HOME ニュース、国内

2020.10.19

【やり投】ディーンが来季への“覚悟”語る 「東京五輪で最高のパフォーマンスを」
【やり投】ディーンが来季への“覚悟”語る 「東京五輪で最高のパフォーマンスを」


見事な復活を遂げた男子やり投のディーン元気(ミズノ)

 男子やり投のディーン元気(ミズノ)が10月19日、リモートで共同取材に応じ、「進化」と「進歩」を確認した2020年の振り返りと、1年延期となった東京五輪に向けた2021年への意気込みを語った。

 8月のセイコー・ゴールデングランプリで自己セカンドベスト、社会人になって初の80mスローとなる84m05をマーク。ロンドン五輪で決勝に進出(10位)するなど大躍進した早大3年時(2012年)以来となる大アーチを、新しい国立競技場の空に架けた。「冬季にやってきたことは間違いじゃなかった。パフォーマンスの出し方を、これで脳に刻むことができた」と大きな手応えをつかんだという。

広告の下にコンテンツが続きます

 その一方で、「高い技術を維持する難しさを感じた」のが10月1日の日本選手権。序盤から記録が伸び悩み、5投目に80m07と大台に乗せてトップに立ったものの、最終6投目に81m57を放った同期の新井涼平(スズキAC)に逆転負けを喫した。

 新型コロナウイルスの世界的蔓延の影響で東京五輪が延期されるなど、激動の2020年。だが、ディーンにとっては、「84mを出せたという収穫と、80mを試合中のどのタイミングで投げないといけないのか、それを再確認した1年。いい反省を持って冬季に臨めると思います」と話す。

 兵庫・市尼崎高ではインターハイのやり投と円盤投の2冠に輝き、MVPにも選ばれた。早大1年時には世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得し、20歳では父の母国で開催された五輪の舞台、それもファイナルの場に立った。

 しかし、ロンドン五輪前後から左脇腹、右脇腹、右肩など故障が相次ぎ、記録は低迷。「思い切ったパフォーマンスができなくて、長く、もどかしい時間を過ごしてきた」と振り返る。

 それでも、その間にも「身体の進化」を感じていた。これほどのブランクがありながらもトップシーンへの復帰を果たすといのは、トップアスリートとしては稀なこと。「スポーツを通して、あきらめなことの大切さを伝えていければ」という想いもある。

 昨年の冬季は、東京五輪に向けて覚悟を持って4ヵ月という長期間の海外合宿を敢行した。激しいウエイトレーニング、それをやり投に生かすための技術練習、さらにはトレーニングでいじめ抜いた身体を回復させて次の練習へと向かうための徹底した自己管理。クラウドファンディングで資金を募ったことも、その“覚悟”の1つだ。

 母と自身の母国で開かれる五輪だからこそできた取り組みを、もう1度やる。これは、口で言うほど簡単なことではない。

 だが、今年12月で29歳。良くも悪くも経験を積み、やり投に直結する「努力の方向性」を見定める大切さを学んできた。すべては「東京五輪で最高のパフォーマンスを発揮するために」――。

「支援してくださった人たちの思いを背負って、今年の冬季も臨みたい。ボディービルダーの方たちは分単位で身体の管理をすると聞きます。それぐらいの覚悟を持ってやります」

