HOME 国内、世界陸上、日本代表
サニブラウン「ステップアップした経験できた」世界陸上100m2大会連続入賞からパリ五輪、東京世界陸上へ決意新たに
サニブラウン「ステップアップした経験できた」世界陸上100m2大会連続入賞からパリ五輪、東京世界陸上へ決意新たに

23年ブダペスト世界選手権男子100mで6位に入賞したサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)

サニブラウン ブダペスト世界選手権男子100m決勝ファイナルの激走をプレイバック!

8月27日まで開催されたブダペスト世界選手権の男子100mで6位入賞を果たしたサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が、拠点とする米国への乗り継ぎのため一時帰国。メディアの取材に応じた。 100mでは準決勝で自己タイの9秒97をマークし、2大会連続のファイナル進出という偉業を達成。4×100mリレーではアンカーとして予選から出場して5位入賞を牽引した。それでも、サニブラウンにとって「全然満足していない結果」ではある。ただ、確かな成果もあった。 「去年も100mで決勝に行ったけど、悔しい結果。でも、今年はステップアップしたなという経験はできました。今後に向けていい形でつなげられるような世界陸上だったかなと思います」 初めてファイナルの舞台に立った昨年のオレゴン世界選手権は、「決勝に行くだけでいっぱいいっぱい。(決勝は)本当に満身創痍で走っていました」。だが、ブダペストは違う。 「予選も準決勝も、余裕を持って入れました。気持ちの余裕があるぶん、身体の負担は少なかったと思う。去年よりもコンディションもメンタルも、しっかり成長してそこ(決勝)に向けて走れるようななったのかな。決勝の内容は、タイムはあまり変わっていないけど、すべてを通して成長していると感じました」 200mで予選敗退だった一昨年の東京五輪は腰のヘルニアを患うなど、万全とはほど遠い状態だった。そこから、イチから身体を作り直し、その過程にあったオレゴン世界選手権で100m7位入賞。今年はケガなく冬季練習をこなし、「徐々に身体が戻ってきていると実感しています」という段階に進んだ。 その中で、今回の準決勝は「満足のいく走りができていた部分があります」。とはいえ、「コーチからは直すところがまだまだあるよ、と言われました」とも続ける。 メダルラインとされる9秒8台に向けては、「レースパターンを練習通り、いつもやっている通りに出せれば普通に出るタイム」。だが、「それを決勝の舞台でしっかりと出せる強さを備えないといけない」。準決勝では「中間の40m~60mでほとんど何もしてない部分があった」という課題を指摘されたという。 「決勝という舞台で普段の練習でやっている動き、自分の描いているレースパターンをしっかり出すということ。そこにプラスして、パフォーマンスを100%以上出してきている選手が目立った大会。そういう部分は、まだまだやらないといけない部分だと感じました」 理想の走り、目指す結果に向けては、まだまだ道半ば。今季はまた海外レースを転戦する予定で、ブダペストで得た感覚に、さらに磨きをかける。来年のパリ五輪、再来年の東京世界選手権に向けて、「一つひとつ取り組んでいって、一歩一歩前進していきたい」とサニブラウンは言葉に力を込めた。 特に、地元・東京での開催を控える25年の世界選手権には、強い思いがにじむ。閉会式では、ブダペストから東京への引き続ぎ式に出席し、ハンガリー陸連の会長から世界陸連オフィシャル・フラッグを受け取った際には「次はあなたたちの街の番だよ」と言われたという。「次は東京なんだ、と鳥肌が立ちました」とサニブラウンは振り返る。 連日満員だったブダペストの歓声、雰囲気を身体で味わったばかり。「選手としてはものすごくうれしいことです」。その景色を、国立競技場で再現することもサニブラウンの目指すものの一つだ。 「東京五輪は無観客。自国開催とはいえ、ものすごく寂しかった。世界陸上で、国立を満員に埋めて、その中で走ることは自分の目標であり、夢になります」 昨年も開催した子供たち向けのイベントなどを、今オフも検討している。サポートしてくれる人への恩返しをし、陸上人気向上への機運を作り、そして子供たちに夢を与える存在になる。サニブラウンはプロアスリートとして、たくさんのやるべきことと向き合い、一つひとつ実現させていく。

サニブラウン ブダペスト世界選手権男子100m決勝ファイナルの激走をプレイバック!

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.19

世界陸上銅の勝木隼人がエントリー 女子は前回Vの谷純花ら/元旦競歩

元旦競歩の主なエントリー選手 男子20km 勝木隼人(自衛隊体育学校) 萬壽春輝(自衛隊体育学校) 中島佑之(山梨学大) 赤澤晃成(山梨学大) 下池将多郎(順大) 長谷川智里(新庄地区陸協) 牧野海音和(セントポールクラ […]

NEWS 箱根駅伝Stories/東海大のスピードスター・兵藤ジュダ リベンジの1区で「やっぱり区間賞がほしい」

2025.12.19

箱根駅伝Stories/東海大のスピードスター・兵藤ジュダ リベンジの1区で「やっぱり区間賞がほしい」

「ダブルエース」として牽引 東海大では、2年時に学生三大駅伝デビュー。全日本では2区9位、箱根駅伝では1区5位と好走した。 「初めての箱根駅伝は独特の雰囲気で、こんなレースは他では味わえないと感じました。走ったことで、競 […]

NEWS 箱根駅伝Stories/前回の雪辱期する中央学大・市川大世 「区間5位以内を目指して積極的な走りを」

2025.12.19

箱根駅伝Stories/前回の雪辱期する中央学大・市川大世 「区間5位以内を目指して積極的な走りを」

前回の悔しさ糧に自己ベスト連発 チーム内で存在感を高めたのは、2年目の駅伝シーズンに入ってからだった。箱根予選会でチーム4番手を占めると、11月にはそれまで30分台だった10000mで自己記録を一気に28分51秒49まで […]

NEWS 箱根駅伝Stories/過去最高順位を見据える城西大 強力4年生軸に「アッと驚くような試合がしたい」

2025.12.19

箱根駅伝Stories/過去最高順位を見据える城西大 強力4年生軸に「アッと驚くような試合がしたい」

苦しい時期を乗り越えて 学生三大駅伝で、今季のように出雲と全日本の上位3校がすべて異なるのは、1989年に出雲が始まって以来初めてだ。「どこかの大学が抜きん出ていることはありません。強豪校に勝てる大きなチャンスだと考えて […]

NEWS 予選会と5000m平均はともに仙台育英トップ 2番手は学法石川 鳥取城北は安定感/全国高校駅伝・データ編男子

2025.12.19

予選会と5000m平均はともに仙台育英トップ 2番手は学法石川 鳥取城北は安定感/全国高校駅伝・データ編男子

男子予選タイム&5000m平均ランキングをチェック! ■予選タイムTOP20 仙台育英(宮城)  2.01.45 宮城① 学法石川(福島)  2.02.58 福島① 西脇工(兵庫)   2.03.25 兵庫① 鳥取城北( […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top