◇秩父宮賜杯第64回実業団・学生対抗(7月20日/神奈川・レモンガススタジアム平塚)
日本グランプリシリーズG2の実業団・学生対抗が行われ、女子100mハードルは福部真子(日本建設工業)が12秒69(+1.2)をマークして優勝。自身が22年に出した日本記録を0.04秒塗り替える日本新。パリ五輪に向けて大きな弾みをつけた。
速報タイマーは12秒70で止まり、「3度見しました」。正式に12秒69と表示され、さらに驚きの表情を見せる。「ものすごくうれしかったですが、世界を見た時に……」と、常に見据えているのは世界だった。
スタートから飛び出したように見えたが、自身の感覚としてはそれほど良いものではなかった様子。日本選手権後は疲労もあり「2週間ほどは状態が優れなかった」。その中で、「練習でもスタートから3台目の部分が何度やってもタイムが上がってこなくて結構落ち込んでいました」と言う。
ただ、それ以外は「自信を持てていた」。坂道を下るようなハードリングだった2年前の日本記録樹立時とは違い、「毎回、ハードルを跳んでいる」感覚だったというが、中盤以降は圧巻のスピードを披露。「余裕度があって、目で捉えられるようになってきた」と、持ち味を存分に発揮して大記録へとつなげ、「12秒7台をもう一度出したかった狙いの中で12秒6台。やっと地力がついてきたかな」と笑顔を見せる。
日本記録を出して以降、気持ちが「追いついていなかったところがありました」。あれだけ苦しんだインターハイ3連覇の称号よりも、『日本記録保持者』は重かった。ただ、「紆余曲折を経て、努力しながら、いろんな経験をして選手としても人間としても、もちろん技術的にも」成長でき、「あの時に逃げずに、いろんな試合に出続けたからこそ得たものがあります」。
世界のレベルは年々上がり「ファイナルとは言いたいところですが、決勝ラインのタイムがはるかに想像していたよりも上がっている」。広島に帰り、競技を続けると決めてから、ずっと思い描いていたパリ五輪。「まずは一つひとつのラウンドで、自分のベストパフォーマンスを出して突破していきたい」。
栄光をつかんだ過去も、苦しんだ過去も、どんな失敗も自分の糧として成長してきた天才ハードラーが、満を持してパリへと向かう。
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