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2025.12.28

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トヨタ自動車、旭化成、Hondaの「3強」が中心!第70回記念大会を制するのは?日本代表たちの激走にも注目/ニューイヤー駅伝
トヨタ自動車、旭化成、Hondaの「3強」が中心!第70回記念大会を制するのは?日本代表たちの激走にも注目/ニューイヤー駅伝

ニューイヤー駅伝に挑むSUBARU・三浦、トヨタ自動車・鈴木、Honda・小山、旭化成・相澤

◇第70回全日本実業団対抗駅伝(1月1日/群馬県庁前発着・7区間100km)

第70回の節目を迎える全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝inぐんま)は2026年1月1日、群馬県前橋市の群馬県庁を発着点とする7区間100kmのコースで行われる。

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各地域予選を突破した37チームと、第70回記念枠(各地域予選ごとに出場ラインから10分以内にフィニッシュした企業チーム最上位)を満たした3チームの計40チームが出場。2026年の幕開けに「駅伝日本一」の座をつかむのはどのチームか。見どころを紹介する。

 前回は旭化成、GMOインターネットグループ、トヨタ自動車、Hondaと目まぐるしく首位が入れ替わる熱戦となり、終盤は旭化成とHondaが息詰まるアンカー勝負を展開。残り600mを切って旭化成・井川龍人が、5年ぶり王座奪還をつかむスパートを決めた。

今回も最長21.9kmの2区、15.3kmの3区で主導権を握れるだけのエース力、なおかつアップダウンや向かい風への耐久力が求められる5区などに主力を注ぎ込める選手層を兼ね備えたチームが上位にくるだろう。これらの条件を満たす一番手に挙がるのは、やはりトヨタ自動車だ。

前回は3位で連覇を逃したが、11月23日の八王子ロングディスタンス10000mで強烈なインパクトを残した。鈴木芽吹が27分05秒92の日本新、吉居大和が日本歴代6位の27分21秒45、田澤廉が27分31秒90をそれぞれマーク。パリ五輪10000m代表のエース・太田智樹はメンバー外となったが、エースたちの力は頭一つ抜けている。

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選手層に関しても、前回6区2位の湯浅仁、12月7日の福岡国際両マラソン日本人トップの西山雄介らをはじめ充実。優勝を経験している田中秀幸、服部勇馬らベテラン組も健在で、後半まで隙のないオーダーが編成できることも大きな強みだ。10年前の60回大会も制しており、その“再現”を目指す。

トヨタ自動車を追うのは、連覇を狙う旭化成、3年ぶり頂点を目指すHondaが最有力だろう。

旭化成はケガ人などが続出して、九州では8位、しかも区間賞ゼロと大苦戦した。だが、全日本に向けて状態は着実に上がっている。

前回は1区で長嶋幸宝が区間賞、3区で葛西潤がトップ争いに持ち込み、アンカー・井川が決定打。2年目の同期トリオが名門を牽引した。この3人に、東京五輪10000m代表の相澤晃がエースとして力を示すことで本領発揮となる。

17年~20年の4連覇など近年のチームを支えてきた大六野秀畝、市田孝、茂木圭次郎や、熾烈なメンバー争いを勝ち抜いた若手も控えて選手層は実業団屈指。歴代ダントツの優勝回数「26」を誇り、正月決戦の勝ち方を最も知る〝王者〟が、その底力を示すか。

Hondaも東日本10位と苦戦。だが、体調不良者や故障者が出るなど原因は明確で、12月7日の甲佐10マイルでは主力選手たちがしっかりと結果を残した。

東京世界選手権マラソン代表の小山直城、同5000m代表の森凪也、3000m障害で五輪2大会連続出場の青木涼真、東京五輪10000m代表の主将・伊藤達彦ら、代表クラスがずらり。自信を持つ後半にいかにつなげるかを課題に、2連覇した22年、23年以来の頂点をしっかりと見据える。

優勝争いとしてはこの「3強」がやや抜けている状況だが、少しでも隙が生まれれば、次に控える勢力も逆転へ結びつける力を持つ。

東日本勢では、優勝経験チームである富士通、東日本覇者のロジスティード、前回4位のGMOインターネットグループあたりがその候補だ。

富士通は東日本は7位にとどまったが、10000m前日本記録保持者・塩尻和也、9月のベルリンマラソン5位(2時間7分35秒)の浦野雄平、駒大卒のルーキー・篠原倖太朗、前回1区の塩澤稀夕らが、正月に向けてしっかりと調整中だ。主将・横手健らも含め、まずは「3位争い」からさらなる上位進出を目論んでいる。

