◇第99回箱根駅伝(1月2、3日:東京・大手町←→神奈川・箱根町/10区間217.1km)
前回2秒届かなかったトップスリーを目指した東洋大だが、エース・松山和希(3年)が登録から外れるなどベストメンバーで戦うことができず、序盤から大苦戦した。1区・児玉悠輔(4年)、2区・石田洸介(2年)でタスキをつなぐも、2区終了時でまさかの19位。チームの危機を救ったのが東洋大牛久高出身の4年生コンビだった。
4年連続出場となる主将・前田義弘は5区に出走。14位スタートから区間5位の激走で11位まで順位を押し上げた。復路では6区、7区と区間ふたケタ順位が続き、暗雲が立ちこめたが、8区に入った木本大地の区間賞で、シード圏内まで33秒差まで迫ったのだ。
続く9区の梅崎蓮(2年)が東京国際大と城西大をかわして9位に浮上。3年連続でアンカー務めた清野太雅(4年)は城西大に逆転を許すも、10位で踏みとどまり、18年連続でシード権を確保した。
酒井俊幸監督は「とにかく苦しい2日間でした。3年前にも10位はありましたが、今回は7位でスタートして、一時は19位。初めて最後尾の方の景色を見て、二度と味わいたくないと思いました」と胸の内を明かし、「なんとか連続シードは死守することができたんですけど、非常にコンディションに苦労したんです。特に12月に入ってから、コロナ、インフルエンザ、それから疲労骨折者も出て、ちぐはぐしたオーダーになってしまった」とアクシデントに見舞われたチーム事情を語った。
当初は九嶋恵舜(3年)を6区、熊崎貴哉(3年)を7区に起用する予定だったが、ともに戦線を離脱。往路、復路ともに序盤区間で苦戦を強いられた。
「万全でない選手も起用せざるを得なかったところもあって苦しかったです。そのなかで、前田と木本がよく走ってくれました。前田は190cmの長身ですが、初めての山で攻めの走りを見せました。木本は在学中に疲労骨折を8回ぐらいして、前回は4区で区間18位。最後は同タイムながら区間賞を獲得してくれました。4年生世代は学生駅伝で区間賞が一度もなかったんですけど、最後に苦労人の選手が区間賞を取ってくれて、シード権も残してくれたのは大きいと思います」(酒井監督)
全日本大学駅伝でもシード権を獲得しており、来季の三大駅伝もフル参戦することになる。
「吉居大和選手(中大3年)をはじめ、今の3年生の世代は非常にいい力を持っているので、箱根駅伝の序盤は速い展開がスタンダードになっている。そこに乗っかっていけるようにしないといけません。来季は松山と競い合えるような選手層を構築して、しっかりと勝負していきたい」と酒井監督。高速化する学生駅伝に鉄紺が食らいついていく。
文/酒井政人
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