2024.02.29
アボット・ワールドマラソンメジャーズの一つ、東京マラソン2024が3月3日に行われる。
JMCシリーズGSで、パリ五輪代表選考会マラソングランドチャピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジの男子ラストレース。つまり、このレースをもって男子マラソン代表3人の内定が決まることになる。
すでに昨年のMGCで小山直城(Honda)と赤﨑暁(九電工)の2人が代表に内定。同3位の大迫傑(Nike)が現時点で候補に挙がるが、MGCファイナルチャレンジ設定記録2時間5分50秒をクリアした最上位の選手が、3人目の代表に決まる。もし設定記録突破者がいなければ大迫が内定となる。
注目は日本記録2時間4分56秒を持つ鈴木健吾(富士通)。ここ2年はコンディションが整わない時期も長かったが、先日のオンライン取材では「練習は順調にできている」と話していた。22年の東京では2時間5分28秒と、MGC設定記録を突破した実績もある。「相性が良い」と言う東京で、悲願の五輪代表をつかみ取れるか。
前回の東京で2時間5分51秒をマークし、ブダペスト世界選手権では入賞まであと一歩に迫ったのが山下一貴(三菱重工)。設定記録はつまり、山下の自己記録以上ということになる。ブダペスト以降は疲労もなかなか抜けず、“連戦”となったMGCでも32位と破れたが、「去年の段階で2時間5分を切れる練習をしていたと監督からも言われているので、しっかり練習を積めれば」と自己新での五輪切符へ準備を整えている。同じく1年前の東京で2時間5分59秒を出した其田健也(JR東日本)も虎視眈々と狙う。
注目は東京五輪代表の服部勇馬(トヨタ自動車)。長くケガに悩まされてきたが、ケニア合宿などを経て調子を上げてきた。全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)では7区区間3位で優勝に貢献した。その後は再びケニア合宿を経て、2大会連続五輪代表へ突っ走る。同じトヨタ自動車からは、22年オレゴン世界選手権代表の西山雄介と、昨年のブダペスト世界選手権代表の西山和弥も出場する。細谷恭平(黒崎播磨)も2時間5分台の可能性を秘める。
パリ行きの切符、最後の一枚は。大迫か、それとも。
パリ五輪代表争いも熾烈だが、海外招待選手も魅力たっぷり。“キング”エリウド・キプチョゲ(ケニア)が2年ぶりに東京に降臨。2年前は2時間2分40秒をマークしたが、衰え知らずなだけに、さらなる記録更新もあり得る。また、2時間3分13秒のベストを持つヴィンセント・キプケモイ(ケニア)や昨年のロッテルダムで2時間3分50秒(2位)を出したティモシー・キプラガト(ケニア)と、世界最高峰のランナーがズラリと並ぶ。
女子の海外招待選手には、昨年のシカゴで2時間13分44秒をマークしているシファン・ハッサン(オランダ)が登場。世界選手権やオリンピックのトラック種目で日本でもおなじみだが、マラソンに挑戦してからは徐々に自己記録を更新しているだけに、東京で世界記録(2時間11分53秒)に迫ってもおかしくない。
他にもブダペスト世界選手権金メダルのアマネ・ベリソ・シャンクレ(エチオピア)、ブダペスト世界選手権代表で昨年の覇者、青森山田高卒のローズメリー・ワンジル(ケニア)とこちらも豪華なメンバーがそろった。
そして女子の日本勢最注目は新谷仁美(積水化学)。昨年はヒューストンで2時間19分24秒の自己新を叩き出した。かねてから五輪に向かわないと明言しているように、女子のMGCファイナルチャレンジ対象ではない東京にエントリー。狙うは「日本記録」のみ。前田穂南(天満屋)が大阪で出した2時間18分59秒をペースメーカーとして“アシスト”した新谷が、いよいよマラソン日本記録保持者となるか。
男女とも壮絶なレースとなる予感が漂う東京マラソン。日曜日の天候は晴れ予報、最高気温も13度前後と絶好のコンディションになりそう。優勝賞金は1100万円、世界記録には3000万円、日本記録には500万円のボーナスがつく。東京マラソンは3月3日、9時10分に都庁前をスタートし、都内を巡って東京駅前でフィニッシュする。東京マラソンは日本テレビ系列で朝9時から生中継される。
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