HOME 駅伝、箱根駅伝

2024.10.20

1秒差の死闘を制して順大が本戦へ! エース格・浅井皓貴が日本人2位の好走/箱根駅伝予選会
1秒差の死闘を制して順大が本戦へ! エース格・浅井皓貴が日本人2位の好走/箱根駅伝予選会

第101回箱根駅伝予選会で日本人2番手の個人14位と好走した順大の浅井皓貴

◇第101回箱根駅伝予選会(10月19日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km)

第101回箱根駅伝予選会が行われ、順大が苦しみながらも11時間1分25秒で10位に滑り込み、14年連続66回目の本戦出場を決めた。

広告の下にコンテンツが続きます

レース後、人目もはばからず涙を見せる長門俊介駅伝監督の姿が、このレースの過酷さを物語っていた。

エース格の浅井皓貴(4年)が日本人2番手を占める個人14位と好走し、海老澤憲伸(同)も37位と最上級生が意地を見せる。その一方で、長門監督は「思ったような走りができていない選手もいました」と話す。

主力の吉岡大翔(2年)も「昭和記念公園に入る後半からしっかり上げていこうと思っていましたが、序盤の自衛隊駐屯地のあたりで結構きつくて焦りがありました」と振り返るなど、10kmの通過で総合10位、15kmで12位と当落線上での戦いが続いた。

コース上でただ一つの折り返しポイントがある昭和記念公園内の17.4km地点でも、11位とわずか3秒差の10位と、最後まで油断を許さないレース展開を強いられた。

広告の下にコンテンツが続きます

迎えた結果発表。最後の1枠でようやく「10位・順大」のコールが鳴り響く。終わってみれば、次点の11位・東農大との差はわずか1秒。箱根駅伝本戦で11度の総合優勝を誇る名門にとって、66回目の本戦切符はまさに薄氷を踏むものだった。

「選手たちには僅差の勝負だから、15kmが勝負で、1秒が大事だとずっと言ってきました。まだまだ力を出し切れたとは言えませんが、本当に最後まで粘り強く走ってくれたと思います」(長門監督)

苦しい戦いの中、本戦出場の立役者となった浅井は、このレースに並々ならぬ想いを持っていた。今季はトラックシーズンを右足首の故障で棒に振り、本戦出場を逃した6月の全日本大学駅伝関東地区選考会も欠場。8月中旬に練習を再開したが、「今回も走れるかギリギリだった」と振り返る。

それでも、「4年生としてチームに貢献したかった。自分がどれだけタイムを稼げるかだと思って、1秒を大切にして、後半の粘りを大切に走れたと思います」と安堵の表情を見せた。長門監督も「短い期間で良くここまで戻してくれた。さすがエースだと思います」と最大の功労者を労った。

今季のスローガンは「下剋上」。ラスト1枚の本戦切符を手にしたチームにとって、まさにその言葉を体現する場が箱根路となる。「ウチは20番目ですから、まさに下剋上ですよね。まだ発展途上のチームですが、ここからしっかり準備をして、5番以内を目指していきたいと思います」

