2024.01.01
◇第68回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝/1月1日、群馬県庁発着・7区間100km)
ニューイヤー駅伝が行われ、トヨタ自動車が4時間49分02秒で8年ぶり4度目の優勝を飾った。
今回から最長区間が4区から2区(21.9km)に変更となり、3区も15.4kmある新コースで、駅伝の「王道」を見事に実現。序盤でトップに立ち、中盤、後半で他を突き放す。まさに、盤石の王座奪還だった。
レースを振り返り、熊本剛監督は「これまで太田に良い位置で渡せなかったが、1区の大石港与がいい位置で渡せたことで、しっかりと主導権を握ることができた」と勝因について語った。
レースプランは「前半で主導権を握ること」(熊本監督)。それを実現するべく、「エースの太田の2区と、田澤の3区は早い段階で決まった」という。
さらに、向かい風の適性と調子の良さから田中秀幸の5区が決まり、6区、7区には「マラソンで安定感がある」と服部勇馬と西山雄介。その中で、「キャプテンに優勝テープを切ってほしかった」とアンカー・服部が決まった。
そして1区については、過去3度の優勝時に監督としてチームを指揮した佐藤敏信総監督から「ベテラン選手を起用すると安定する」というアドバイスから、直近のレースの結果も踏まえて今年度限りでの引退を決めていた大石を起用。4区のコリル・フェリックスを含めて、すべてのピースが埋まった。
そして、選手たちはそれぞれの役割を果たす。大石がトップと4秒差の4位で太田につなぐと、エースが一気に首位へと突き抜け、狙い通りに主導権を握った。
田澤は最初の5kmを13分38秒で突っ込み、「前半に差が詰まると相手を元気にさせる。最初に突っ込んでそれをさせなかった」と熊本監督が称える走り。2位・Hondaとの差を42秒から58秒に広げ、5区・田中、6区・西山の連続区間賞で勝負を決めた。
常に優勝候補に挙げられながらも、2015年、16年と連覇を最後に頂点からは遠ざかった。それを知る大石は、「優勝できなかった時は、どこかで失敗があって自滅していた」と振り返る。だが、熊本監督はこう続ける。
「7年間優勝できませんでした。でも、その間も3位以内を撮り続けて、土台があったからこそ今の強さがある」
個人で世界大会を目指す取り組みの中で、マラソンで21年の東京五輪に服部勇馬、22年オレゴン世界選手権に西山雄介、今回は登録メンバーに入らなかったが23年のブダペスト世界選手権に西山和弥が出場してきた。
さらに、オレゴン、ブダペスト両世界選手権で10000mに出場した田澤の加入に太田が刺激を受け、昨年12月10日の日本選手権10000mでは太田が2位ながら従来の日本記録を上回る27分12秒53をマークし、田澤も自己新の27分22秒31で4位。トラックのスピードにもさらに磨きがかかる。
2011年の初優勝時にアンカーを務めた熊本監督。今回は指揮官として味わった頂点に「うれしいのが一番ですが、ホッとした面もある」と話す。それは、トヨタ自動車は「優勝しないといけない」チームだから。
王座を取り戻した今、さらなる強さを作り上げる「土台」が出来上がった。
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