2022.12.26
箱根駅伝Stories
新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。
前回王者の青学大を牽引するエース、近藤幸太郎(4年)。今年の前半シーズンは故障で棒に振ったが、秋以降は圧巻のパフォーマンスでチームを牽引してきた。黄金世代と言われた4年生を引っ張る近藤が最後の箱根路に挑む。
相次ぐ故障、陸上人生初の長期離脱
昨年度の近藤幸太郎が見せた活躍は出色だった。トラックでは5000m13分34秒88、10000m28分10秒50の青学大記録を樹立。9月の日本インカレ5000mを制し、出雲駅伝では1区区間賞を獲得した。
箱根駅伝ではエース区間の2区で区間7位と好走し、チームの総合優勝に貢献している。
その流れで2月には別府大分毎日マラソンで初マラソン挑戦も控えていたが、大会直前に左足距骨を故障。さらに復帰直後の4月には左足アキレス腱を痛め、大学ラストイヤーのトラックシーズン前半戦を棒に振った。
これまで陸上人生で大きな故障なく練習を続けてきたトレーニングの“継続力”こそが、近藤にとって成長の原動力だっただけに、走れない日々の苦悩は計り知れないものだった。
「4年生になり、自分はチームの四役(主将、副主将、寮長、主務)ではない部分でやってくれと言われて、結果でチームを引っ張ることだと理解したのですが、それができなかったことは不甲斐なかったです」
転機は9月の日本インカレ5000m。残り1000m付近から一気に集団から抜け出すと、最後まで後続を寄せ付けず、13分50秒37で優勝。昨年に続いて2連覇を達成した。
7月から復帰し、夏合宿も順調に消化したとはいえ、約半年ぶりのレースに不安もあるなか、ラスト勝負で勝利した昨年以上の強さを見せつけるレースだった。
「正直、レース前は不安もありましたけど、あそこで勝てたことで故障していた期間も無駄ではなかったと思いました。努力が自信に変わる瞬間というか、新しい自分に出会えた感じでしたね」
その言葉通り、駅伝シーズンに入ると近藤の走りはさらに凄みを増していく。
次のページ エースの宿命、駒大・田澤の直接対決
相次ぐ故障、陸上人生初の長期離脱
昨年度の近藤幸太郎が見せた活躍は出色だった。トラックでは5000m13分34秒88、10000m28分10秒50の青学大記録を樹立。9月の日本インカレ5000mを制し、出雲駅伝では1区区間賞を獲得した。 箱根駅伝ではエース区間の2区で区間7位と好走し、チームの総合優勝に貢献している。 その流れで2月には別府大分毎日マラソンで初マラソン挑戦も控えていたが、大会直前に左足距骨を故障。さらに復帰直後の4月には左足アキレス腱を痛め、大学ラストイヤーのトラックシーズン前半戦を棒に振った。 これまで陸上人生で大きな故障なく練習を続けてきたトレーニングの“継続力”こそが、近藤にとって成長の原動力だっただけに、走れない日々の苦悩は計り知れないものだった。 「4年生になり、自分はチームの四役(主将、副主将、寮長、主務)ではない部分でやってくれと言われて、結果でチームを引っ張ることだと理解したのですが、それができなかったことは不甲斐なかったです」 転機は9月の日本インカレ5000m。残り1000m付近から一気に集団から抜け出すと、最後まで後続を寄せ付けず、13分50秒37で優勝。昨年に続いて2連覇を達成した。 7月から復帰し、夏合宿も順調に消化したとはいえ、約半年ぶりのレースに不安もあるなか、ラスト勝負で勝利した昨年以上の強さを見せつけるレースだった。 「正直、レース前は不安もありましたけど、あそこで勝てたことで故障していた期間も無駄ではなかったと思いました。努力が自信に変わる瞬間というか、新しい自分に出会えた感じでしたね」 その言葉通り、駅伝シーズンに入ると近藤の走りはさらに凄みを増していく。 次のページ エースの宿命、駒大・田澤の直接対決エースの宿命、駒大・田澤の直接対決
10月の出雲駅伝ではエース区間の3区で区間3位と好走すると、圧巻は11月の全日本大学駅伝。7区で昨年自身がマークしたタイムを1分02秒、さらには区間記録(50分21秒)を29秒更新する49分52秒の区間新記録(区間2位)をマーク。区間賞こそ駒大の田澤廉(4年)に譲ったが、エースとして奮迅の走りを見せた。 「4位でタスキを受けて前に2チーム見えていたので、8区のことを考えて早めに抜いて、後ろとの差を広げようと考えてました。両駅伝とも先頭に立つような走りはできなかったですが、力はしっかり出せたかなと思います」 これまで学生三大駅伝で獲得した区間賞は昨年の出雲1区での1回のみ。それ以降の駅伝はすべて田澤と同区間で直接対決を演じ、常に後塵を拝している。 だが、昨年度の全日本7区では秒差、今年の箱根2区では56秒差だったところ、今季は出雲で1秒差、そして全日本では区間新バトルで14秒差と、今年のオレゴン世界選手権10000m代表にもなった学生長距離界のエースに引けをとらない走りを続けている。 [caption id="attachment_89589" align="alignnone" width="800"]