東日本を初制覇したロジスティードは、最長3区でその足掛かりを作った3年目の四釜峻佑をはじめ、若手が着実に成長。そこに、マラソン元学生記録保持者の國學院大卒ルーキー・平林清澄が加わり、チームに大きな刺激が入った。過去最高は21年の4位。全日本でも頂点をつかみそうな勢いがある。

GMOインターネットグループは、東京世界選手権マラソンに吉田祐也が出場。前回2区でトップに立つ力走を見せた今江勇人も、さらに力をつけた。そこに、青学大の看板選手だった太田蒼生、鶴川正也が加わり、戦力面は前回以上だろう。

東日本3位のSUBARUも、24年3区区間賞の小林歩の加入で、清水歓太らが控える長距離区間に厚みが増した。東京世界選手権3000m障害8位の三浦龍司がアクセントをつけると、一気に流れをつかみそう。

ここに、各地区覇者が追随する。中部を制したトヨタ紡織は、エース・羽生拓矢に配しても、そこまでにトヨタ自動車に先行できるだけのチーム力をつけた。羽生が主要区間に入れば、最後まで上位争いを演じそうだ。

九州は三菱重工がクラフティア、黒崎播磨との三つ巴のアンカー勝負を制し、8年ぶりの九州王者に輝いた。東京世界選手権マラソン代表・近藤亮太、23年ブダペスト世界選手権マラソン11位の山下一貴、チームを長年牽引し続ける井上大仁をはじめ、個々の力は上位候補たちに引けをとらない。

前回初入賞の6位だった住友電工が、関西大会で初制覇と勢いに乗る。中国を2年ぶりに大会新で制した中国電力は、エース・菊池駿弥が福岡国際マラソン12位から立て直せるかが上位へのカギか。

このほか、九州2位のクラフティアはパリ五輪6位の赤﨑暁、同3位の黒崎播磨はマラソンで活躍する細谷恭平、田村友佑らで流れをつかめば、それを引き継ぐだけの戦力は整う。

