HOME 特集

2021.06.11

最後の長野決戦!十種・中村連覇狙う 七種日本記録保持者・山﨑が4連覇なるか/日本選手権混成展望
最後の長野決戦!十種・中村連覇狙う 七種日本記録保持者・山﨑が4連覇なるか/日本選手権混成展望

東京五輪代表選考会を兼ねた第105回日本選手権・混成競技が6月12日、13日に長野運動公園総合陸上競技場で開催される。長野での開催は2012年から。10年目を迎える長野開催だが、今年を最後にいったんは幕引き。“最後の長野決戦”でキング&クイーンたちはどんな戦いを繰り広げるだろうか。注目の選手たちをチェックしていく。

広告の下にコンテンツが続きます

●十種競技

日本記録8308点を持ち12年ロンドン、16年リオと2大会連続で五輪代表になっている右代啓祐(国士舘クラブ)は今大会を欠場。3大会五輪を目指し、よりポイントの高いスペインの競技会に出場する。
 
そうなると、これまで右代と覇権を争ってきたリオ五輪代表の中村明彦(スズキ)が優勝候補。昨年の日本選手権に続いて2年連続4回目の優勝を狙う。中村は4月の鹿児島混成で棒高跳を終えた後に足首を痛めて途中棄権。その棒高跳では5m00の自己タイをマークしており、シーズン序盤から110mハードル(室内)でも14秒32など、まずまず調子が良いだけに、調整が整えば優勝に最も近いだろう。

鹿児島混成で日本歴代7位となる7764点をマークした田上駿(順大院)は欠場。そのため、中村に相対する一番ては、社会人ルーキーの丸山優真(住友電工)になる。胸椎椎間板ヘルニアで長期離脱していたため至近2年は出場していないが、18年には7752点で3位。身長190cmを超え、スピードとパワーを兼ね備えた逸材が、その爆発力を持ってすれば自己記録を一気に更新して8000点の大台も十分にあり得る。

●七種競技

広告の下にコンテンツが続きます

現在3連覇中の山﨑有紀(スズキ)が圧倒的な本命。5月には17年ぶりとなる日本新記録5975点をマークした。日本記録保持者の肩書きを引っさげて挑む最初の日本選手権だ。得意の投てき種目が安定しており、スピードを生かして100mハードルや走幅跳でも着実に得点を重ねられるようになってきた。内田知子(6連覇)、磯貝美奈子(5連覇)、中田有紀(9連覇)に続く史上4人目の4連覇、そして日本人初の6000点が近づいている。

2015~17年に3連覇、日本歴代2位の5970点を持つヘンプヒル恵(アトレ)は、昨年のこの大会でやり投の際に膝を故障。右膝前十字靱帯断裂と診断され、10月に手術し、今大会はエントリーをしたが欠場する見込み。

山﨑に食らいつきたいのは大玉華鈴(日体大)。関東インカレでは日本歴代7位となる5633点をマークした。走高跳で1m78を持つなど、個々の自己ベストではレベルアップしている。あとは取りこぼしなく全体をそろえられるかが、大幅自己新へのカギを握る。得意の走高跳でしっかり加点することと、走幅跳をもう一段階上げられれば次のステージが見える。

楽しみなのが2年ぶりに出場予定の宇都宮絵莉(長谷川体育施設)。400mハードルで東京五輪を目指すために一度は七種競技を封印したが、昨年の日本選手権をライブ配信で観て再挑戦を決意したという。自己記録は日本歴代4位の5821点。400mハードルで自己ベストを更新するなど好調で、間違いなく総合力は上がっている。

広告の下にコンテンツが続きます

東京五輪の参加標準記録は十種競技が8350点、七種競技が6420点といずれも日本記録よりも高い。現実的ではないのが現状だが、まずは8000点、そして6000点に突入するパフォーマンスが見られるか。

