◇第25回アジア選手権(7月12日~16日/タイ・バンコク)1日目
アジア選手権の1日目が行われ、男子10000mは田澤廉(トヨタ自動車)が29分18秒46で金メダルに輝いた。
右手人差し指を掲げてフィニッシュした。だが、田澤に笑顔はない。世界の舞台が遠ざかったことを悟っていたからだ。
ワールドランキングの順位ポイントが高い今大会で、2大会連続の世界陸上を確実なものにするはずだった。序盤から今江勇人(GMOインターネットグループ)とともに先頭を引っ張り、中盤で独走態勢を築く。レースプランは完璧だった。
ただ、「5000mから差し込みがきた」ことと、東南アジア特有の蒸し暑さに記録を阻まれた。ペースを維持することができず、29分台でのフィニッシュ。
この種目のブダペスト世界選手権選考レースだった5月4日のゴールデンゲームズinのべおかでも終盤ペースを上げられずに2位に敗れたが、「あの時よりも何倍も厳しかった」。取材に応じた後は医務室に運ばれるほどのダメージの中でも、「あきらめたら終わりなので」と最後まで走り切り、アジアを制したのはまさに意地だった。
タイムが伸び悩んだことで、ワールドランキングが上がらない見込み。可能性がゼロになったわけではないが、「世界陸上は厳しくなった」と田澤はそれを受け止め、「最後まで挑戦できた」ことに胸を張る。そして、「今回は本当にみんなの応援の大きさを強く感じた」と感謝の言葉を続けた。
「出られなくても、ブダペストには行くつもり」だと言う。21年の東京五輪ではワールドランキングで出場の可能性があったが、標準記録突破者でターゲットナンバーが埋まって出場が叶わなかった。その悔しさを胸に、21年12月に日本歴代2位の27分23秒44を叩き出し、「標準突破者」として世界の舞台に立った。
もう1度、世界に挑戦するために「東京五輪に出られなかったのと同じで、悔しさを感じたい」。田澤のパリ五輪への道が、ここから始まった。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.11.24
女子はレムンゴルが2連覇達成 男子はサミュエルがV/全米学生クロカン
2025.11.24
七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福
2025.11.24
バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー
-
2025.11.24
-
2025.11.20
-
2025.11.20
-
2025.11.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.11.24
女子はレムンゴルが2連覇達成 男子はサミュエルがV/全米学生クロカン
11月22日、米国ミズーリ州コロンビアで全米学生クロスカントリー選手権が行われ、女子(6km)はD.レムンゴル(アラバマ大/ケニア)が18分25秒4で連覇を飾った。 レムンゴルはケニア出身の23歳。23年秋にアラバマ大に […]
2025.11.24
七種競技女王・ホール NFLスター選手と婚約発表 マクローリン・レヴロンらも祝福
女子七種競技東京世界選手権金メダリストのA.ホール(米国)が婚約を自身のSNSで発表した。お相手はNFL選手でニューヨーク・ジャイアンツ所属のダリアス・スレイトンさん。「初めて出会った場所で、永遠を誓う」というテキストと […]
2025.11.24
バットクレッティ 今季初V 男子はキプサングがツアー3勝目/WAクロカンツアー
11月23日、世界陸連(WA)クロスカントリーツアー・ゴールド第6戦のアタプエルカ国際クロスがスペイン・アタプエルカで行われ、女子(6.821km)はパリ五輪・東京世界選手権10000m銀メダリストのN.バットクレッティ […]
2025.11.24
円盤投・湯上剛輝が2大会ぶり世界一「やっと取れた」デフリンピック新の58m93
聴覚障害者のスポーツ国際大会、デフリンピックの陸上競技が行われ、男子円盤投の湯上剛輝(トヨタ自動車)が金メダルを獲得した。 64m48の日本記録を持ち、今年の東京世界選手権にも出場した湯上。「理想の展開としては1回目にし […]
2025.11.24
3区で五島莉乃と廣中璃梨佳が熱走!東京世界陸上はじめ「日本代表」たちが力走/クイーンズ駅伝
◇第45回全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝:11月23日/宮城・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台、6区間42.195km) 女子駅伝日本一を懸けた全日本実業団対抗女子駅伝が行われ、「日本代表」 […]
Latest Issue
最新号
2025年12月号 (11月14日発売)
EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選
Follow-up Tokyo 2025