2024.05.19
◇セイコーゴールデングランプリ(5月19日/東京・国立競技場)
世界陸連(WA)コンチネンタルツアー・ゴールドのセイコーゴールデングランプリが行われ、男子やり投はディーン元気(ミズノ)が81m38で2位に入った。
1投目を77m39で滑り出したディーンは、2投目に低い軌道ながら鋭く伸びるやりを繰り出す。80mをラインをしっかりと越え、今季初の大台スローをマークした。
3投目以降は「お客さんもいっぱい入って盛り上がっているし、モチベーションも上がっている。でも、ケガが潜んでいるのはこういうとき。身体と対話をして、リスクを回避する」ためにパス。実際、右脚内転筋と左腰に張りを感じていたという。
﨑山雄太(愛媛競技力本部)が5投目に80m07を迫ったものの、そのまま逃げ切るかと思われた最終6投目。キャメロン・マケンタイヤ(豪州)が自己新の82m01を放って逆転した。
「6投目を投げる準備はしていた」というディーンは再び集中モードへ入ったものの、75m程度の投げに終わってファウルに。結果的に2位となった「めちゃくちゃ悔しい」が、「2投目までに(世界大会の)予選通過ラインレベルを投げることを目標にして、そういう試合ができたので、良かったです」。そして、「観客のみなさんにはいっぱい投げられなかったので申し訳なかったですが」と付け加えた。
冬季は恒例のフィンランド合宿を敢行し、練習をともにするチームとともに南アフリカへ渡って入念にトレーニングをこなした。4月16日にはプロ野球・中日ドラゴンズのホームゲームで始球式を行うなど、心身ともに充実して迎えたパリ五輪イヤーだった。
「8月にピークをもってくるために」、シーズンインをいつもよりも1ヵ月遅らせ、初戦は4月29日の織田記念に。雨の影響などもあって4位にとどまったものの、5月10日のダイヤモンドリーグ(DL)ドーハ大会では、2投目の79m34を筆頭に80mに迫るアーチを連発して7位に入り、冬季の成果を示した。
12年ロンドン以来、3大会ぶりの五輪出場へ、ワールドランキングでは出場圏内につけている。早大3年で迎えたロンドン五輪イヤーに大ブレイクを果たし、父の祖国で開かれた大舞台で決勝進出(10位)の快挙を成し遂げた。
その後、長らくケガに泣かされたものの、22年のオレゴン世界選手権にその五輪以来となる世界大会出場を果たすと、再びファイナルに進んで入賞にあと一歩の9位に食い込んでいる。
昨年のブダペスト世界陸上は予選敗退となったが、アジア大会では82m68で銅メダルを獲得するなど国際大会で強さを発揮する。32歳となってベテランと言われる年齢にはなったが、そのパフォーマンスは年を追うごとに精度を増している。
再び五輪の舞台に立つために、「オリンピックのことはあまり考え過ぎずに、とにかく8月にピークをもってくることににフォーカスしてやっています」。この日も、「本当はめちゃくちゃ投げたかった」が、ケガを未然に防ぐためにあえて試技数を抑えた。
すべては8月。パリで、これまで培ったものすべてを爆発させる。
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