大会の模様はライブ配信される。長野決戦、最後のキング&クイーンの座に就くのは果たして……。

東京五輪代表選考会を兼ねた第105回日本選手権・混成競技が6月12日、13日に長野運動公園総合陸上競技場で開催される。長野での開催は2012年から。10年目を迎える長野開催だが、今年を最後にいったんは幕引き。“最後の長野決戦”でキング&クイーンたちはどんな戦いを繰り広げるだろうか。注目の選手たちをチェックしていく。 ●十種競技 日本記録8308点を持ち12年ロンドン、16年リオと2大会連続で五輪代表になっている右代啓祐(国士舘クラブ)は今大会を欠場。3大会五輪を目指し、よりポイントの高いスペインの競技会に出場する。   そうなると、これまで右代と覇権を争ってきたリオ五輪代表の中村明彦(スズキ)が優勝候補。昨年の日本選手権に続いて2年連続4回目の優勝を狙う。中村は4月の鹿児島混成で棒高跳を終えた後に足首を痛めて途中棄権。その棒高跳では5m00の自己タイをマークしており、シーズン序盤から110mハードル(室内)でも14秒32など、まずまず調子が良いだけに、調整が整えば優勝に最も近いだろう。 鹿児島混成で日本歴代7位となる7764点をマークした田上駿(順大院)は欠場。そのため、中村に相対する一番ては、社会人ルーキーの丸山優真(住友電工)になる。胸椎椎間板ヘルニアで長期離脱していたため至近2年は出場していないが、18年には7752点で3位。身長190cmを超え、スピードとパワーを兼ね備えた逸材が、その爆発力を持ってすれば自己記録を一気に更新して8000点の大台も十分にあり得る。 ●七種競技 現在3連覇中の山﨑有紀(スズキ)が圧倒的な本命。5月には17年ぶりとなる日本新記録5975点をマークした。日本記録保持者の肩書きを引っさげて挑む最初の日本選手権だ。得意の投てき種目が安定しており、スピードを生かして100mハードルや走幅跳でも着実に得点を重ねられるようになってきた。内田知子(6連覇)、磯貝美奈子(5連覇)、中田有紀(9連覇)に続く史上4人目の4連覇、そして日本人初の6000点が近づいている。 2015~17年に3連覇、日本歴代2位の5970点を持つヘンプヒル恵(アトレ)は、昨年のこの大会でやり投の際に膝を故障。右膝前十字靱帯断裂と診断され、10月に手術し、今大会はエントリーをしたが欠場する見込み。 山﨑に食らいつきたいのは大玉華鈴(日体大)。関東インカレでは日本歴代7位となる5633点をマークした。走高跳で1m78を持つなど、個々の自己ベストではレベルアップしている。あとは取りこぼしなく全体をそろえられるかが、大幅自己新へのカギを握る。得意の走高跳でしっかり加点することと、走幅跳をもう一段階上げられれば次のステージが見える。 楽しみなのが2年ぶりに出場予定の宇都宮絵莉(長谷川体育施設)。400mハードルで東京五輪を目指すために一度は七種競技を封印したが、昨年の日本選手権をライブ配信で観て再挑戦を決意したという。自己記録は日本歴代4位の5821点。400mハードルで自己ベストを更新するなど好調で、間違いなく総合力は上がっている。 東京五輪の参加標準記録は十種競技が8350点、七種競技が6420点といずれも日本記録よりも高い。現実的ではないのが現状だが、まずは8000点、そして6000点に突入するパフォーマンスが見られるか。 大会の模様はライブ配信される。長野決戦、最後のキング&クイーンの座に就くのは果たして……。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.05.02

関西インカレに五輪代表・柳井綾音が10000m競歩にエントリー! 藏重みうは100m、200mの2種目登録 男子走高跳・山中駿、女子400mH山本亜美も出場

関西学連は5月2日、第101回関西インカレ(T&Fの部/5月22日~25日)のエントリーを発表した。 今年の日本選手権女子20km競歩で3位に入り、パリ五輪の男女混合競歩リレーの代表にも選出された柳井綾音(立命 […]

NEWS 栗原啓吾が富士山の銘水に加入 「新たな環境で陸上を続けられる感謝を忘れず」 3月にSUBARUを退社

2024.05.02

栗原啓吾が富士山の銘水に加入 「新たな環境で陸上を続けられる感謝を忘れず」 3月にSUBARUを退社

富士山の銘水は、5月1日付で栗原啓吾が入社したことを発表した。 栗原は群馬県出身。東農大二高時代に3年連続で全国高校駅伝の4区を走るなど活躍し、中央学大では1、2、4年時に箱根駅伝に出場。2年時には1区でトップと13秒差 […]

NEWS 単独インタビュー「私は田中希実ですと自信を持って言えるようになった」プロ1年目の総括と思い描くパリでのレース

2024.05.02

単独インタビュー「私は田中希実ですと自信を持って言えるようになった」プロ1年目の総括と思い描くパリでのレース

昨年4月、田中希実は実業団チームを離れて「New Balance」所属の“プロランナー”としてのキャリアをスタートさせた。 プロとして駆け抜けた1年。ブダペスト世界選手権では5000m8位入賞し、ダイヤモンドリーグ(DL […]

NEWS 塩尻和也、太田智樹、相澤晃がパリ五輪に近づくか!?田澤が欠場、次の勢力は!?/日本選手権10000m

2024.05.02

塩尻和也、太田智樹、相澤晃がパリ五輪に近づくか!?田澤が欠場、次の勢力は!?/日本選手権10000m

パリ五輪代表選考会となる第108回日本選手権10000mが5月3日に静岡・小笠山総合運動公園静岡スタジアムで行われる。男子の有力選手を見ていこう。 【女子のみどころ】3連覇中の本命・廣中が不在 小海遥、五島莉乃、高島由香 […]

NEWS 3連覇中の本命・廣中が不在 小海遥、五島莉乃、高島由香の三つ巴か/日本選手権10000m

2024.05.02

3連覇中の本命・廣中が不在 小海遥、五島莉乃、高島由香の三つ巴か/日本選手権10000m

パリ五輪代表選考会となる第108回日本選手権10000mが5月3日に静岡・小笠山総合運動公園静岡スタジアムで行われる。女子の有力選手を見ていこう。 【男子の見どころ】塩尻和也、太田智樹、相澤晃がパリ五輪に近づくか!?田澤 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年5月号 (4月12日発売)

2024年5月号 (4月12日発売)

パリ五輪イヤー開幕!

page top