HOME 駅伝、大学

2023.06.18

東農大のスーパールーキー前田和摩が28分03秒51で日本人トップ!「やってきたことが100%出せて、100点満点です」/全日本大学駅伝関東選考会
東農大のスーパールーキー前田和摩が28分03秒51で日本人トップ!「やってきたことが100%出せて、100点満点です」/全日本大学駅伝関東選考会

留学生を相手に1歩も引かないレースを見せた前田和摩

◇全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会(6月17日/神奈川・相模原ギオンスタジアム)

第55回全日本大学駅伝の関東学連推薦校選考会が行われ、東農大のルーキー・前田和摩が衝撃のレースを披露した。

エースたちによる伊勢路をめぐる戦いは熾烈を極めていた。3組終了時で5位中央学大と12位東農大は1分06秒差。8校がボーダー付近でひしめきあっていたが、前田は“大逆転”を信じていた。

9人のケニア人留学生が出場した最終組は5000mを14分07秒で通過。中間点を過ぎてペースアップするが、前田に迷いはなかった。4人の留学生の背後にピタリとついて離れない。6000mまでの1000mは2分44秒まで引きあがり、中央学大・吉田礼志(3年)、城西大・山本唯翔(4年)、東農大・並木寧音(4年)といった各校のエースがトップ集団から脱落した。

前田の快進撃は止まらない。残り1周を前にトップを奪って、スパートを放つ。スタジアムに大歓声が沸き起こった。東京国際大のアモス・ベット(1年)、山梨学大のジェームス・ムトゥク(2年)に逆転を許したとはいえ、日本人トップの3位でゴールに飛び込んだ。

「日本人1位の選手を見ながら走って、チャンスがあればどんどん前に行くレースをしました。集団が分かれたときに、思い切って前の留学生の集団についた判断が今日の結果を生んだのかなと思います」と前田は充実した表情で汗を拭った。

昨年のインターハイ5000mで日本人トップに輝いたスーパールーキーは関東インカレの2部5000mで大学デビュー。13分57秒25で4位(日本人2位)に食い込んだが、「一度も前に出ず、ラストスパートで負けて終わってしまった」と後悔が残った。大学2戦目の今回は、「潰れてもいいから前に行って勝負しようと思っていた」とラスト1周ではトップをひた走った。

広告の下にコンテンツが続きます

7人のケニア人留学生を抑える衝撃の快走を見せた前田。関東学連の選考会が現在の形式となった1998年以降、1年生が日本人トップタイムを出したのは報徳学園高の先輩・竹澤健介(早大/05年)以来2人目だった。

暑さが残るなか、初めての10000mで刻んだタイムも衝撃的だった。28分03秒51はU20日本歴代2位。潰滝大記(中央学大)が2015年にマークした全日本選考会の日本人最高タイム(28分31秒84)を大幅に塗り替えた。

「どれくらいで走れるか分からなかったんですけど、28分40秒切りをひとつの目標にしていました。まさかここまで出てるとは思っていなかった。今までやってきたことがちゃんと100%出せたので、自分のなかで100点満点です」

スーパールーキーの快走で東農大は5位まで浮上。14年ぶりとなる全日本大学駅伝の出場を決めた。

「夏合宿でまたレベルを一段上げられると思うので、とにかく今はケガなく練習を継続していきたいなと思っています」と前田。次は〝10月決戦〟でチームを10年ぶり70回目の箱根路に導くつもりだ。その先には〝世界〟が待っている。

