2020.09.10
78回大会は駒大が2年ぶりの総合優勝。写真は前々回の10区、前回の9区に続き、3年連続で区間賞を獲得した駒大9区の高橋正仁
平成以降の箱根駅伝を振り返る「PlayBack箱根駅伝」。今回は駒大が復路の逆転劇で2年ぶり2度目の総合優勝を飾った第78回大会(2002年)を紹介する。大会の歴史を知ることで、正月の箱根路がより楽しみになるかも!?
大混戦の往路は神奈川大が制覇。早大は区間賞4つで6年ぶりトップ3
大混戦となった往路。2区ではオンベチェ・モカンバを起用した山梨学大が先頭に立った
出雲駅伝1位、全日本大学駅伝3位の順大と、出雲2位、全日本1位の駒大。前回の優勝、準優勝の両校が再び“紫紺対決”を繰り広げた第78回大会。前回出場校のうち拓大、國学院大、平成国際大が予選会で姿を消し、亜細亜大が5年ぶり、専大が4年ぶり、関東学院大が2年ぶりに本戦出場を果たした。
往路はすべての区間で先頭が入れ替わる大混戦。1区はスローペースで推移し、残り300mでスパートした順大の入船満(4年)が区間賞を獲得。1秒差で神奈川大、さらに2秒差で中大が続き、最下位(15位)の日大までが45秒差という僅差で戦国駅伝が幕を開けた。
2区では順大、神奈川大、中大、山梨学大の4校が先頭集団を形成し、10秒ほど後方で9人の5位集団が追う展開に。5km過ぎ、第2集団を牽引していた法大の徳本一善(4年)がペースアップを図ろうとした瞬間にふくらはぎを肉離れ。2年時に1区区間賞、3年時には2区で3位からトップを奪う快走を見せた絶対的エースが無念の途中棄権に終わった。その後、先頭争いは山梨学大のオンベチェ・モカンバ(1年)が抜け出し、トップで戸塚中継所へタスキリレー。11秒差で早大が続き、8位の大東大までが1分差と、ここでも大きな差は生まれなかった。
3区では早大の森本哲(3年)が区間賞の快走で首位に浮上。優勝候補の順大はこの区間で8位に転落した一方で、2区終了時で9位と出遅れていた駒大が猛烈な追い上げを見せた。3区の島村清孝(3年)が区間2位の好走で4位まで順位を上げると、4区では松下龍治(3年)が区間2位に1分以上の差をつける区間トップの走りで一気に先頭へ。5区の1年生・田中宏樹にタスキを託した。
山上りの5区では快調に歩を進める田中に対し、後方から神奈川大の吉村尚悟(2年)、さらに後ろから順大の野口英盛(4年)が猛烈な勢いで追い上げを見せた。中盤以降は強い向かい風が吹き荒れるコンディションとなるなか、吉村が16.5km付近で首位に浮上。田中も19kmまでは懸命に食らいついたものの、神奈川大が4年ぶりに往路優勝を達成した。駒大が23秒差で2位となり、8位から5人を抜いた順大の野口が47秒差の3位でフィニッシュした。
4位の早大、5位の大東大、6位の中大までがトップと3分差以内となり、ここまでが優勝争いの可能性が残る展開に。一方、全日本2位の山梨学大は4区終了時で5位につけていたが、留学生で初めて5区に起用されたデビット・カリウキ(3年)が区間11位と振るわず8位まで転落した。
6区では駒大の吉田繁(2年)が神奈川大を抜いて再び先頭を奪取。順大が2位に浮上し、5位でスタートした大東大の金子宜隆(4年)が前回自身が打ち立てた区間記録には43秒及ばなかったものの、区間賞の走りで3位まで順位を上げた。
7区以降では駒大の強さが光った。7区の揖斐祐治(4年)が区間3位、8区の塩川雄也(1年)が区間2位、9区の高橋正仁(4年)が区間賞。徐々に後続との差を広げ、最後はアンカーの河村修一(4年)が悠々と2年ぶりのVテープを切った。
エースの岩水嘉孝(4年)を直前の肺気胸で欠いた順大が総合2位。2区、3区、7区と区間賞を獲得し、10区の櫻井勇樹(4年)も区間記録を1秒上回る区間トップの走りを見せた早大が6年ぶりにトップ3に返り咲いた。往路6位だった中大は復路で順位を上げて4位でフィニッシュ。1987年から続く連続5位以内を堅守した。
シード権争いはこの年も激戦となり、5年ぶりの出場となった亜細亜大が7位で1996年以来となるシード権確保。帝京大が8位となり、山梨学大が3年連続9位で歴史をつないだ。日大は9区終了時で7位につけていたものの、10区で3つ順位を落としてシード圏外へ。56秒差で涙をのんだ。
<人物Close-up>
野口英盛(順大4年)
