◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)3日目
東京世界陸上3日目のイブニングセッションに行われた男子3000m障害で、三浦龍司(SUBARU)が8分35秒90で2大会連続入賞となる8位に入った。
明確にメダルを狙いにいったレースだった。「いつでも(レースの動きに)対応可能な見える場所にいるというのは意識していたので、そこはうまくいきました」。いつもなら後ろから徐々に順位を上げていくが、序盤から集団の前、外側をうまく走って行く。
1000mを3分04秒85で通過し、5、6番手でしっかり追走。そこからやや後ろに下げたが「余裕度もあった」と勝負どころに向けて蓄えていた。
残り1周を切り競り合いが始まった。そこでやや周囲を囲まれたが、それもライバルたちがマークしていた証拠。長門俊介コーチ(順大駅伝監督)は「そこで少し力を使ったかな」と振り返る。後方待機だったソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ)の背中を見ながらスッと前に出ていく。
最後の水濠。いつもであればそこから一気に仕掛けて、前を拾っていくところ。だが、その着地でガクッとバランスを崩した。そこを踏ん張って前を追いかけると、残り200mで4番手へ。ラスト50m付近のハードルに向かう時に脚が合わず、失速。後ろから来た選手に接触されたこともありさらにバランスを崩して、あわや転倒かという局面に。
誰もがメダルを夢見た瞬間だったが、目の前からスッと離れていった。「去年のパリもそうでしたが、やっぱり最後の最後で…おもしろさ、難しさを感じますね」。
「右足首を痛めていました」。8月末、実は体調不良と、この足首の痛みもあってダイヤモンドリーグ・ファイナル出場を見送っていた。予選の前から「痛みが増していた」といい、「水濠や障害で不安がある状態でした」。それが結果的にメダルと入賞との分かれ道だった。
大学時代から見守る長門コーチは目頭を熱くし、「声援に鳥肌が立ちました。予選が終わってからジョグができないくらい痛みがあった。そのなかでこの舞台に立って、雰囲気にのまれずに楽しめる。スターになる素材なんだろうなって思います。僕は何もしていません。三浦本人と、マネージャーの曽波(祐我)が頑張ってくれています」と愛弟子たちの快挙に目を細める。
4年前、21歳で迎えた東京五輪は無我夢中で駆け抜けて7位。順位は1つ下がったが、「本当にメダルが見えたので悔しさがすごく大きいです。金メダルも見えた、と欲張って言っておきます。しっかりレベルアップ、世界と戦える走りができたのは感じました」と成長を示した、大きな大きな8位入賞だった。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.16
中央学大がTKK株式会社とスポンサー契約 同大卒業生が代表取締役
-
2025.12.16
-
2025.12.16
-
2025.12.16
-
2025.12.16
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2025.12.14
中学駅伝日本一決定戦がいよいよ開催 女子11時10分、男子12時15分スタート/全中駅伝
-
2025.12.14
-
2025.12.14
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.16
中央学大がTKK株式会社とスポンサー契約 同大卒業生が代表取締役
中央学大駅伝部が「TKK株式会社」とスポンサー契約を結んだことを発表した。 同社は千葉県八千代市に本社を構え、主にプレキャストコンクリート鋼製型枠を取り扱うメーカー。中央学大卒業の安保誠司氏が代表取締役を務めており、「未 […]
2025.12.16
今年度限りでの「引退」を表明した村澤明伸インタビュー【前編】 大学3・4年時はトラックと駅伝の両立に挑戦したが「バランスを取るのが難しかった」
全国高校駅伝で日本一に輝き、箱根駅伝は花の2区で快走。日本選手権10000mでも上位に食い込んだのが、村澤明伸(SGホールディングス、34歳)だ。紆余曲折を経て、今年度限りでの「引退」を表明したが、どんな競技生活を過ごし […]
2025.12.16
赤﨑優花が自身の思いと感謝綴る 移籍は「前向きな決断」「この道を正解にします」
12月15日で第一生命グループを退社し、夫の赤﨑暁も所属するクラフティア(前・九電工)へ移籍加入した赤﨑優花(旧姓・鈴木)が自身のSNSを更新し、改めて思いを綴った。 昨年のパリ五輪女子マラソン6位入賞の赤﨑。「決して悲 […]
2025.12.16
お詫びと訂正(月刊陸上競技2026年1月号)
月刊陸上競技2026年1月号別冊付録「全国高校駅伝総展望」に掲載したデータに誤りがございました。 正しいデータの情報を掲載するとともに、関係者の皆様にお詫びをし、訂正いたします。 男子 今治北(愛媛) 誤 都大路学校最高 […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