HOME 国内、世界陸上、日本代表
山西利和は痛恨のペナルティーゾーン 勝負どころ「少し慎重になるべきだった」/東京世界陸上
山西利和は痛恨のペナルティーゾーン 勝負どころ「少し慎重になるべきだった」/東京世界陸上

東京世界陸上男子20km競歩に出場した山西利和

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場) 8日目

東京世界陸上8日目のモーニングセッションが行われ、男子20km競歩に出場した山西利和(愛知製鋼)は1時間22分39秒で28位だった。

19年ドーハ、22年オレゴンと連覇。今年2月の日本選手権では1時間16分10秒の世界記録を樹立し、王座奪還を狙った山西は、最初から優勝争いの中心でレースを進めた。

広告の下にコンテンツが続きます

「前半は無理をせず余裕はあったので、後半絞っていこうと思っていました」。8人ほどの先頭集団の中で、細かな順位変動や駆け引きが続くなか、15km過ぎのことだった。立て続けに2回、山西にロス・オブ・コンタクト(両脚が同時に離れる)警告のパドルが提示される。

「(先に)1つ目が出たのは確認できたのですが、ペースアップした時に目立ってしまった」と振り返る。その前後はもちろん、「前半は注意がそれほど多くなかったので、今日は行けるかなとちょっと勘違いしました。それがすべての元凶。ペースアップの時にもう少し慎重になるべきだったと思います」と語る。

大会に向けての状態も「技術的な部分の完成度が、理想よりも少しスケジュール的に遅れていた」と仕上げ切れず、「帳尻を合わせた」状態だったのが、結果的にレースにも反映されたかたちだ。

2分間のペナルティーゾーンに入ってからは「絶対にゴールしないとけいない」と考えた上で、「ゴール後のことを考えた」と山西。「自由にやらせてもらう以上は結果を出さないといけない責任はある。優勝がなくなって、次、もう一回やりたいことをやらして、というのは…現実的な部分も含めてどこを見て、何をしていくか(を考えた)」。

パリ五輪を逃してからの1年半。海外転戦や、イタリアでマッシモ・スタノらとトレーニングするなど、これまでとは違ったアプローチを試み、「過程自体は紆余曲折経て、その時間が悪かったとは思いません。苦しいことも織り込み済みでした」。

東京五輪では札幌開催だったため、念願の“東京”での歩き。「(観客がいた)右耳だけビンッとなっていて、人がいないところにいくと孤独を感じるくらい。国内の競歩であんなに人が集まるのはなかなかなかったこと。すごくありがたいです」と感謝するが、それは先人たちや、山西を含めたトップウォーカーの取り組みがあったからこそ。