前回の箱根は2区で区間7位。果たして今回は……[/caption]
次なる舞台は箱根の2区が濃厚。実現すれば5大会連続となる直接対決となるが、近藤自身は「勝つことは難しいですよ。もう直接対決は嫌ですね」と苦笑いする。
直接対峙したからこそ感じるライバルの大きさからくる飾らない言葉。それでも、「これまで4回は同時か、自分が後ろから走る展開だったので、できれば前からスタートしたいですね。追いかけるのはなかなか難しいですが、自分が逃げて田澤君が追いついてくる展開になれば、そこからどれだけ粘れるかというところは力を発揮できるかなと思っていますし、その頑張りがチームを総合優勝に近づけることになると考えています」と、しっかりと気持ちも準備を進めている。
次のページ 「最後の箱根は納得したかたちで終わりたい」
「最後の箱根は納得したかたちで終わりたい」
出雲、全日本では駒大の2冠の前に後塵を拝した。だが最後の箱根だけは譲るつもりはない。近藤ら実力者が揃う4年生世代を中心とした選手層を武器に連覇を目指す。 「(箱根は)勝てるんですよ。自分たちの走りができれば結果は自ずとついてくると思います」 箱根はこれまでともに戦ってきた同期と挑む最後の駅伝。12月10日のチームエントリーでは4年生が半数以上を占める9名が登録された。 「同期がいたからここまで強くなれたし、自分だけじゃなく誰1人辞めることなくやってこれた。最後は全員が納得したかたちで終えられるようにしたい」 入学後、初めて経験した長期離脱も、今では必要な経験だったと捉えている。フレッシュグリーンのエースから、学生長距離界のエースへ。最後の箱根でも進化の快走を見せる。 [caption id="attachment_89588" align="alignnone" width="800"]
4年間苦楽をともにしてきた仲間と最後の箱根路へ[/caption]
こんどう・こうたろう/2001年1月30日生まれ。愛知県豊川市出身。175cm・66kg。愛知・代田中→豊川工高。5000m13分34秒88、10000m28分10秒50、ハーフ1時間3分42秒
文/田中 葵 RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.19
世界陸上銅の勝木隼人がエントリー 女子は前回Vの谷純花ら/元旦競歩
-
2025.12.19
-
2025.12.19
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2025.12.14
中学駅伝日本一決定戦がいよいよ開催 女子11時10分、男子12時15分スタート/全中駅伝
-
2025.12.14
-
2025.12.14
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.19
世界陸上銅の勝木隼人がエントリー 女子は前回Vの谷純花ら/元旦競歩
東京陸協は26年1月1日に開催される第74回元旦競歩(兼東京選手権競歩)のエントリー選手を発表した。 男子20kmには、9月の東京世界選手権35kmで銅メダルに輝いた勝木隼人(自衛隊体育学校)がエントリー。23年ワールド […]
2025.12.19
箱根駅伝Stories/東海大のスピードスター・兵藤ジュダ リベンジの1区で「やっぱり区間賞がほしい」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 失意から復活、トラックで勢い 前回の箱根駅伝予選会で総合14位に終わ […]
2025.12.19
箱根駅伝Stories/前回の雪辱期する中央学大・市川大世 「区間5位以内を目指して積極的な走りを」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 全日本では4人抜きの力走 3年ぶりに11月の全日本大学駅伝に戻ってき […]
2025.12.19
箱根駅伝Stories/過去最高順位を見据える城西大 強力4年生軸に「アッと驚くような試合がしたい」
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 主要区間の経験者残る 前回6位の城西大がチーム最高成績の3位以内を目 […]
2025.12.19
予選会と5000m平均はともに仙台育英トップ 2番手は学法石川 鳥取城北は安定感/全国高校駅伝・データ編男子
男子第76回全国高校駅伝(12月21日/京都・7区間42.195km)に出場する58校を都道府県大会と地区大会で出されたタイムと、5000mのチーム内上位7人の平均タイム(12月上旬判明分)でランキング化した。 男子レー […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