◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)1日目
東京世界陸上1日目のモーニングセッションが行われ、男子35km競歩では勝木隼人(自衛隊体育学校)が2時間29分16秒で銅メダルを獲得した。
ラスト勝負でメダル争いから一度は脱落。「本当に危ないなと思ったのですが、15kmから25kmはペースが落ちてもいい。最後に上げられる自信がある、と思っていました」。冷静に前を追いかけると、E.ダンフィー(カナダ)、C.ボンフィン(ブラジル)といった歴戦の強者は「さすが強かった」とお手上げだが、3番目でスタジアムに入ってくると大きな拍手が送られた。
「このために1年間、先頭を引くようなレースをしてきました。やりたいレースができたと思います。ただ、前半でちょっと使いすぎましたね。金メダルを取りたかった気持ちもありますが、最低限」というが、その前半こそがメダルへの布石となる。
会場に向かうバスで、川野将虎(旭化成)と「序盤で8人くらいには絞りたいね。誰もいかなかったら前に行く、と話をしていた」という。その思惑通り、10km付近で早々に絞られた。「僕1人で取ったのではなく、(川野と)協力して取ったメダルです」と話す。
昨年のパリ五輪を逃してから「東京だけを見据えてやってきた」。この日はチームスタッフの計測でウォーミングアップ時点で湿度80%という蒸し暑さ。暑さを想定し、「昨年は掛水などもせずに身体がどんな反応になるかずっと関東の暑い中で歩いていた」と勝木。加えて、「35kmで結果を出している選手は20kmのスピードがある。まずはスピードを補えるように」と強化を図ってきた。
これまで歩型にも課題があったが、「厚底シューズでも、僕はつぶしたり、一切つぶさずに歩いたりする」とその時々のコンディションで歩き方を変えるなどして対応している。
あまり遠征に行かないのは「2人の子供といるときが一番コンディションが良い」から。6歳の長男と2歳の次女から「金メダルを取ってね」と言われるそうで「それがプラスになっています。銅メダルになんていうかな」と“父の顔”になる。
34歳。19年ドーハ、21年東京五輪に50km競歩で出場も、それ以降は代表から遠ざかった。その間に、アジア大会にも出場したが失格。そして、パリ五輪を逃すなど、悔しさを味わってきた。それでも「東京」だけを見据えてつかんだ銅メダル。日本は50km時代から、“ロング”の競歩において、世界陸上で日本は15年北京の谷井孝行(現・日本陸連強化委員会ディレクター)の銅メダルから、5大会連続でメダルを手にしてきた。
「日本の伝統だったので、最低限、メダルを取れて良かった。たくさん声援が力になりました。少しでも競歩がおもしろいというところをお見せしたかったですし、また国内大会も盛り上がってほしいです」
日本競歩の伝統を守り抜いたベテランウォーカー。大会初日、最初のメダルはチーム・ジャパンを大きく勢いづけた。
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