◇2023日本学生個人選手権(2023年4月21~23日/神奈川・レモンガススタジアム平塚)
ワールドユニバーシティゲームズの代表選考会を兼ねた日本学生個人選手権の2日目が行われ、男子100mでは井上直紀(早大)が10秒19(+1.7)の自己新で優勝を飾った。
低温という悪コンディションにも関わらず、井上は予選からめざましい走りを披露した。これまでのベストは昨年9月の関東学生新人でマークした10秒39。エントリー選手の中ではトップ10にも入らないタイムだったが、予選で10秒33(+1.6)でトップ通過すると、準決勝では10秒30(+0.6)と立て続けに自己記録を更新した。
特に準決勝ではレース直前に脚が痙攣しかけてスタートを自重したとあって、「これで(10秒)30が出るんだ」と思うほど調子は良かった。
決勝でも30mまではライバルたちと横並びだったが、50mからリードを拡大。昨年の日本インカレ4位の中村彰太(東洋大)が最後まで食らいついたが、0.04秒差で抑えた。
「感覚的には10秒2台後半か10秒3ぐらいだったので、タイムを見てびっくりしました」
大会前のベストを0.2秒も更新するパフォーマンスに自身も驚きを隠せなかったが、「客観的に見れば、大幅な飛躍に見えますが、自分のなかではそんな感じはなく、冬季練習はできていたのでタイムは出るだろうと思っていました」と分析する。
早大の大前祐介監督が「元々キックの強い選手。この冬は身体作りをやってきました」というように、筋力強化に努め体重も半年で4kg増加。より短距離選手らしい身体つきとなり、加速局面でのスピードアップに新境地を見せている。「スタートを苦手としていましたが、今季からあえて4×100mリレーの1走を任せています。その相乗効果も出ているのでタイムは想定内でした」(大前監督)という。
群馬南中学時代から世代のトップで活躍していた井上は、18年全中とジュニア五輪100mの優勝者。当時から全国的な注目を集めた選手だが、その側には常に栁田大輝(現・東洋大)というライバルがいた。
同じ群馬県出身の栁田は全中100mで井上に次ぐ2位。しかし、高校2年時に栁田が10秒27をマークすると立場が逆転する。3年の福井インターハイでは10秒31で優勝した栁田に対し、井上も健闘したものの10秒45で2位。スポットライトは栁田を照らしていた。
さらにライバルは昨年の日本選手権で3位に入り、日本代表としてオレゴン世界選手権に出場。「気にするなと言われたこともありますが、彼の存在が僕の中から消えたことはありません。彼に勝たなければ世界はないと思っているので、早く同じ舞台で勝負できるようになりたい」と井上は話す。
今回の結果で栁田との100mの自己記録の差は0.04秒まで縮まった。それでも「僕はまだ1回出しただけ。まだまだ彼との差は感じています」と謙遜する。「大学4年の時に東京で世界選手権が行われるので、今はそこに出場することが目標です」と井上。まずは1歩1歩着実に歩を進めていくつもりだ。
レースでは10秒30の3位に稲毛碧、10秒33の4位に島田開伸と早大勢がトリプル入賞を果たした。
【動画】男子100mを制した井上直紀のレースや勝利インタビューをチェック!
ライブ配信は「あすリートチャンネル」の日本学生個人選手権特設ページ
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