2022.12.14
正月の学生駅伝に1920年の第1回大会から出場している古豪・明治大学。低迷期を経て、2012年以降は学生駅伝のトップ3に度々食い込んできた。しかし、近年は苦しんでいる。そのなかで明大は効率的に体幹強化を図ることができる〝新時代のトレーニングメソッド〟を導入。名門復活へ新たな一歩を踏み出した。
『ハイブリッドランニング』で走りが変わりつつある
10月中旬の予選会を2位で突破。11月の全日本大学駅伝は2区終了時で4位につけるなど、古豪・明大に躍進の予感が漂っている。新春の学生駅伝では3年ぶりのシード権獲得を目指しており、山本佑樹駅伝監督は静かな自信を口にしている。
「選手たちは走り方に対する意識が徐々に変わってきているんです。フォームも変わりましたよね。体幹への意識が高まり、コアが安定したことで、地面反力を得られるような走りが身につきつつあると感じています」
明大駅伝チームはEMS(筋電気刺激)トレーニング機器の「SIXPAD PowersuitCore Belt」(シックスパッド パワースーツコアベルト/以下、パワースーツ コアベルト)をトレーニングに導入。〝新時代のトレーニングメソッド〟を積極的に行なっている。
「学生は授業の関係もあって時間的な制限があり、より効率的で継続したトレーニングができないか模索していた際にパワースーツ コアベルトを活用した『ハイブリッドランニング』の話を聞いて、まさにこれだ、と思いました。パワースーツ コアベルトを取り入れるようになったのは長距離界に厚底シューズが浸透してきたことにあります。厚底シューズの特徴は地面反力をエネルギーリターンにすること。従来のシューズは着地の衝撃を緩衝するのがメインでしたが、今は推進力に変えることが求められています。それができないとスピードは出ないし、故障にもつながる。厚底シューズに対応できるフォーム、身体作りが必要な時代になっているんです」
厚底シューズの登場で近年はタイムが大幅に短縮している。一方で、走りに変化が生じ、ケガや故障も増加中。厚底シューズが長距離ランナーに及ぼす影響は大きい。そのためトレーニング内容も変わりつつあり、近年は専門のストレングストレーナーを雇うチームも少なくない。しかし、予算や練習時間は限られている。そこで明大駅伝チームが注目したのがパワースーツ コアベルトだった。
パワースーツ コアベルトは腹部に装着するだけで、腹筋・脇腹・背筋下部にアプローチ。明大の選手たちはパワースーツ コアベルトをつけた状態で体幹を鍛えながら走る『ハイブリッドランニング』を実践しているのだ。「トレーナーに指導してもらう時は、その場に留まって行うメニューが大半です。でも、ハイブリッドランニングは走りながら体幹部分を意識できる。速いペースのメニューは本能的に走るので、今はジョグの時を中心にパワースーツ コアベルトを活用しています。実際に走っている時にコアを意識できますし、ベルトをしていない時でも、その感覚が残っている。選手たちの走りが良くなっているので、長期的に活用していく予定です」と山本監督は話す。
〝新時代のトレーニング〟に選手たちも変化を実感
実際にハイブリッドランニングを導入して、選手たちも走りに変化を感じているようだ。
1、2年時は故障が多く伸び悩んだという駅伝主将の小澤大輝(4年)はハイブリッドランニングを取り入れてからは、「体幹が鍛えられて腰の位置が高くなり、バランスの良いフォームを意識することで故障で離脱することもなく、練習が継続できるようになりました」と従来との違いを口にした。
さらに、「授業などがあるため練習は限られた時間内でするしかありません。そのなかで体幹を鍛えながらランニングできるのは、すごく効率的で非常に助かっています」と話す。そして、正月決戦に向けて熱い言葉を吐いた。「10月の予選会はトップ通過を目指しての2位。シード権獲得を狙っていた全日本大学駅伝はあと一歩届かぬ9位でした。2レース続けて悔しさを感じています。新春の駅伝ではシード権を確実に獲得したいですね。崩れない走りができることが自分の持ち味ですけど、最後は飛び抜けた結果を残したい」
小澤とともに今季チームを引っ張ってきたエース格の富田峻平(4年)と児玉真輝(3年)もパワースーツ コアベルトを活用したハイブリッドランニングを積極的に取り入れている。
5月の関東インカレで1部5000mと10000mでダブル入賞、10月の予選会でチームトップを飾った富田は、「体幹強化は厚底シューズに対応するのに必要だと思うので、特にレース前はトランクカール、バックエクステンションなど体幹の補強を多く入れてきました」と言う。最近はパワースーツ コアベルトを活用しており、「最初に思ったのは予想以上に腹筋、背筋などに刺激があったことです。ちょっとびっくりしましたね。腹筋あたりに疲労感というか、刺激が入った感じがします。装着するだけで体幹や姿勢に意識が向けられることは本当に魅力的だと思います」と新たなギアの可能性を感じている。
関東インカレの1部10000mで4位、全日本大学駅伝は超高速レースとなった2区で区間4位と活躍した児玉は、「自分は上半身が硬いので、上半身をもっとうまく使えるようになれば速くなる、と短距離コーチから言われています。今季は専門のトレーナーに指導していただき、上半身の柔軟性を高めることに取り組んできました。また、厚底シューズに対応するために臀部とハムストリングスを強化すると同時に、走行時にしっかり使えるように意識してきました。今では、パワースーツ コアベルトを活用して、体幹を鍛えて、厚底シューズ対策をしています」と話している。
