HOME 特集

2023.05.31

今年もNHKで解説!福島千里さんが語る日本選手権の見どころ「多くの人に『日本代表』のチャンスがある!」
今年もNHKで解説!福島千里さんが語る日本選手権の見どころ「多くの人に『日本代表』のチャンスがある!」

日本選手権でNHKの解説を務める福島千里さん

第107回日本選手権が明日6月1日から4日までの4日間、大阪市のヤンマースタジアム長居を舞台に行われる。ブダペスト世界選手権をはじめ、アジア選手権やアジア大会の日本代表選考も兼ねており、大熱戦の予感が漂う。

そこで、今季前半の大一番を盛り上げるべく、NHKの解説を務める女子100m、200m日本記録保持者の福島千里さんに、大会の見所や、自身の日本選手権への思いなどを聞く。その後編は今回の日本選手権の注目ポイント、そして解説者としての意気込みなどを聞いた。

前編はこちら

女子短距離の後輩たちへ「自分のレースをして、それを再現して、進化させることが大切」

まずは、1人でも多くブダペスト世界選手権の代表内定が出ることを楽しみにしています。また、今回は世界選手権だけでなく、アジア選手権、アジア大会と、多くの「日本代表」選考がかかっています。多くの人が日本代表を目指して挑むと思うので、すごく盛り上がればいいな、と。そして、その盛り上がりが記録に反映されればいいなと思います。世界には行けないかもしれなくても、アジアなら行けるかもしれない。それをモチベーションに、チャンスだと思ってがんばってほしいです。

女子短距離は、ここまで記録が出そうで出ないという雰囲気があるので、それが日本選手権で弾けて好記録が出ることを期待しています。兒玉芽生選手(ミズノ)の欠場は残念ですが、連覇が懸かる君嶋愛梨沙選手(土木管理総合)、19年優勝の御家瀬緑選手(住友電工)、20年の200m女王・鶴田玲美選手(南九州ファミリマート)らの台頭で、100m、200mともに全体的な盛り上がりを感じます。

レースは全員が自分の力を発揮して、そのうえで誰が勝つか、という展開になってほしいですね。その中で勝ち切ることは、すごく価値のあることだと思いますし、勝った選手はそれを再現していってほしいです。自分のレースをしたうえで、それを再現させて、進化させていくことが大事だと思います。

広告の下にコンテンツが続きます

ただ、それでももう少し記録が出てもいいのでは、とも感じています。ということは、何かが足りないのではないか。その答えを日本選手権で探してほしいですし、できれば答えを見つけてほしいと思います。

女子短距離の君嶋愛梨沙(土木管理総合/23年セイコーゴールデングランプリ)

第107回日本選手権が明日6月1日から4日までの4日間、大阪市のヤンマースタジアム長居を舞台に行われる。ブダペスト世界選手権をはじめ、アジア選手権やアジア大会の日本代表選考も兼ねており、大熱戦の予感が漂う。 そこで、今季前半の大一番を盛り上げるべく、NHKの解説を務める女子100m、200m日本記録保持者の福島千里さんに、大会の見所や、自身の日本選手権への思いなどを聞く。その後編は今回の日本選手権の注目ポイント、そして解説者としての意気込みなどを聞いた。 前編はこちら

女子短距離の後輩たちへ「自分のレースをして、それを再現して、進化させることが大切」

まずは、1人でも多くブダペスト世界選手権の代表内定が出ることを楽しみにしています。また、今回は世界選手権だけでなく、アジア選手権、アジア大会と、多くの「日本代表」選考がかかっています。多くの人が日本代表を目指して挑むと思うので、すごく盛り上がればいいな、と。そして、その盛り上がりが記録に反映されればいいなと思います。世界には行けないかもしれなくても、アジアなら行けるかもしれない。それをモチベーションに、チャンスだと思ってがんばってほしいです。 女子短距離は、ここまで記録が出そうで出ないという雰囲気があるので、それが日本選手権で弾けて好記録が出ることを期待しています。兒玉芽生選手(ミズノ)の欠場は残念ですが、連覇が懸かる君嶋愛梨沙選手(土木管理総合)、19年優勝の御家瀬緑選手(住友電工)、20年の200m女王・鶴田玲美選手(南九州ファミリマート)らの台頭で、100m、200mともに全体的な盛り上がりを感じます。 レースは全員が自分の力を発揮して、そのうえで誰が勝つか、という展開になってほしいですね。その中で勝ち切ることは、すごく価値のあることだと思いますし、勝った選手はそれを再現していってほしいです。自分のレースをしたうえで、それを再現させて、進化させていくことが大事だと思います。 ただ、それでももう少し記録が出てもいいのでは、とも感じています。ということは、何かが足りないのではないか。その答えを日本選手権で探してほしいですし、できれば答えを見つけてほしいと思います。 [caption id="attachment_103402" align="alignnone" width="800"] 女子短距離の君嶋愛梨沙(土木管理総合/23年セイコーゴールデングランプリ)[/caption]

