◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)2日目
東京世界陸上2日目のモーニングセッションが行われ、女子マラソンは東京五輪覇者のペレス・ジェプチルチル(ケニア)が、パリ五輪銀メダルのティグスト・アセファ(エチオピア)とのトラック勝負を制し、再び“東京”で世界の頂点に立った。
ケニアとエチオピア、「長距離王国」のプライドを懸けたデッドヒートだった。
序盤は前世界歴代(2時間11分53秒)保持者、女子単独レース世界記録(2時間15分50秒)を持つアセファが先導するように、エチオピア勢がケニア勢を抑えるようにレースをリード。スタート時(7時30分)の気温28度、湿度82%の暑さのなか、最初の5kmを17分01秒で入る。
その後、エチオピア勢がペースを落とし、ケニア勢もそれに同調。その隙に米国勢が飛び出す展開になり、一時は1分以上の大差がついた。だが、まるでウォーミングアップかのようにそれを気にする素振りもない。
その後ペースを落としたエチオピア勢に歩調を合わせるようにケニア勢も落ち着き、代わって米国勢が飛び出して一時は1分以上のリードを奪う。しかし、両国のエースは動じることなく、ハーフを過ぎてから本格的にエンジンをかけた。4位につけていた小林香菜(大塚製薬)をかわすと、独走していたスザンナ・サリヴァン(米国)を27.8km付近で捕らえ、アセファとジェプチルチルのマッチレースが幕を開けた。
終盤の急坂や40km付近のアップダウンで前後する場面もあったが、常にアセファが主導し、ジェプチルチルが食らいつく構図は崩れない。そして国立競技場に入ると、最後のスパート合戦に突入した。
残り200mでアセファが先に仕掛けたが、ジェプチルチルは必死に対応。「トラックに入ったとき、本当に疲れていた」と振り返るが、残り100mで渾身のスパートを繰り出す。「残り100mで自然に身体が反応し、秘めていた力を出せた」と言うように、最後は一気に突き放し、ケニアにこの種目3大会ぶりの金メダルをもたらした。
「とても満足しています。暑くて大変でしたが、やり遂げることができました」と笑顔を見せたジェプチルチル。東京五輪制覇など輝かしいキャリアを持つ31歳でさえ「優勝できるとは思っていなかった」と語り、初めて世界の頂点に立った地で再び女王の座を手にしたことに「本当に感謝しています」と感慨深げに振り返った。
昨年のパリ五輪でもシファン・ハッサン(オランダ)との壮絶なスパート勝負に敗れたアセファは、同じ展開でまたも敗戦。だが、レース全体を支配する強さを示した。
「銀メダルを獲得できたことをうれしく思います」と振り返り、「金メダルを逃したとは思いたくありません。常に前向きに考え、銀メダルを獲得できたと思っています」ときっぱり。「オリンピックであれ、世界選手権であれ、どのメダルも私にとって特別で、大切なもの」と胸を張った。
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