関西2位のSGホールディングス、近年で入賞実績のあるヤクルト、JR東日本なども総合力で上位に食らいつくだろう。

レースは2026年1月1日午前9時15分にスタート。TBS系列で午前8時30分から生中継される。

◇第70回全日本実業団対抗駅伝(1月1日/群馬県庁前発着・7区間100km) 第70回の節目を迎える全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝inぐんま)は2026年1月1日、群馬県前橋市の群馬県庁を発着点とする7区間100kmのコースで行われる。 各地域予選を突破した37チームと、第70回記念枠(各地域予選ごとに出場ラインから10分以内にフィニッシュした企業チーム最上位)を満たした3チームの計40チームが出場。2026年の幕開けに「駅伝日本一」の座をつかむのはどのチームか。見どころを紹介する。  前回は旭化成、GMOインターネットグループ、トヨタ自動車、Hondaと目まぐるしく首位が入れ替わる熱戦となり、終盤は旭化成とHondaが息詰まるアンカー勝負を展開。残り600mを切って旭化成・井川龍人が、5年ぶり王座奪還をつかむスパートを決めた。 今回も最長21.9kmの2区、15.3kmの3区で主導権を握れるだけのエース力、なおかつアップダウンや向かい風への耐久力が求められる5区などに主力を注ぎ込める選手層を兼ね備えたチームが上位にくるだろう。これらの条件を満たす一番手に挙がるのは、やはりトヨタ自動車だ。 前回は3位で連覇を逃したが、11月23日の八王子ロングディスタンス10000mで強烈なインパクトを残した。鈴木芽吹が27分05秒92の日本新、吉居大和が日本歴代6位の27分21秒45、田澤廉が27分31秒90をそれぞれマーク。パリ五輪10000m代表のエース・太田智樹はメンバー外となったが、エースたちの力は頭一つ抜けている。 選手層に関しても、前回6区2位の湯浅仁、12月7日の福岡国際両マラソン日本人トップの西山雄介らをはじめ充実。優勝を経験している田中秀幸、服部勇馬らベテラン組も健在で、後半まで隙のないオーダーが編成できることも大きな強みだ。10年前の60回大会も制しており、その“再現”を目指す。 トヨタ自動車を追うのは、連覇を狙う旭化成、3年ぶり頂点を目指すHondaが最有力だろう。 旭化成はケガ人などが続出して、九州では8位、しかも区間賞ゼロと大苦戦した。だが、全日本に向けて状態は着実に上がっている。 前回は1区で長嶋幸宝が区間賞、3区で葛西潤がトップ争いに持ち込み、アンカー・井川が決定打。2年目の同期トリオが名門を牽引した。この3人に、東京五輪10000m代表の相澤晃がエースとして力を示すことで本領発揮となる。 17年~20年の4連覇など近年のチームを支えてきた大六野秀畝、市田孝、茂木圭次郎や、熾烈なメンバー争いを勝ち抜いた若手も控えて選手層は実業団屈指。歴代ダントツの優勝回数「26」を誇り、正月決戦の勝ち方を最も知る〝王者〟が、その底力を示すか。 Hondaも東日本10位と苦戦。だが、体調不良者や故障者が出るなど原因は明確で、12月7日の甲佐10マイルでは主力選手たちがしっかりと結果を残した。 東京世界選手権マラソン代表の小山直城、同5000m代表の森凪也、3000m障害で五輪2大会連続出場の青木涼真、東京五輪10000m代表の主将・伊藤達彦ら、代表クラスがずらり。自信を持つ後半にいかにつなげるかを課題に、2連覇した22年、23年以来の頂点をしっかりと見据える。 優勝争いとしてはこの「3強」がやや抜けている状況だが、少しでも隙が生まれれば、次に控える勢力も逆転へ結びつける力を持つ。 東日本勢では、優勝経験チームである富士通、東日本覇者のロジスティード、前回4位のGMOインターネットグループあたりがその候補だ。 富士通は東日本は7位にとどまったが、10000m前日本記録保持者・塩尻和也、9月のベルリンマラソン5位(2時間7分35秒)の浦野雄平、駒大卒のルーキー・篠原倖太朗、前回1区の塩澤稀夕らが、正月に向けてしっかりと調整中だ。主将・横手健らも含め、まずは「3位争い」からさらなる上位進出を目論んでいる。 東日本を初制覇したロジスティードは、最長3区でその足掛かりを作った3年目の四釜峻佑をはじめ、若手が着実に成長。そこに、マラソン元学生記録保持者の國學院大卒ルーキー・平林清澄が加わり、チームに大きな刺激が入った。過去最高は21年の4位。全日本でも頂点をつかみそうな勢いがある。 GMOインターネットグループは、東京世界選手権マラソンに吉田祐也が出場。前回2区でトップに立つ力走を見せた今江勇人も、さらに力をつけた。そこに、青学大の看板選手だった太田蒼生、鶴川正也が加わり、戦力面は前回以上だろう。 東日本3位のSUBARUも、24年3区区間賞の小林歩の加入で、清水歓太らが控える長距離区間に厚みが増した。東京世界選手権3000m障害8位の三浦龍司がアクセントをつけると、一気に流れをつかみそう。 ここに、各地区覇者が追随する。中部を制したトヨタ紡織は、エース・羽生拓矢に配しても、そこまでにトヨタ自動車に先行できるだけのチーム力をつけた。羽生が主要区間に入れば、最後まで上位争いを演じそうだ。 九州は三菱重工がクラフティア、黒崎播磨との三つ巴のアンカー勝負を制し、8年ぶりの九州王者に輝いた。東京世界選手権マラソン代表・近藤亮太、23年ブダペスト世界選手権マラソン11位の山下一貴、チームを長年牽引し続ける井上大仁をはじめ、個々の力は上位候補たちに引けをとらない。 前回初入賞の6位だった住友電工が、関西大会で初制覇と勢いに乗る。中国を2年ぶりに大会新で制した中国電力は、エース・菊池駿弥が福岡国際マラソン12位から立て直せるかが上位へのカギか。 このほか、九州2位のクラフティアはパリ五輪6位の赤﨑暁、同3位の黒崎播磨はマラソンで活躍する細谷恭平、田村友佑らで流れをつかめば、それを引き継ぐだけの戦力は整う。 関西2位のSGホールディングス、近年で入賞実績のあるヤクルト、JR東日本なども総合力で上位に食らいつくだろう。 レースは2026年1月1日午前9時15分にスタート。TBS系列で午前8時30分から生中継される。

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