文/酒井政人

◇全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会(6月17日/神奈川・相模原ギオンスタジアム) 第55回全日本大学駅伝の関東学連推薦校選考会が行われ、東農大のルーキー・前田和摩が衝撃のレースを披露した。 エースたちによる伊勢路をめぐる戦いは熾烈を極めていた。3組終了時で5位中央学大と12位東農大は1分06秒差。8校がボーダー付近でひしめきあっていたが、前田は“大逆転”を信じていた。 9人のケニア人留学生が出場した最終組は5000mを14分07秒で通過。中間点を過ぎてペースアップするが、前田に迷いはなかった。4人の留学生の背後にピタリとついて離れない。6000mまでの1000mは2分44秒まで引きあがり、中央学大・吉田礼志(3年)、城西大・山本唯翔(4年)、東農大・並木寧音(4年)といった各校のエースがトップ集団から脱落した。 前田の快進撃は止まらない。残り1周を前にトップを奪って、スパートを放つ。スタジアムに大歓声が沸き起こった。東京国際大のアモス・ベット(1年)、山梨学大のジェームス・ムトゥク(2年)に逆転を許したとはいえ、日本人トップの3位でゴールに飛び込んだ。 「日本人1位の選手を見ながら走って、チャンスがあればどんどん前に行くレースをしました。集団が分かれたときに、思い切って前の留学生の集団についた判断が今日の結果を生んだのかなと思います」と前田は充実した表情で汗を拭った。 昨年のインターハイ5000mで日本人トップに輝いたスーパールーキーは関東インカレの2部5000mで大学デビュー。13分57秒25で4位(日本人2位)に食い込んだが、「一度も前に出ず、ラストスパートで負けて終わってしまった」と後悔が残った。大学2戦目の今回は、「潰れてもいいから前に行って勝負しようと思っていた」とラスト1周ではトップをひた走った。 7人のケニア人留学生を抑える衝撃の快走を見せた前田。関東学連の選考会が現在の形式となった1998年以降、1年生が日本人トップタイムを出したのは報徳学園高の先輩・竹澤健介(早大/05年)以来2人目だった。 暑さが残るなか、初めての10000mで刻んだタイムも衝撃的だった。28分03秒51はU20日本歴代2位。潰滝大記(中央学大)が2015年にマークした全日本選考会の日本人最高タイム(28分31秒84)を大幅に塗り替えた。 「どれくらいで走れるか分からなかったんですけど、28分40秒切りをひとつの目標にしていました。まさかここまで出てるとは思っていなかった。今までやってきたことがちゃんと100%出せたので、自分のなかで100点満点です」 スーパールーキーの快走で東農大は5位まで浮上。14年ぶりとなる全日本大学駅伝の出場を決めた。 「夏合宿でまたレベルを一段上げられると思うので、とにかく今はケガなく練習を継続していきたいなと思っています」と前田。次は〝10月決戦〟でチームを10年ぶり70回目の箱根路に導くつもりだ。その先には〝世界〟が待っている。 文/酒井政人

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.12.11

やり投・北口榛花2025年は「みんなで一緒にもう一度最高の感動を味わいたい!」タニタ健康大賞受賞でコンディション作りも明かす

健康総合企業の株式会社タニタが12月11日、日本人の健康づくりに貢献した個人・団体を顕彰する「タニタ健康大賞」を発表し、女子やり投のパリ五輪金メダリスト・北口榛花(JAL)が選ばれ、同日に贈賞式に出席した。 「競技中でも […]

NEWS 26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定

2024.12.11

26年愛知アジア大会マラソン代表選考方針を発表!MGCシリーズ25-26覇者が内定

日本陸連は12月11日、2026年に開催される愛知アジア大会のマラソン代表選考方針を発表した。 「国際競技会に通用する『勝負強さ』と『スピード』を有するとともに本大会において最大限に持てる力を発揮できる競技者を選出し、メ […]

NEWS 27年北京世界陸上マラソン代表選考方針が発表!MGCファストパス突破者、MGCシリーズ26-27覇者が内定

2024.12.11

27年北京世界陸上マラソン代表選考方針が発表!MGCファストパス突破者、MGCシリーズ26-27覇者が内定

日本陸連は12月11日、2027年北京世界選手権のマラソン代表選考方針を発表し、編成方針は「2027年度最重要国際競技会と位置づけ、メダル獲得および入賞を目指す競技者で選手団を編成する」とした。 そのうえで、代表内定基準 […]

NEWS 「速い選手」「強い選手」「勢いのある選手」の選考を!ロス五輪に向けマラソン代表選考方針示す

2024.12.11

「速い選手」「強い選手」「勢いのある選手」の選考を!ロス五輪に向けマラソン代表選考方針示す

日本陸連は12月11日、2028年ロサンゼルス五輪のマラソン代表選考の選考方針を明らかにした。 選考競技会としては、2021年東京、24年パリ五輪に向けてと同様に、代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MG […]

NEWS ニューイヤー駅伝のエントリー発表! トヨタ自動車は太田智樹、西山雄介 Hondaはパリ代表・小山直城、青木涼真ら 東日本VのGMOは吉田祐也が登録

2024.12.11

ニューイヤー駅伝のエントリー発表! トヨタ自動車は太田智樹、西山雄介 Hondaはパリ代表・小山直城、青木涼真ら 東日本VのGMOは吉田祐也が登録

12月11日、日本実業団陸上競技連合は第69回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝/2025年1月1日)のエントリー選手を発表した。 前回4回目の優勝を飾ったトヨタ自動車はパリ五輪10000m代表の太田智樹や福岡国際マ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top