トラックゲームズ in TOKOROZAWAが3月22日、埼玉・早大所沢キャンパスの織田幹雄記念陸上競技場で始まった。22日は中長距離種目がトラックでは行われ、一般男子3000mには4月に早大へ入学する鈴木琉胤(八千代松陰高3千葉)が圧巻の走りを見せた。
鈴木は、29日にメルボルン(豪州)で5000mのレースに出場予定で、この競技会には練習の一環として出場したという。
「メルボルンの3000m通過が7分50秒から55秒ぐらいになりそうなので、その入りの感覚をつかむために、ちょっとペースを揺さぶって(400mを)62秒、63秒で回るなかで、前に食らいついて7分55秒ぐらいで行ければ」とレースに出場した意図を説明した。
そのため、佐藤圭汰(洛南・京都/現・駒大)が2021年に打ち立てた高校記録(7分50秒81)は「まったく狙っていませんでした」と言う。
スタート直後に先頭に立った鈴木は、入りの200mを30秒とかなりのハイペースで入った。
「コンタクトを取りながら、吉居駿恭さん(中大)がいい感じで引いてくれた」と言うように、400mで吉居が先頭に立つと、その背後にピタリとついた。その後は小池莉希(創価大)が先頭に立つ場面もあり、小池、吉居、鈴木の3人で先頭集団を形成し1000mを2分37秒で通過した。
2000mの通過が5分18秒と、この間の1000mは2分41秒とややペースダウン。先頭集団が6人になると、残り600mを前に鈴木は再び先頭に立った。そのままトップでフィニッシュ。記録は7分55秒08と想定通りだった。
「最後ちょっと上げたが、(想定タイムと)ぴったりだったので良かったです」
臙脂のユニフォームでのデビュー戦を前に、高校歴代2位、U20日本歴代4位となる快記録をマークしたにもかかわらず、鈴木は余裕の表情だった。
2月に入寮し早大で練習を重ねてきた鈴木は、さっそく新しい環境にも適応している。
「花田さんから出していただいたメニューを自分なりに理解して、無理せずに自分に合った練習を選べるのは、高校とも、他の大学とも違う、ここならではの練習方法かなと思います。環境の変化があった中でも、先輩が『走るぞ』と声をかけてくれたり、同期も強い人が多いので一緒に高め合える。環境としては本当にいい。これからが楽しみです」
大学1年目は、まず7月下旬のワールドユニバーシティゲームズ(ドイツのライン・ルール)出場を目標に掲げる。そして、駅伝シーズンは箱根駅伝優勝を目指すチームにとって、「少しでも力になれれば」と話していた。
文・写真/和田悟志
男子3000m高校歴代10傑&U20日本歴代10傑
■高校歴代10傑 7.50.81 佐藤圭汰(洛南3京都) 2021.11.21 7.55.08 鈴木琉胤(八千代松陰3+千葉) 2025. 3.22 7.58.18 吉岡大翔(佐久長聖3+長野) 2023. 3.25 7.59.18 遠藤日向(学法石川3福島) 2016.10.16 8.00.13 折田壮太(須磨学園3+兵庫) 2024. 3.16 8.01.92 濵口大和(佐久長聖3長野) 2024. 6.30 8.02.52 永原颯磨(佐久長聖3長野) 2023. 6. 4 8.02.56 佐々木哲(佐久長聖3長野) 2024. 6.30 8.03.16 谷本昂士郎(大牟田3福岡) 2023. 7. 1 8.03.60 本田桜二郎(大牟田3福岡) 2024. 6.30 ■U20日本歴代10傑 7.48.07 三浦龍司(順大2) 2021. 6.12 7.50.81 佐藤圭汰(洛南高3京都) 2021.11.21 7.54.79 遠藤日向(住友電工) 2017. 7. 9 7.55.08 鈴木琉胤(八千代松陰高3+千葉) 2025. 3.22 7.55.41 岡田開成(中大1) 2024. 7.26 7.57.25 前田和摩(東農大1+) 2024. 3.22 7.57.58 大野龍二(旭化成) 2004. 6.26 7.58.18 吉岡大翔(佐久長聖高3+長野) 2023. 3.25 7.58.26 石原翔太郎(東海大1+) 2021. 3.28 7.59.49 甲木康博(東洋大1) 2021. 7. 3
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