2020.09.15
【シューズレポ】
サブスリー編集者が語る!!
デサント「GENTEN-EL」
中学から陸上競技に取り組み、今も市民ランナーとして走り続けている月陸編集者(マラソンの自己ベストは2時間43分)が、注目のシューズをトライアル! 今回はデサントの「GENTEN-EL」(税別16,000円)を紹介する。

デサントが開発したカーボンプレートを搭載した薄底レーシングシューズ「GENTEN-EL」。この夏には新色の「レッド」が発売されている。なお、ELは「エリート」の略称
カーボンプレート&グラフェンのハイテク仕様
スポーツ界では主にウェアの製造・販売で実績があるデサントが、2019年冬からランニングシューズ部門に本格参入。近年ブームを巻き起こしている厚底ではなく、「日本人の足・走りに合うシューズ」をコンセプトに、薄底レーシングモデルをメインとした「GENTEN(原点)」シリーズを展開している。
なかでも注目はエリートレーシングモデルである「GENTEN-EL」だろう。その最大の特徴は薄底ながらカーボンプレートを搭載していることだ。地面に接するアウトソールとミッドソールの間に配置され、地面からの反発がプレートに伝わりやすい構造になっている。
さらに、アウトソールには鉄の200倍の強度を持つという結合炭素原子素材「グラフェン」を配合した「GRAPHENE RUBBER(グラフェンラバー)」を採用。単なる従来型の薄底レーシングモデルではなく、最新技術をふんだんに盛り込んだところにデサントの本気度を感じられる一足となっている。

アウトソールには鉄の200倍の強度を持つという結合炭素原子素材「グラフェン」を配合した「GRAPHENE RUBBER(グラフェンラバー)」を採用。地面に食いつくようなグリップ力を発揮する
また、デサントジャパンは昨年、3000m障害で2016年リオ五輪に出場している塩尻和也選手(富士通)とアドバイザリー契約を締結した。このシューズの開発にも塩尻選手が携わっているという。
その塩尻選手は故障のためにしばらくレースから遠ざかっていたが、今年7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会の5000mでは13分39秒79の好タイムをマーク。健在ぶりをアピールするとともに、そのシューズ「GENTEN-EL」にも注目が集まった。
全体的にマイルド調整
厚底レーシングを思わせる柔らかさ
では、実際にGENTEN-ELはどんな性能なのか。足を入れて最初に印象的だったのはアッパーのフィット感だ。レーシングシューズの割にはそこまでタイトではないが、クセがなく足当たりは良好。多少幅が緩く感じても、靴紐を締めることで自分に合ったフィット感に調整できる。サイズ感も普段25.0~25.5cmを履く筆者が25.0cmでちょうどなので、他社と比較しても大きな違いはないだろう。
重量は27.0cmで約188g。従来型の超軽量薄底レーシングシューズほどではないが、200gを切っているため軽さは十分。それよりも驚いたのはクッション性だ。「薄底&カーボンプレート」というイメージからカチカチに硬いソールを想像していたが、実際には反発とクッション性がバランスよく調整され、走行時にも柔らかさを感じる接地感となっている。
トラックでスピードを上げてみても、反発はそこまで強烈ではなく、クッションと反発のバランスは全体的にマイルドだ。もちろん、薄底ではあるためクッション性自体は厚底レーシングシューズほどではないが、ソールの中に何か『ワンクッション』が挟まったような感覚があり、脚へのダメージは緩和される印象を受ける。

