◇ブダペスト世界陸上(8月19日~27日/ハンガリー・ブダペスト)
ブダペスト世界陸上7、8日目にかけて行われた男子十種競技に丸山優真(住友電工)が出場。今年6月の日本選手権で出した日本歴代6位の自己記録7816点を28点更新する7844点で15位だった。
「楽しかったです!」。2日間、朝から晩まで暑さの中で10種目を終えた丸山は、笑顔で取材エリアに戻ってきた。「死ぬ気で」走った最終種目の1500mは4分32秒01の自己新。世界の『キング』たちに食らいついた。
初日を終えて3936点の17位。2日目の最初となる110mハードルは「13秒を出したかった」が14秒18(+0.1)のシーズンベストタイ。棒高跳でも自己記録を20cm下回る4m60にとどまった。
そうした細かなミスがありながらも、シーズンベストをいくつもそろえて総合得点で自己新。それでも「入賞ラインが8500点。レベルが高すぎて……」。アジア選手権を制してエリアチャンピオンとして臨んだものの、世界の壁を痛感した。
それすらも、丸山にとっては楽しくて仕方がなかった。高校時代から大器と期待され、八種競技で高校記録を樹立するなど結果も残してきた。しかし、日大時代に胸椎分離症で一時は走ることもできず、競技に復帰できるかどうかも見えない時期もあった。
そうした逆境を乗り越えてつかんだ日本代表。「十種競技へのリスペクトをすごく感じて、控え室には個室みたいに一人ひとりベッドがあって、食事もそろっている。混成選手だけの練習スペースやシャワールーム、トレイもある。さすがヨーロッパだなと感じました」。1500mの後は恒例となっている選手全員での写真撮影と『ウイニングラン』。十種競技において、戦い抜いたすべてのキングが勝者なのだ。
「この観客の盛り上がりを東京の世界選手権で実現できるか。そのためには僕がもっと活躍してメディアに取り上げてもえらえるように」
1種目、1種目。自分と戦い、相手と戦う。走る、跳ぶ、投げる。陸上競技のすべてがつまった十種競技。「高校時代から(甲羽)ウィルソン(貴士)たちと勝つか負けるかやり合っていたのが本当に楽しかった。久々な感覚というか、昔の陸上競技大好きな丸山を思い出したんです。それがめちゃくちゃ良かった」。
だからこそ、もう一度ぶつかりたいと思う。「やっぱりもう一回世界に出たい。まだまだこれからだなって。8000点、そろそろ行かないと」。秋にはアジア大会が控えている丸山。「アジアではもう負けないです」。原点回帰した日本のキングが、再び世界に立つために歩き始めた。
男子十種競技日本歴代10傑
8308 右代 啓祐(スズキ浜松AC) 2014. 6. 1 8180 中村 明彦(スズキ浜松AC) 2016. 6.12 8008 奥田 啓祐(第一学院高教) 2022.10. 9 7995 金子 宗弘(ミズノ) 1993. 5.14 7871 松田 克彦(富士通) 1993. 6.12 7844 丸山 優真(住友電工) 2023. 8.26 7803 田中 宏昌(モンテローザ) 2006. 6.25 7788 池田 大介(WIND UP AC) 2009. 8.20 7764 田上 駿(順大M2) 2021. 5. 3 7725 音部 拓仁(富士通) 2015. 7. 5
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