2000年度には学生駅伝3冠を達成するなど、順大の全盛期を牽引。同期の岩水嘉孝、奥田真一郎、入船満、坂井隆則らとともに「順大クインテット(5人衆)」を形成し、箱根駅伝では1年時から総合1位、2位、1位、2位と抜群の安定感を誇った。1年時は箱根出走を果たせなかったものの、2年時、3年時は4区で、4年時は5区で区間賞を獲得。3年間で計11人のランナーをごぼう抜きした。卒業後は富士通に入社し、2002年5月には世界ハーフマラソン選手権に出場。その後は膝の故障などで伸び悩み、2007年に現役を引退した。現在は積水化学の女子陸上競技部監督を務める。
<総合成績>
1位 駒澤大学 11.05.35(往路2位、復路1位)
2位 順天堂大学 11.09.34(往路3位、復路3位)
3位 早稲田大学 11.09.54(往路4位、復路2位)
4位 中央大学 11.12.58(往路6位、復路4位)
5位 大東文化大学11.13.15(往路5位、復路5位)
6位 神奈川大学 11.16.29(往路1位、復路11位)
7位 亜細亜大学 11.21.33(往路9位、復路7位)
8位 帝京大学 11.21.39(往路7位、復路10位)
9位 山梨学院大学11.21.44(往路8位、復路9位)
========シード権ライン=========
10位 日本大学 11.22.40(往路10位、復路8位)
11位 日本体育大学11.23.36(往路12位、復路6位)
12位 関東学院大学11.29.23(往路13位、復路12位)
13位 専修大学 11.33.42(往路11位、復路14位)
14位 東海大学 11.34.19(往路14位、復路13位)
途中棄権 法政大学 記録なし
<区間賞>
1区(21.3km)入船 満(順 大4) 1.04.21
2区(23.0km)原田正彦(早 大4) 1.08.35
O.モカンバ(山梨学大1)1.08.35
3区(21.3km)森村 哲(早 大3) 1.04.27
4区(20.9km)松下龍治(駒 大3) 1.02.24
5区(20.7km)野口英盛(順 大4) 1.12.32
6区(20.7km)金子宣隆(大東大4) 59.04
7区(21.2km)空山隆児(早 大1) 1.03.33
8区(21.3km)中川拓郎(順 大3) 1.04.53
9区(23.0km)高橋正仁(駒 大4) 1.09.31
10区(23.0km)櫻井勇樹(早 大4) 1.10.18=区間新
78回大会は駒大が2年ぶりの総合優勝。写真は前々回の10区、前回の9区に続き、3年連続で区間賞を獲得した駒大9区の高橋正仁
平成以降の箱根駅伝を振り返る「PlayBack箱根駅伝」。今回は駒大が復路の逆転劇で2年ぶり2度目の総合優勝を飾った第78回大会(2002年)を紹介する。大会の歴史を知ることで、正月の箱根路がより楽しみになるかも!?
大混戦の往路は神奈川大が制覇。早大は区間賞4つで6年ぶりトップ3
大混戦となった往路。2区ではオンベチェ・モカンバを起用した山梨学大が先頭に立った
出雲駅伝1位、全日本大学駅伝3位の順大と、出雲2位、全日本1位の駒大。前回の優勝、準優勝の両校が再び“紫紺対決”を繰り広げた第78回大会。前回出場校のうち拓大、國学院大、平成国際大が予選会で姿を消し、亜細亜大が5年ぶり、専大が4年ぶり、関東学院大が2年ぶりに本戦出場を果たした。
往路はすべての区間で先頭が入れ替わる大混戦。1区はスローペースで推移し、残り300mでスパートした順大の入船満(4年)が区間賞を獲得。1秒差で神奈川大、さらに2秒差で中大が続き、最下位(15位)の日大までが45秒差という僅差で戦国駅伝が幕を開けた。
2区では順大、神奈川大、中大、山梨学大の4校が先頭集団を形成し、10秒ほど後方で9人の5位集団が追う展開に。5km過ぎ、第2集団を牽引していた法大の徳本一善(4年)がペースアップを図ろうとした瞬間にふくらはぎを肉離れ。2年時に1区区間賞、3年時には2区で3位からトップを奪う快走を見せた絶対的エースが無念の途中棄権に終わった。その後、先頭争いは山梨学大のオンベチェ・モカンバ(1年)が抜け出し、トップで戸塚中継所へタスキリレー。11秒差で早大が続き、8位の大東大までが1分差と、ここでも大きな差は生まれなかった。
3区では早大の森本哲(3年)が区間賞の快走で首位に浮上。優勝候補の順大はこの区間で8位に転落した一方で、2区終了時で9位と出遅れていた駒大が猛烈な追い上げを見せた。3区の島村清孝(3年)が区間2位の好走で4位まで順位を上げると、4区では松下龍治(3年)が区間2位に1分以上の差をつける区間トップの走りで一気に先頭へ。5区の1年生・田中宏樹にタスキを託した。