ソールは薄いが、その中でクッション性も感じさせる仕上がり。世界陸連が新設したトラックレースでの「25mm規定」もクリアしている
また、アウトソールのGRAPHENE RUBBERのグリップ力も強力で、特にロードでは路面に食いつくような感覚が味わえる。マイルドな接地感とこのグリップ力により、ロードで使用しても安心感のあるシューズだ。
そして特筆すべきは、このGENTEN-ELが世界陸連のシューズ規定(ソールの厚さ上限25mm)をクリアしており、800m以上のトラックレースでも使用できること。厚底レーシングシューズを思わせる柔らかさを持っていることからも、ルールの変更で「トラックでは厚底が使えないのか……」と落胆しているアスリートこそ、一度はこの靴を試す価値がありそうだ。
個人的にはもう少し前足部のクッションを減らしてドロップ(踵と前足部の高低差)をつけたほうが重心移動がさらにスムーズになる気もするが、ドロップがないほうが走りやすいというランナーもいるため、ここは好みによるだろう。
クッション性のある薄底レーシングシューズを探しているランナーにとっては、このGENTEN-ELが『救いの一手』になるかもしれない。
文/山本慎一郎
<関連記事>
【長距離】塩尻和也が手術を経て完全復活へ
<関連リンク>
・デサント「GENTEN」特設サイト
【シューズレポ】 サブスリー編集者が語る!! デサント「GENTEN-EL」
中学から陸上競技に取り組み、今も市民ランナーとして走り続けている月陸編集者(マラソンの自己ベストは2時間43分)が、注目のシューズをトライアル! 今回はデサントの「GENTEN-EL」(税別16,000円)を紹介する。
デサントが開発したカーボンプレートを搭載した薄底レーシングシューズ「GENTEN-EL」。この夏には新色の「レッド」が発売されている。なお、ELは「エリート」の略称
カーボンプレート&グラフェンのハイテク仕様
スポーツ界では主にウェアの製造・販売で実績があるデサントが、2019年冬からランニングシューズ部門に本格参入。近年ブームを巻き起こしている厚底ではなく、「日本人の足・走りに合うシューズ」をコンセプトに、薄底レーシングモデルをメインとした「GENTEN(原点)」シリーズを展開している。 なかでも注目はエリートレーシングモデルである「GENTEN-EL」だろう。その最大の特徴は薄底ながらカーボンプレートを搭載していることだ。地面に接するアウトソールとミッドソールの間に配置され、地面からの反発がプレートに伝わりやすい構造になっている。 さらに、アウトソールには鉄の200倍の強度を持つという結合炭素原子素材「グラフェン」を配合した「GRAPHENE RUBBER(グラフェンラバー)」を採用。単なる従来型の薄底レーシングモデルではなく、最新技術をふんだんに盛り込んだところにデサントの本気度を感じられる一足となっている。
アウトソールには鉄の200倍の強度を持つという結合炭素原子素材「グラフェン」を配合した「GRAPHENE RUBBER(グラフェンラバー)」を採用。地面に食いつくようなグリップ力を発揮する
また、デサントジャパンは昨年、3000m障害で2016年リオ五輪に出場している塩尻和也選手(富士通)とアドバイザリー契約を締結した。このシューズの開発にも塩尻選手が携わっているという。
その塩尻選手は故障のためにしばらくレースから遠ざかっていたが、今年7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ千歳大会の5000mでは13分39秒79の好タイムをマーク。健在ぶりをアピールするとともに、そのシューズ「GENTEN-EL」にも注目が集まった。
全体的にマイルド調整 厚底レーシングを思わせる柔らかさ
では、実際にGENTEN-ELはどんな性能なのか。足を入れて最初に印象的だったのはアッパーのフィット感だ。レーシングシューズの割にはそこまでタイトではないが、クセがなく足当たりは良好。多少幅が緩く感じても、靴紐を締めることで自分に合ったフィット感に調整できる。サイズ感も普段25.0~25.5cmを履く筆者が25.0cmでちょうどなので、他社と比較しても大きな違いはないだろう。 重量は27.0cmで約188g。従来型の超軽量薄底レーシングシューズほどではないが、200gを切っているため軽さは十分。それよりも驚いたのはクッション性だ。「薄底&カーボンプレート」というイメージからカチカチに硬いソールを想像していたが、実際には反発とクッション性がバランスよく調整され、走行時にも柔らかさを感じる接地感となっている。 トラックでスピードを上げてみても、反発はそこまで強烈ではなく、クッションと反発のバランスは全体的にマイルドだ。もちろん、薄底ではあるためクッション性自体は厚底レーシングシューズほどではないが、ソールの中に何か『ワンクッション』が挟まったような感覚があり、脚へのダメージは緩和される印象を受ける。
ソールは薄いが、その中でクッション性も感じさせる仕上がり。世界陸連が新設したトラックレースでの「25mm規定」もクリアしている
また、アウトソールのGRAPHENE RUBBERのグリップ力も強力で、特にロードでは路面に食いつくような感覚が味わえる。マイルドな接地感とこのグリップ力により、ロードで使用しても安心感のあるシューズだ。
そして特筆すべきは、このGENTEN-ELが世界陸連のシューズ規定(ソールの厚さ上限25mm)をクリアしており、800m以上のトラックレースでも使用できること。厚底レーシングシューズを思わせる柔らかさを持っていることからも、ルールの変更で「トラックでは厚底が使えないのか……」と落胆しているアスリートこそ、一度はこの靴を試す価値がありそうだ。
個人的にはもう少し前足部のクッションを減らしてドロップ(踵と前足部の高低差)をつけたほうが重心移動がさらにスムーズになる気もするが、ドロップがないほうが走りやすいというランナーもいるため、ここは好みによるだろう。
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