苦しい戦いを乗り越えた名門は、ここから本当の意味での復活を目指していく。 

文/田中 葵

◇第101回箱根駅伝予選会(10月19日/東京・陸上自衛隊立川駐屯地スタート、昭和記念公園フィニッシュ:21.0975km) 第101回箱根駅伝予選会が行われ、順大が苦しみながらも11時間1分25秒で10位に滑り込み、14年連続66回目の本戦出場を決めた。 レース後、人目もはばからず涙を見せる長門俊介駅伝監督の姿が、このレースの過酷さを物語っていた。 エース格の浅井皓貴(4年)が日本人2番手を占める個人14位と好走し、海老澤憲伸(同)も37位と最上級生が意地を見せる。その一方で、長門監督は「思ったような走りができていない選手もいました」と話す。 主力の吉岡大翔(2年)も「昭和記念公園に入る後半からしっかり上げていこうと思っていましたが、序盤の自衛隊駐屯地のあたりで結構きつくて焦りがありました」と振り返るなど、10kmの通過で総合10位、15kmで12位と当落線上での戦いが続いた。 コース上でただ一つの折り返しポイントがある昭和記念公園内の17.4km地点でも、11位とわずか3秒差の10位と、最後まで油断を許さないレース展開を強いられた。 迎えた結果発表。最後の1枠でようやく「10位・順大」のコールが鳴り響く。終わってみれば、次点の11位・東農大との差はわずか1秒。箱根駅伝本戦で11度の総合優勝を誇る名門にとって、66回目の本戦切符はまさに薄氷を踏むものだった。 「選手たちには僅差の勝負だから、15kmが勝負で、1秒が大事だとずっと言ってきました。まだまだ力を出し切れたとは言えませんが、本当に最後まで粘り強く走ってくれたと思います」(長門監督) 苦しい戦いの中、本戦出場の立役者となった浅井は、このレースに並々ならぬ想いを持っていた。今季はトラックシーズンを右足首の故障で棒に振り、本戦出場を逃した6月の全日本大学駅伝関東地区選考会も欠場。8月中旬に練習を再開したが、「今回も走れるかギリギリだった」と振り返る。 それでも、「4年生としてチームに貢献したかった。自分がどれだけタイムを稼げるかだと思って、1秒を大切にして、後半の粘りを大切に走れたと思います」と安堵の表情を見せた。長門監督も「短い期間で良くここまで戻してくれた。さすがエースだと思います」と最大の功労者を労った。 今季のスローガンは「下剋上」。ラスト1枚の本戦切符を手にしたチームにとって、まさにその言葉を体現する場が箱根路となる。「ウチは20番目ですから、まさに下剋上ですよね。まだ発展途上のチームですが、ここからしっかり準備をして、5番以内を目指していきたいと思います」 苦しい戦いを乗り越えた名門は、ここから本当の意味での復活を目指していく。  文/田中 葵

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.22

佐久長聖1年の橋本蒼平が5000m14分30秒50でトップ/SGH文スポ チャレンジ

12月23日、滋賀県守山市のSGホールディングスグループ陸上競技場で令和7年度SGH文スポ チャレンジ競技会が開催された。 同大会は主に前日の全国高校駅伝(男子)に出場した学校のうち、出走できなかった選手たちを中心に参加 […]

NEWS 箱根駅伝Stories/継続中最長シード・東洋大 激動のシーズンに高まる結束力 2年生世代が台頭

2025.12.22

箱根駅伝Stories/継続中最長シード・東洋大 激動のシーズンに高まる結束力 2年生世代が台頭

新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 「チームのために走る」 20年連続で箱根駅伝のシード権を守り続けてい […]

NEWS 箱根駅伝Stories/悔しさを味わってきた東農大・原田洋輔 「がっつり爪痕を残したい」 地元・戸塚で貢献を

2025.12.22

箱根駅伝Stories/悔しさを味わってきた東農大・原田洋輔 「がっつり爪痕を残したい」 地元・戸塚で貢献を

新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 身近にあった箱根駅伝 10月の箱根駅伝予選会で東農大は6位を占め、2 […]

NEWS 箱根駅伝Stories/ハーフで強さ示してきた帝京大・島田晃希 「エース区間を走りたい」期待の“大器”最後の舞台へ

2025.12.22

箱根駅伝Stories/ハーフで強さ示してきた帝京大・島田晃希 「エース区間を走りたい」期待の“大器”最後の舞台へ

新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 身近にあった箱根駅伝 この1年で帝京大の長距離種目の歴代記録がガラリ […]

NEWS 大学対校男女混合駅伝のアンバサダーに堀未央奈が就任!来年2月15日開催、22チーム出場

2025.12.22

大学対校男女混合駅伝のアンバサダーに堀未央奈が就任!来年2月15日開催、22チーム出場

第6回全国大学対校男女混合駅伝の大会要項が公開され、大会アンバサダーに元乃木坂46の堀未央奈さんが選ばれた。 堀さんは乃木坂46の2期生として加入し、『バレッタ』でセンターを務めるなど人気メンバーとして活躍。21年3月に […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top