山上りの5区では快調に歩を進める田中に対し、後方から神奈川大の吉村尚悟(2年)、さらに後ろから順大の野口英盛(4年)が猛烈な勢いで追い上げを見せた。中盤以降は強い向かい風が吹き荒れるコンディションとなるなか、吉村が16.5km付近で首位に浮上。田中も19kmまでは懸命に食らいついたものの、神奈川大が4年ぶりに往路優勝を達成した。駒大が23秒差で2位となり、8位から5人を抜いた順大の野口が47秒差の3位でフィニッシュした。
4位の早大、5位の大東大、6位の中大までがトップと3分差以内となり、ここまでが優勝争いの可能性が残る展開に。一方、全日本2位の山梨学大は4区終了時で5位につけていたが、留学生で初めて5区に起用されたデビット・カリウキ(3年)が区間11位と振るわず8位まで転落した。
6区では駒大の吉田繁(2年)が神奈川大を抜いて再び先頭を奪取。順大が2位に浮上し、5位でスタートした大東大の金子宜隆(4年)が前回自身が打ち立てた区間記録には43秒及ばなかったものの、区間賞の走りで3位まで順位を上げた。
7区以降では駒大の強さが光った。7区の揖斐祐治(4年)が区間3位、8区の塩川雄也(1年)が区間2位、9区の高橋正仁(4年)が区間賞。徐々に後続との差を広げ、最後はアンカーの河村修一(4年)が悠々と2年ぶりのVテープを切った。
エースの岩水嘉孝(4年)を直前の肺気胸で欠いた順大が総合2位。2区、3区、7区と区間賞を獲得し、10区の櫻井勇樹(4年)も区間記録を1秒上回る区間トップの走りを見せた早大が6年ぶりにトップ3に返り咲いた。往路6位だった中大は復路で順位を上げて4位でフィニッシュ。1987年から続く連続5位以内を堅守した。
シード権争いはこの年も激戦となり、5年ぶりの出場となった亜細亜大が7位で1996年以来となるシード権確保。帝京大が8位となり、山梨学大が3年連続9位で歴史をつないだ。日大は9区終了時で7位につけていたものの、10区で3つ順位を落としてシード圏外へ。56秒差で涙をのんだ。
<人物Close-up>
野口英盛(順大4年)
2000年度には学生駅伝3冠を達成するなど、順大の全盛期を牽引。同期の岩水嘉孝、奥田真一郎、入船満、坂井隆則らとともに「順大クインテット(5人衆)」を形成し、箱根駅伝では1年時から総合1位、2位、1位、2位と抜群の安定感を誇った。1年時は箱根出走を果たせなかったものの、2年時、3年時は4区で、4年時は5区で区間賞を獲得。3年間で計11人のランナーをごぼう抜きした。卒業後は富士通に入社し、2002年5月には世界ハーフマラソン選手権に出場。その後は膝の故障などで伸び悩み、2007年に現役を引退した。現在は積水化学の女子陸上競技部監督を務める。
<総合成績>
1位 駒澤大学 11.05.35(往路2位、復路1位)
2位 順天堂大学 11.09.34(往路3位、復路3位)
3位 早稲田大学 11.09.54(往路4位、復路2位)
4位 中央大学 11.12.58(往路6位、復路4位)
5位 大東文化大学11.13.15(往路5位、復路5位)
6位 神奈川大学 11.16.29(往路1位、復路11位)
7位 亜細亜大学 11.21.33(往路9位、復路7位)
8位 帝京大学 11.21.39(往路7位、復路10位)
9位 山梨学院大学11.21.44(往路8位、復路9位)
========シード権ライン=========
10位 日本大学 11.22.40(往路10位、復路8位)
11位 日本体育大学11.23.36(往路12位、復路6位)
12位 関東学院大学11.29.23(往路13位、復路12位)
13位 専修大学 11.33.42(往路11位、復路14位)
14位 東海大学 11.34.19(往路14位、復路13位)
途中棄権 法政大学 記録なし
<区間賞>
1区(21.3km)入船 満(順 大4) 1.04.21
2区(23.0km)原田正彦(早 大4) 1.08.35
O.モカンバ(山梨学大1)1.08.35
3区(21.3km)森村 哲(早 大3) 1.04.27
4区(20.9km)松下龍治(駒 大3) 1.02.24
5区(20.7km)野口英盛(順 大4) 1.12.32
6区(20.7km)金子宣隆(大東大4) 59.04
7区(21.2km)空山隆児(早 大1) 1.03.33
8区(21.3km)中川拓郎(順 大3) 1.04.53
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