2022.12.19
下級生復調で戦力整う
それには下級生からの突き上げが欠かせない。トラックシーズン、そして出雲、全日本では強い最上級生の間になかなか割って入ることができずにいたが、岸本は「それがチーム力の底上げになりますし、ずっと強いチームを作り続けてきた伝統のようなもの」とその重要性を説く。
チーム内でもトップクラスの〝駅伝力〟を持つ佐藤一世(3年)は、全日本3区で区間2位の走りを見せるなど、4年生世代と遜色ない主力となっている。
前回の優勝メンバーだった太田蒼生、若林宏樹の2年生コンビは今季駅伝出走に至っていないものの、11月以降は復調の兆しを見せている。
田中悠登(2年)も、11月の世田谷246ハーフマラソンで日本人トップを占め、11月25日のMARCH対抗戦10000mで自己ベスト(28分35秒60)をマークするなど、箱根駅伝初出走に向けてアピールを続けている。
1年生ではMARCH対抗戦10000mで28分33秒62をマークした黒田朝日や、荒巻朋熙、塩出翔太と3人がエントリーメンバー入りを果たした。前回、三大駅伝初出場で総合優勝の起爆剤となった太田のようなニュースター誕生にも期待が高まる。
10000m28分台の選手は24人と、昨年のこの時期を上回り、原監督も「優勝した前回と同じレベルには仕上がっている」と自信を持つ。
大学スポーツで不可欠な4年生の存在と、それを追いかけて成長を遂げていく下級生の突き上げこそが青学大伝統の強さ。本来の姿を取り戻したフレッシュグリーンの王者が、最も得意とする箱根で最強の証を取り戻す。
文/田中 葵
“最強世代”4年生が9名エントリー
「我々は箱根駅伝に向けて逆算して準備をしている。戦力は整ってきているので、最終決戦は力を結集して勝負したい」 連覇を狙う青学大の原晋監督は、自信たっぷりに言い切った。 12月10日、箱根駅伝に向けたエントリーメンバー16名が発表され、「史上最強世代」と呼ばれた4年生が9人を占める布陣となった。 例年のように高い選手層を誇るチームにあって、1年時は4人、2年時に6人、3年時に8人がエントリーと年々勢力を増してきた世代。「決して入学当初から世代のトップクラスがいたわけではない」と振り返る岸本大紀(4年)が1年時に2区(区間5位)で6人抜きの首位浮上という快走を見せて以降、この世代の存在感は高まる一方だった。 史上初となる2度目の学生三大駅伝3冠を視野に入れて臨んだ今季。シーズン序盤はエースの近藤幸太郎(4年)が故障で出遅れるなか、関東インカレ(2部)では岸本が10000mで日本人トップの2位を占め、同ハーフマラソンでは西久保遼(4年)が2年連続表彰台となる3位、横田俊吾(4年)が5位に入った。 さらに9月の日本インカレでは復活した近藤が5000mで連覇を達成。10000mでも中村唯翔(4年)が5位(日本人2位)、横田が7位に入るなど、4年生世代が例年以上にフレッシュグリーンのユニフォームを躍動させた。 一方で駅伝では力を出し切れたとは言えない。出雲駅伝では4位、全日本大学駅伝では3位と、思うような結果は手に入れることはできなかった。 だが、内容を振り返ると、出雲では1区の目片将大(4年)が区間3位と好発進し、2区では横田が区間新(区間4位)。3区ではエースの近藤も区間3位で一時は2位に浮上し、アンカーの中村も区間3位と奮闘を見せた。 続く全日本でも、優勝の駒大に3分58秒差をつけられたものの、1区・目片と、4~7区の横田、岸本、中村、近藤の区間ではほぼ互角に渡り合い、原晋監督も、「走るべき選手はしっかり走れているのは安心材料」と評価している。 箱根でも前述の選手は核となる。1区候補には出雲、全日本で高い適性を見せた目片がおり、2区には全日本の7区(17.6km)で49分52秒の区間新(区間2位)で駒大・田澤廉(4年)と終盤までハイレベルなバトルを繰り広げた近藤がいる。 岸本、横田は平地区間ならどこでも区間上位が見込め、前回9区区間新でMVPを獲得した中村は再び復路で快走となるか。 それ以外にも10区区間記録保持者の中倉啓敦、高いロード力を持ちながら、これまで三大駅伝未出走の西久保、下級生の頃から5区の適性を見出されてきた脇田幸太朗、1500m3分44秒24のスピードが武器の西川魁星と、4年生だけで10区間配置しても不思議ではない面々がそろう。 全日本8区を走った主将の宮坂大器(4年)がエントリーメンバーから外れ、サポート役に回ることになったが、「全員にチャンスはあるし、走れない選手もいる。それでも最後はみんなで笑って終わりたい」と近藤は語っている。 最強世代の駅伝最終章は、最高の結末を迎えることができるだろうか。 次ページ 下級生復調で戦力整う下級生復調で戦力整う
それには下級生からの突き上げが欠かせない。トラックシーズン、そして出雲、全日本では強い最上級生の間になかなか割って入ることができずにいたが、岸本は「それがチーム力の底上げになりますし、ずっと強いチームを作り続けてきた伝統のようなもの」とその重要性を説く。 チーム内でもトップクラスの〝駅伝力〟を持つ佐藤一世(3年)は、全日本3区で区間2位の走りを見せるなど、4年生世代と遜色ない主力となっている。 前回の優勝メンバーだった太田蒼生、若林宏樹の2年生コンビは今季駅伝出走に至っていないものの、11月以降は復調の兆しを見せている。 田中悠登(2年)も、11月の世田谷246ハーフマラソンで日本人トップを占め、11月25日のMARCH対抗戦10000mで自己ベスト(28分35秒60)をマークするなど、箱根駅伝初出走に向けてアピールを続けている。 [caption id="attachment_89142" align="alignnone" width="800"]
11月25日のMARCH対抗戦では連覇を飾った[/caption]
1年生ではMARCH対抗戦10000mで28分33秒62をマークした黒田朝日や、荒巻朋熙、塩出翔太と3人がエントリーメンバー入りを果たした。前回、三大駅伝初出場で総合優勝の起爆剤となった太田のようなニュースター誕生にも期待が高まる。
10000m28分台の選手は24人と、昨年のこの時期を上回り、原監督も「優勝した前回と同じレベルには仕上がっている」と自信を持つ。
大学スポーツで不可欠な4年生の存在と、それを追いかけて成長を遂げていく下級生の突き上げこそが青学大伝統の強さ。本来の姿を取り戻したフレッシュグリーンの王者が、最も得意とする箱根で最強の証を取り戻す。
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連覇へ視界は良好だ[/caption]
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