついてきました。上半身も少しずつパワーアップして、15フィートのポールの握りも高いところを持てるようになりました」と、自身も成長を感じているようだ。今は15フィート180ポンドを使用しているが、より長い15.7フィートで「しっかりポールを立たせることができれば5m40から50くらいを狙えます」と、すでに次のステージを見据えている。 「まずは日本選手権で挑戦。去年のインターハイは6位だったので、予選からしっかり跳べるようにしたい。5mからの勝負になると思うので、3本目ではなく、1回でしっかり跳んでいきたいです。プレッシャーはありますが、それに負けない強さを出せるようにがんばります」 常に記録を期待され、結果を求められる。あこがれの偉大な先輩・江島がそれに打ち勝ってきたように、古澤もまたその高みを目指している。江島が持つ高2歴代最高は5m36。この高さを越え、2年生優勝を果たした時、また一歩近づくことができる。 (文/向永拓史) [caption id="attachment_3605" align="aligncenter" width="950"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
Latest articles 最新の記事
2025.07.12
日本のキングとクイーンは!? 日本選手権混成、今日岐阜で開幕 リレーも併催
◇第109回日本選手権・混成競技(7月12、13日/岐阜・岐阜メモリアルセンター長良川競技場) 東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権・混成競技が12、13日に行われる。会場となる岐阜は猛暑の予報で、あらかじめ競技 […]
2025.07.12
2年ぶり日本記録更新の三浦龍司「地元世界選手権に大きな自信」/DLモナコ
7月11日、モナコでダイヤモンドリーグ(DL)第10戦の第39回ヘラクレスが開催され、男子3000m障害で三浦龍司(SUBARU)が、自身の持つ日本記録(8分09秒91)を2年ぶりに更新する8分03秒43で2位に入った。 […]
2025.07.12
3000m障害三浦龍司が8分03秒43の日本新!! 王者エル・バッカリを追い詰める走り! 村竹ラシッドはDLファイナル決定/DLモナコ
7月11日、モナコでダイヤモンドリーグ(DL)第10戦となる第39回ヘラクレスが開催され、男子3000m障害で三浦龍司(SUBARU)が8分03秒43の日本新記録で2位に入った。 すでに9月に行われる東京世界選手権の代表 […]
2025.07.11
【世界陸上プレイバック】―11年テグ―ボルト100mでまさかのフライング失格 室伏広治が大会最年長金メダルの偉業
今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。 これ […]
2025.07.11
U16リレー大会の競技時間を再度変更 猛暑予想のため 日本選手権リレーも変更の可能性
日本陸連は、7月12、13日に岐阜県で開くU16リレー大会について、競技時間の変更を決めた。 暑熱環境下での競技について日本スポーツ協会の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」に基づいた運営の取り組みを日本陸連。熱中 […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会