2023.04.03
女子中長距離の田中希実が4月3日、都内で記者会見を開き、New Balance所属アスリートとして活動していくことを明らかにした。
日本陸上界を牽引する田中がプロランナーとして新たな一歩を踏み出した。会見では改めて環境を変えたことについて「与えられている環境に甘えてしまうレースが増えて、ハングリー精神が弱まっている感じがしていた」と言う。
「もっと世界のトップで戦うとなると、潜在能力以上が必要になってくる。そのためには、本当に自分がこうしたいという思いと、確かな取り組みが必要で、プロ意識が大事になってくる。国内だけではなく、海外で認知してもらうにはどうするか考えた時に、もっと覚悟を持たないといけないと感じました」
そう感じ始めたのは昨シーズンで、「春はいろいろなことに挑戦しようとワクワクしていた」と言うが、シーズンが進むにつれて「挑戦したいという気持ちが萎えてしまうくらいしんどい思いが大きくなりました」と振り返る。「自分のしたいことや、挑戦したいかどうかもわからなくない」なかで「結果が出ないとモヤモヤする。見せるだけのパフォーマンスになってしまった」状況が続き、「積み重なってきたフラストレーションが爆発した」と表現する。
そうしたなかで、昨年10月にケニア遠征をしたり、今年2月には米国ボストンを拠点に女子中長距離で世界トップ選手が集まっている「チーム・ニューバランス・ボストン」で練習を積んだりしたことで意識が変化。「練習を楽しんでいるし、結果にかかわらず尊重し合っているのが伝わる、本当にファミリーのよう」と表現する。それでも、「プロとして一人で戦っている」姿勢にも感化。「楽しむというのは常々、口にしてもできていないこと。それは自分で苦しみ抜いて初めて手にする境地でもあると思う」。
田中の背中を押してきたのは「がむしゃらさ」であり、「ハングリー精神」。だからこそ、より厳しい道へ飛び込む覚悟を決めた。ニューバランスは大学1年時からサポートを受けてきたが、「今まで以上に強い関係」を築く。国内は地元・兵庫を拠点としつつ、「ボストンやケニア行く機会を増やしていきたい」と話す。これまでと大きく練習自体は「ガラッと変えることはない」が、「取り組む姿勢は変えていかないといけない」。
「世界のトップで戦いたいというのが一番の目標」。それだけではなく、「努力するなかで陸上界だけではなく社会全体、いろんな方に影響を与えるような選手になりたい」と言う。プロ選手を目指してきたのではなく、「もっと速くなりたい」という純粋で強い思いを突き詰めていけば、「自然とこういう形につながるということがあるというのを見せる一助になれば幸せです」と、若きアスリートたちへのメッセージを送る。
主要大会では4月9日の日本グランプリシリーズ・金栗記念にエントリーしている田中。ブダペスト世界選手権、そしてその先に向けてプロとして新たなスタート。もっと速く、もっと強く。田中らしく走り続けていく足跡は、陸上界にとっても新たな道となる。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.06.16
競歩・山西利和が愛知県スポーツ功労賞を受賞!20km競歩世界記録樹立が評価
-
2025.06.11
2025.05.28
女子10000mがレース途中で異例の中断!! 大雨と雷の影響も選手困惑/アジア選手権
-
2025.06.04
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.06.16
競歩・山西利和が愛知県スポーツ功労賞を受賞!20km競歩世界記録樹立が評価
愛知県スポーツ顕彰授与式が6月16日に行われ、男子競歩の山西利和(愛知製鋼)がスポーツ功労賞を受賞した。 同賞は愛知県出身、もしくは県内を拠点としている選手に贈られるもので、2月の日本選手権20km競歩で1時間16分10 […]
2025.06.16
砲丸投・大垣尊良ビッグショットなるか 女子短距離は山崎心愛に注目 男子中長距離は吉田星が軸/IH北海道
広島インターハイ(7月25日~29日)を懸けた地区大会が6月に各地で開催される。 インターハイ北海道地区大会は6月17日から20日まで、旭川花咲スポーツ公園陸上競技場で行われる。 広告の下にコンテンツが続きます 昨年、男 […]
2025.06.16
100mH・石原南菜が13秒33!地元で高校歴代2位・U18日本新・高2歴代最高の激走/IH北関東
◇インターハイ北関東地区大会(6月13~16日/カンセキスタジアムとちぎ、栃木県総合運動公園多目的広場投てき場)最終日 広島インターハイ出場を懸けた北関東地区大会の最終日の4日目が行われ、女子100mハードルで石原南菜( […]
Latest Issue
最新号

2025年7月号 (6月13日発売)
詳報!アジア選手権
日本インカレ
IH都府県大会