夏の北海道を舞台とする中長距離のレースシリーズ、ホクレン・ディスタンスチャレンジ(DC)の第4戦深川大会が7月17日に開催され、男子3000m障害の日本記録(8分09秒91)保持者でパリ五輪代表の三浦龍司(SUBARU)が、オリンピック本番を前に5000mで足慣らしをした。
5000mA組に登場した三浦。13分40秒に設定された赤いペーシングライトに合わせるように第2集団でレースを進め、プラン通りに快調にペースを刻んだ。
「今回はラスト1000mのビルドアップに注力して走っていた」
こう振り返るように、残り1000mを切ると、ペースメーカーをも抜き去ってペースアップ。ペーシングライトも、1000mごとのラップがそれまでの2分44秒~46秒から最後は2分40秒まで上がる設定になっていたが、三浦のペースアップはそれ以上だった。
ラスト1000mは2分32秒でカバー。特にラスト400mは60秒を切る圧巻のスパートだった。そして、13分31秒61で日本人トップの6位に食い込む。「レース展開も良くて、手応えのあるレースができたんじゃないかなと思います」。パリ五輪に向けて順調ぶりを示した。
三浦は7位入賞を果たした21年の東京五輪の前も、6位に入った昨夏のブダペスト世界選手権の前も、ホクレンDC第4戦の5000mに出場。そのあと、世界の舞台に挑んで好成績を収めた。今回も過去と同じようなスケジュールだ。
「(東京五輪やブダペスト世界選手権の前と)重なるところはあるので、ある程度なぞった上で、クオリティーの高いものができています。自信を持っていいのかなと思います」と三浦。「パリ五輪はメダルが大きな目標。そこに向けて、努力はしてきたつもりなので、それが最終的に走りにつながってくれればいいなと思います。今回のレースは弾みになったんじゃないかなと思います」と、いっそう自信を深めていた。
この後は最終調整を行うが、セルジー(フランス)での事前合宿には参加せずに、8月を迎えてから選手村に入る予定だ。
東京五輪から三浦は国際舞台で実績を重ねてきた。今季も、7月7日のダイヤモンドリーグ第8戦パリ大会では3000m障害で自己3番目の8分10秒52を出して7位に入っている。「勢い任せで、恐れ知らずだった」という3年前とは、心構えが明らかに違う。
これまで数々の“史上初”の偉業を成し遂げてきたが、パリでも“史上初”に期待したい。
文・写真/和田悟志
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