「選手の気持ちを代弁できるような解説を!」

2022年1月末でスパイクを脱いだ福島さんは、所属していたセイコーの「セイコースマイルアンバサダー」として陸上を広める活動を続け、一般社団法人CHARITY Xの理事としてチャリティーサービス「CHARITY X」にも携わる。また、この春からは順大スポーツ科学部特任助教に着任。同大陸上部短距離コーチとして、学生たちの指導にもあたっている。自身の後を引き継ぐように切磋琢磨する女子短距離だけでなく、他の種目も含めて、「日本代表を目指す争いが盛り上がってほしい」と期待を寄せる。 [caption id="attachment_103401" align="alignnone" width="800"] 23年セイコーGGPで快走を見せた泉谷駿介(住友電工、左から2人目)[/caption] そのほかの注目は、男女のスプリントハードル。男子は、5月21日のセイコーゴールデングランプリで自身の日本記録にあと0.01秒の13秒07を出した泉谷駿介選手(住友電工)に、日本人初の「12秒台」突入を期待しています。 女子100mハードルは、元チームメイトの寺田明日香選手(ジャパンクリエイト)が一皮むけてきたかな、と感じています。日本選手権で誰かが止めないと、もう止められないんじゃないかな、という雰囲気がありますね。誰かが寺田選手を止めれば、12秒台が続出している全体が、さらに盛り上がるのではないでしょうか。 オレゴン世界選手権での活躍はまだ記憶に新しいので、男子100mで日本人初入賞となる7位に入ったサニブラウン・アブデル・ハキーム選手(タンブルウィードTC)、女子やり投で銅メダルを獲得した北口榛花選手(JAL)たちの強さにも注目です。圧倒的な強さを見せて勝つ姿も美しいと思います。もちろん、ニューチャンピオンの誕生も素晴らしいこと。強い選手は強く、新しい風は爽やかに吹いてほしいですね。 日本選手権を放映するNHKの解説を2年連続で務めさせていただきます。一緒に解説をする同じ北海道の先輩、高平慎士さん(富士通一般種目ブロック長)は冷静に、客観的な意見をズバッと言ってくださるでしょう。だから、私はその時の状況の選手たち気持ちを代弁できるような、選手の立場になって応援できるような解説をしたいと思っています。 SNSで自分の思いを伝えている選手もいれば、それを見せずに内に秘める選手もいます。有言実行している選手もカッコイイですし、表に見せない人の強さも魅力的。そういった選手たちの記録だけじゃない、結果だけじゃない背景、映像では見えない部分の気持ちを言葉にし、伝えていきたいですね。 ◎ふくしま・ちさと/1988年6月27日生まれ、北海道出身。糠内中→帯広南商高→北海道ハイテクAC→札幌陸協→セイコー。五輪には2008年北京、12年ロンドン、16年リオの3大会連続、世界選手権は09年ベルリン、11年テグ、13年モスクワ、15年北京の4大会連続で出場。10年アジア大会100m、200m2冠など女子スプリントを世界水準に引き上げた。自己ベストの100m11秒21(10年)、200m22秒88(16年)はともに日本記録。 構成/小川雅生

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

PR

2025.08.19

【東洋大学】20年連続シードの重みとプライド チームの歴史に新たな栄光を刻め!!

今年の正月も鉄紺のユニフォームが力強かった。激動の時代に継続中では最多となる「20年連続シード」を勝ち取ったのだ。しかし、5月の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会はわずか11秒余の差で次点に終わり、18年連続での伊勢路行 […]

NEWS 400mリストトップの金子斐音が48秒16の中学新V!! 16年ぶりに更新 2位の櫻田晃良も48秒49の好タイム/沖縄全中

2025.08.19

400mリストトップの金子斐音が48秒16の中学新V!! 16年ぶりに更新 2位の櫻田晃良も48秒49の好タイム/沖縄全中

◇沖縄全中(8月17日~20日/沖縄・沖縄県総合運動公園陸上競技場)3日目 第52回全日本中学校選手権(全中)の男子400mが行われ、金子斐音(牧野3富山)が48秒16の中学新記録を打ち立てて優勝した。 これまでの中学記 […]

NEWS 北口榛花がハイチュウ50周年CMに登場!なにわ男子と競演 23年から同社のサポート

2025.08.19

北口榛花がハイチュウ50周年CMに登場!なにわ男子と競演 23年から同社のサポート

森永製菓が夏キャンペーンのCMを公開し、世界中で愛されているチューイングソフトキャンディ「ハイチュウ」の50周年を記念したCM「世界中で」篇(夏キャンペーン)に、女子やり投の北口榛花(JAL)が登場した。 CMではなにわ […]

NEWS デュプランティスのスウェーデン、ワルホルムのノルウェーが福岡市で東京世界陸上事前合宿

2025.08.19

デュプランティスのスウェーデン、ワルホルムのノルウェーが福岡市で東京世界陸上事前合宿

福岡市は東京世界選手権において、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの3ヵ国の市内での事前合宿を受け入れたと発表した。 事前合宿は9月4日から17日まで。時差解消や日本の気候環境に適応するための調整などに充てる。スウェー […]

NEWS 15年ぶりの箱根総合優勝へ 早大駅伝主将・山口智規「夏合宿で底上げを」 妙高で合同取材会

2025.08.19

15年ぶりの箱根総合優勝へ 早大駅伝主将・山口智規「夏合宿で底上げを」 妙高で合同取材会

来年1月の箱根駅伝で15年ぶりの総合優勝を狙う早大が8月18、19日の2日間、選抜合宿地の新潟・妙高高原で合同取材会を開いた。 前半のトラックシーズンでは日本インカレで1500mと5000mの2冠に輝いた山口智規(4年) […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年9月号 (8月12日発売)

2025年9月号 (8月12日発売)

衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99

page top