2025年に控える東京世界選手権の開幕2年前となった9月13日、「ブダペストから東京へ 世界陸上開催2年前! TOKYO FORWARD 2025シンポジウム」が都内で開かれた。
このシンポジウムは東京都が主催、一般財団法人東京2025世界陸上財団が共催。200名限定で一般観客も入れて開かれ、アスリート代表として男子20km競歩で19・22年と2連覇している山西利和(愛知製鋼)と女子1500m・5000m日本記録保持者で、ブダペスト世界選手権5000m8位の田中希実(New Balance)が登壇した。
イベントは小池百合子東京都知事の挨拶からスタート。山西と田中はアスリートトークショーと「国際スポーツ大会が東京にもたらすもの」というテーマでのパネルディスカッションに参加した。
小林祐梨子さんがMCを務めたアスリートトークショーではブダペスト世界選手権を振り返り、3連覇を狙った山西は「思ったような結果ではなかったですが、来年のパリ五輪、東京世界選手権に生かしていきたい。振り返った時に今回の結果に意味があったと言えるようになれば」と語る。
一方の田中は、準決勝敗退に終わった1500mは「今も悔しい」というが、「5000mで何か形として残したいと思っていたので入賞できて良かった」と振り返った。
ともに種目の実施時間が変わったこともあり、当時の思いや状況など明かしたり、本番に向けた調整方法などを語った。性格面では「負けず嫌い」(山西)、「しつこいのと、あまのじゃく」(田中)と自己分析。小林さんは「控え室で『世界の当たり前と自分の当たり前を埋めていく』というところで共感し合っていた」ことが印象に残ったという。
25年東京世界選手権に向けて、山西は「今年、来年と試していくことが形になればいいなと思います」と語り、『理想追う』をテーマに「突き詰めて歩いていって、それがパフォーマンスに表われれば」とした。田中は「オリンピックの時は無観客だったので、満員の観客の中を駆け抜けたい。身近な人にも見てもらえると思うので、『感謝』を表わす場にしたいです」と語った。
パネルディスカッションでは3人に加え、2025年にデフリンピックも東京で開催されることもあり、プロデフリンピアンでデフリンピック4大会出場の高田裕士、山本浩氏(法大教授)、コーディネーターの松尾哲矢氏(立教大教授)を交えてトークを繰り広げた。
「スポーツをする上で大切にしていることは」という松尾氏の問いに、田中は「まだ模索している部分は多いですが」と前置きした上で「自分自身が走りたいという気持ちが一番大事」と答えた。「走ることが生きること。走っている時間が自分らしい時間」と語る。
山西は「今、この瞬間をどう味わえているか。あれこれ苦しみながら、余裕を感じられる幅があれば、こういうことをやってみようとか。身体を使っていろいろなことをするのがスポーツのおもしろさだと思っています」と言う。さらに「負けず嫌いなのが一番。ここだと思った分野で負けない努力すること」を大切にしていると語った。
国際大会が東京で開かれることについて、「観客と一体となって記録が出るのは、みんなが幸せになる瞬間。いろんな人のパワー、熱で生まれる記録は魅力的です」と田中。山西は「いろんな感情を共有できるのは大きな体験。国際大会を通して東京全体、日本全体が共有してつながっていく良い機会になると思います」と思いを述べた。
「足りなかったものと向き合って2年やっていく。それを2025年9月にやってきたことすべてつぎ込みますので、伝わるものがあるといいなと思います」(山西)
「2025年の東京世界選手権では感謝を表したい。伸び伸びと楽しんでいる姿を見てもらえるように、力をつけていきたい」(田中)
最後は日本陸連の尾縣貢会長が「アスリートの本音を聞ける機会。喜び、苦悩、感謝、いろんな感情を持ちながら一つひとつの目標をクリアしている。共通しているのは負けない気持ち、競技を愛する気持ち。スポーツの魅力、価値を東京から発信したい」と挨拶した。
さまざまな思いを語った山西と田中。2年後の東京世界選手権でその「思い」を込めたパフォーマンスで沸かせることだろう。
東京世界選手権は2025年9月13日から21日までの9日間で行われる。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.02
世界陸上銅メダルの藤井菜々子に那珂川市市民栄誉賞&北九州市民スポーツ大賞
2025.12.02
サニブラウンがピックルボール初体験!子どもたちと真剣勝負「スポーツの力あらためて感じる」
-
2025.12.01
-
2025.12.01
-
2025.11.28
-
2025.11.29
-
2025.12.01
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.02
世界陸上銅メダルの藤井菜々子に那珂川市市民栄誉賞&北九州市民スポーツ大賞
9月の東京世界選手権女子20km競歩で銅メダルを獲得した藤井菜々子(エディオン)が、出身地である福岡県那珂川市の市民栄誉賞、そして高校時代を過ごした北九州市の北九州市民スポーツ大賞を受賞することが決まり、12月2日に両市 […]
2025.12.02
サニブラウンがピックルボール初体験!子どもたちと真剣勝負「スポーツの力あらためて感じる」
ピックルボール普及のためのイベントTORAY PICKLEBALL EXPERIENCEが12月2日に東京の有明アーバンスポーツ内のコートで行われ、男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が参加した。 ピック […]
2025.12.02
東洋大男子長距離が4社と契約 “昇り龍”を描いた鉄紺の新ユニフォームも発表「頂点目指し力強く上昇」
東洋大は12月2日、陸上競技部男子長距離部門において、セブン銀行(本社:東京都千代田区)、カカクコム(本社:東京都渋谷区)が運営する「求人ボックス」、ECC(本社:大阪市北区)、ビースタニング(本社:東京都渋谷区)が運営 […]
2025.12.02
約137gの超軽量ながら3D形状のカーボンプレート搭載、ミズノのスピードレーシングシューズ「HYPERWARP」が発売!
ミズノは12月2日、3D形状のフルレングスカーボンプレートを搭載したスピードランナー向けの新レーシングシューズ「HYPERWARP」シリーズを12月19日に全国のミズノランニング品取扱店で発売することを発表した。 近年の […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025