 世界的なコロナ禍の状況次第だが、11月下旬から再びフィンランドへ渡り、東京への第一歩を踏み出す予定でいる。

見事な復活を遂げた男子やり投のディーン元気(ミズノ)  男子やり投のディーン元気(ミズノ)が10月19日、リモートで共同取材に応じ、「進化」と「進歩」を確認した2020年の振り返りと、1年延期となった東京五輪に向けた2021年への意気込みを語った。  8月のセイコー・ゴールデングランプリで自己セカンドベスト、社会人になって初の80mスローとなる84m05をマーク。ロンドン五輪で決勝に進出(10位)するなど大躍進した早大3年時(2012年)以来となる大アーチを、新しい国立競技場の空に架けた。「冬季にやってきたことは間違いじゃなかった。パフォーマンスの出し方を、これで脳に刻むことができた」と大きな手応えをつかんだという。  その一方で、「高い技術を維持する難しさを感じた」のが10月1日の日本選手権。序盤から記録が伸び悩み、5投目に80m07と大台に乗せてトップに立ったものの、最終6投目に81m57を放った同期の新井涼平(スズキAC)に逆転負けを喫した。  新型コロナウイルスの世界的蔓延の影響で東京五輪が延期されるなど、激動の2020年。だが、ディーンにとっては、「84mを出せたという収穫と、80mを試合中のどのタイミングで投げないといけないのか、それを再確認した1年。いい反省を持って冬季に臨めると思います」と話す。  兵庫・市尼崎高ではインターハイのやり投と円盤投の2冠に輝き、MVPにも選ばれた。早大1年時には世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得し、20歳では父の母国で開催された五輪の舞台、それもファイナルの場に立った。  しかし、ロンドン五輪前後から左脇腹、右脇腹、右肩など故障が相次ぎ、記録は低迷。「思い切ったパフォーマンスができなくて、長く、もどかしい時間を過ごしてきた」と振り返る。  それでも、その間にも「身体の進化」を感じていた。これほどのブランクがありながらもトップシーンへの復帰を果たすといのは、トップアスリートとしては稀なこと。「スポーツを通して、あきらめなことの大切さを伝えていければ」という想いもある。  昨年の冬季は、東京五輪に向けて覚悟を持って4ヵ月という長期間の海外合宿を敢行した。激しいウエイトレーニング、それをやり投に生かすための技術練習、さらにはトレーニングでいじめ抜いた身体を回復させて次の練習へと向かうための徹底した自己管理。クラウドファンディングで資金を募ったことも、その“覚悟”の1つだ。  母と自身の母国で開かれる五輪だからこそできた取り組みを、もう1度やる。これは、口で言うほど簡単なことではない。  だが、今年12月で29歳。良くも悪くも経験を積み、やり投に直結する「努力の方向性」を見定める大切さを学んできた。すべては「東京五輪で最高のパフォーマンスを発揮するために」――。 「支援してくださった人たちの思いを背負って、今年の冬季も臨みたい。ボディービルダーの方たちは分単位で身体の管理をすると聞きます。それぐらいの覚悟を持ってやります」  世界的なコロナ禍の状況次第だが、11月下旬から再びフィンランドへ渡り、東京への第一歩を踏み出す予定でいる。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.19

トップアスリートとの交流会 中島佑気ジョセフ、小池祐貴、栁田大輝、廣中璃梨佳、山本有真も参加/RIKUJOフェスティバル

日本陸連は11月19日、RIKUJOフェスティバル(11月29日/東京・国立競技場)で実施するトップアスリートとのゲスト交流会に新たに参加する選手を発表した。 すでに、13人のアスリートが参加することが発表されているが、 […]

NEWS 全中駅伝に出場する女子48チームが出そろう 3連覇狙う京山をはじめ、大沢野、松橋などが全国切符 櫛形は20回目

2025.11.19

全中駅伝に出場する女子48チームが出そろう 3連覇狙う京山をはじめ、大沢野、松橋などが全国切符 櫛形は20回目

9月から開催されてきた第33回全国中学校駅伝(12月14日)の都道府県予選が11月16日をもって終了し、47都道府県の代表に開催地枠で出場するチームを加えた全48チームが出そろった。 女子は前回の全国大会で2連覇を飾った […]

NEWS 全中駅伝男子・出場チームが決定! 17チームが初出場 塩山は第1回大会以来32年ぶり 京山、三島の全国V経験校も

2025.11.19

全中駅伝男子・出場チームが決定! 17チームが初出場 塩山は第1回大会以来32年ぶり 京山、三島の全国V経験校も

9月から開催されてきた第33回全国中学校駅伝(12月14日)の都道府県予選が11月16日をもって終了し、47都道府県の代表に開催地枠で出場するチームを加えた全48チームが出そろった。 男子は2年前に全国制覇を達成している […]

NEWS マラソン日本記録保持者・鈴木健吾が神奈川大のアンバサダー就任 「刺激や勇気を届けられる存在でありたい」

2025.11.19

マラソン日本記録保持者・鈴木健吾が神奈川大のアンバサダー就任 「刺激や勇気を届けられる存在でありたい」

神奈川大は11月19日、男子マラソン日本記録保持者でOBの鈴木健吾が陸上部のアンバサダーに就任したと発表した。 鈴木は箱根駅伝では3年連続で2区を担い、3年時に区間賞を獲得。4年時には東京マラソンで2時間10分21秒で走 […]

NEWS 岡山・京山が今年も男女ともに全国出場! 全中1500m優勝・是枝愛香を擁する内部は26年ぶり/中学駅伝

2025.11.19

岡山・京山が今年も男女ともに全国出場! 全中1500m優勝・是枝愛香を擁する内部は26年ぶり/中学駅伝

12月14日に行われる第33回全国中学校駅伝の出場を懸けた県大会が、11月14日から16日にかけて、全国10県で行われた。 14日の岡山県大会では、2年前に全国男女優勝、女子は昨年も連覇を飾った京山が圧倒的な継走を披露。 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top