「もう少し自分の完成度など、いい歩きができたら良かった。ただ、それだけです」

語らずも特別な思いを持って臨んだ東京世界陸上。王道を往き、勝負を仕掛け、最後まで歩き切った世界記録保持者に惜しみない拍手が送られた。

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場) 8日目 東京世界陸上8日目のモーニングセッションが行われ、男子20km競歩に出場した山西利和(愛知製鋼)は1時間22分39秒で28位だった。 19年ドーハ、22年オレゴンと連覇。今年2月の日本選手権では1時間16分10秒の世界記録を樹立し、王座奪還を狙った山西は、最初から優勝争いの中心でレースを進めた。 「前半は無理をせず余裕はあったので、後半絞っていこうと思っていました」。8人ほどの先頭集団の中で、細かな順位変動や駆け引きが続くなか、15km過ぎのことだった。立て続けに2回、山西にロス・オブ・コンタクト(両脚が同時に離れる)警告のパドルが提示される。 「(先に)1つ目が出たのは確認できたのですが、ペースアップした時に目立ってしまった」と振り返る。その前後はもちろん、「前半は注意がそれほど多くなかったので、今日は行けるかなとちょっと勘違いしました。それがすべての元凶。ペースアップの時にもう少し慎重になるべきだったと思います」と語る。 大会に向けての状態も「技術的な部分の完成度が、理想よりも少しスケジュール的に遅れていた」と仕上げ切れず、「帳尻を合わせた」状態だったのが、結果的にレースにも反映されたかたちだ。 2分間のペナルティーゾーンに入ってからは「絶対にゴールしないとけいない」と考えた上で、「ゴール後のことを考えた」と山西。「自由にやらせてもらう以上は結果を出さないといけない責任はある。優勝がなくなって、次、もう一回やりたいことをやらして、というのは…現実的な部分も含めてどこを見て、何をしていくか(を考えた)」。 パリ五輪を逃してからの1年半。海外転戦や、イタリアでマッシモ・スタノらとトレーニングするなど、これまでとは違ったアプローチを試み、「過程自体は紆余曲折経て、その時間が悪かったとは思いません。苦しいことも織り込み済みでした」。 東京五輪では札幌開催だったため、念願の“東京”での歩き。「(観客がいた)右耳だけビンッとなっていて、人がいないところにいくと孤独を感じるくらい。国内の競歩であんなに人が集まるのはなかなかなかったこと。すごくありがたいです」と感謝するが、それは先人たちや、山西を含めたトップウォーカーの取り組みがあったからこそ。 「もう少し自分の完成度など、いい歩きができたら良かった。ただ、それだけです」 語らずも特別な思いを持って臨んだ東京世界陸上。王道を往き、勝負を仕掛け、最後まで歩き切った世界記録保持者に惜しみない拍手が送られた。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.04

千葉男子は常盤松が2年ぶり全国切符 山梨は男子の塩山が32年ぶり 女子は櫛形が20回目の全国へ/中学駅伝

12月14日に行われる第33回全国中学校駅伝の出場権を懸けた県大会が、11月1日から3日にかけ、6県で行われた。 1日に行われた千葉県男子は、常盤松が2年ぶり2回目の全国出場を決めた。1区・池田佳十(3年)が区間4位で滑 […]

NEWS 埼玉栄3年連続男女V 女子は1区福山の区間新含む全員好走で1時間8分28秒 男子は安定したレースで9連覇/埼玉県高校駅伝

2025.11.04

埼玉栄3年連続男女V 女子は1区福山の区間新含む全員好走で1時間8分28秒 男子は安定したレースで9連覇/埼玉県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた埼玉県高校駅伝が11月4日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場周辺コースで行われ、埼玉栄が男女Vを果たした。女子(5区間21.0975km)は1時間8分28秒で3年連続28回目の制覇。男子(7区間 […]

NEWS 東海大相模が中盤で抜け出し4年ぶり制覇 女子は白鵬女が2区で首位浮上し5連覇/神奈川県高校駅伝

2025.11.04

東海大相模が中盤で抜け出し4年ぶり制覇 女子は白鵬女が2区で首位浮上し5連覇/神奈川県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた神奈川県高校駅伝が11月3日、横浜市の日産フィールド小机及び付設ハーフマラソンコースで行われた。男子(7区間42.4km)は、東海大相模が大会新となる2時間4分24秒で4年ぶり3回目、女子(5 […]

NEWS 2025年最も輝いたアスリートは!?選手、ファン、メディアみんなで選ぶ「GetsurikuAwards2025」投票スタート!

2025.11.04

2025年最も輝いたアスリートは!?選手、ファン、メディアみんなで選ぶ「GetsurikuAwards2025」投票スタート!

この度、そのシーズンで最も輝きを放ったアスリートを表彰する 「GetsurikuAwards」 を今年も開催します! コンセプトは「最優秀」や「MVP(最も価値のある)」選手ではなく、その年に『最も輝きを放った選手=Cr […]

NEWS 平田2年連続男女優勝!女子はオール区間賞で2連覇 男子は1区から独走で6連覇/島根県高校駅伝

2025.11.04

平田2年連続男女優勝!女子はオール区間賞で2連覇 男子は1区から独走で6連覇/島根県高校駅伝

全国高校駅伝の出場権を懸けた島根県高校駅伝は11月2日、浜山公園陸上競技場で行われ、男女ともに平田が制した。女子(5区間21.0975km)は1時間15分41秒で2年連続16回目の優勝。男子(7区間42.195km)は2 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年11月号 (10月14日発売)

2025年11月号 (10月14日発売)

東京世界選手権 総特集
箱根駅伝予選会&全日本大学駅伝展望

page top