パワースーツ コアベルトで〝走り〟が変わりつつある明大の選手たち。正月決戦に向けてどんな戦いを見せるのか。「目標のシード権獲得に向けては、まずはこの数年うまくいっていない往路が大切になってきます。富田、児玉、小澤、櫛田佳希(4年)を中心に調子のいい選手を並べるのがベストかなと思っています。一方、復路は3年連続で10位以内を確保していますし、総合力では負けない自信がある。とにかく自分たちの力を発揮して各区間10位以内でつないでいくのがポイントです。絶対的なエースはいないので、チーム全体で戦いたい」(山本監督)
古豪・明大がパワースーツ コアベルトを活用したハイブリッドランニングを導入し、再び学生駅伝の主役になる日が近づいている。
文/酒井政人、撮影/船越陽一郎
『ハイブリッドランニング』でバランスの良いフォームに!! 日本ランニング協会が〝新時代のトレーニング〟にSIXPADを選択
『ハイブリッドランニング』で走りが変わりつつある
10月中旬の予選会を2位で突破。11月の全日本大学駅伝は2区終了時で4位につけるなど、古豪・明大に躍進の予感が漂っている。新春の学生駅伝では3年ぶりのシード権獲得を目指しており、山本佑樹駅伝監督は静かな自信を口にしている。 「選手たちは走り方に対する意識が徐々に変わってきているんです。フォームも変わりましたよね。体幹への意識が高まり、コアが安定したことで、地面反力を得られるような走りが身につきつつあると感じています」 明大駅伝チームはEMS(筋電気刺激)トレーニング機器の「SIXPAD PowersuitCore Belt」(シックスパッド パワースーツコアベルト/以下、パワースーツ コアベルト)をトレーニングに導入。〝新時代のトレーニングメソッド〟を積極的に行なっている。 「学生は授業の関係もあって時間的な制限があり、より効率的で継続したトレーニングができないか模索していた際にパワースーツ コアベルトを活用した『ハイブリッドランニング』の話を聞いて、まさにこれだ、と思いました。パワースーツ コアベルトを取り入れるようになったのは長距離界に厚底シューズが浸透してきたことにあります。厚底シューズの特徴は地面反力をエネルギーリターンにすること。従来のシューズは着地の衝撃を緩衝するのがメインでしたが、今は推進力に変えることが求められています。それができないとスピードは出ないし、故障にもつながる。厚底シューズに対応できるフォーム、身体作りが必要な時代になっているんです」 [caption id="attachment_87852" align="alignnone" width="500"]
厚底シューズに対応するためのトレーニングとしてパワースーツコアベルトを活用した『ハイブリッドランニング』を導入した明大競走部の山本佑樹駅伝監督[/caption]
厚底シューズの登場で近年はタイムが大幅に短縮している。一方で、走りに変化が生じ、ケガや故障も増加中。厚底シューズが長距離ランナーに及ぼす影響は大きい。そのためトレーニング内容も変わりつつあり、近年は専門のストレングストレーナーを雇うチームも少なくない。しかし、予算や練習時間は限られている。そこで明大駅伝チームが注目したのがパワースーツ コアベルトだった。
パワースーツ コアベルトは腹部に装着するだけで、腹筋・脇腹・背筋下部にアプローチ。明大の選手たちはパワースーツ コアベルトをつけた状態で体幹を鍛えながら走る『ハイブリッドランニング』を実践しているのだ。「トレーナーに指導してもらう時は、その場に留まって行うメニューが大半です。でも、ハイブリッドランニングは走りながら体幹部分を意識できる。速いペースのメニューは本能的に走るので、今はジョグの時を中心にパワースーツ コアベルトを活用しています。実際に走っている時にコアを意識できますし、ベルトをしていない時でも、その感覚が残っている。選手たちの走りが良くなっているので、長期的に活用していく予定です」と山本監督は話す。
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新春の学生駅伝で上位争いを目指す明大駅伝チーム[/caption]
〝新時代のトレーニング〟に選手たちも変化を実感
実際にハイブリッドランニングを導入して、選手たちも走りに変化を感じているようだ。 1、2年時は故障が多く伸び悩んだという駅伝主将の小澤大輝(4年)はハイブリッドランニングを取り入れてからは、「体幹が鍛えられて腰の位置が高くなり、バランスの良いフォームを意識することで故障で離脱することもなく、練習が継続できるようになりました」と従来との違いを口にした。 [caption id="attachment_87854" align="alignnone" width="500"]
ハイブリッドランニングを取り入れてから「バランスの良いフォームを意識することで故障で離脱することもなく、練習が継続できるようになりました」と話す駅伝主将の小澤[/caption]
さらに、「授業などがあるため練習は限られた時間内でするしかありません。そのなかで体幹を鍛えながらランニングできるのは、すごく効率的で非常に助かっています」と話す。そして、正月決戦に向けて熱い言葉を吐いた。「10月の予選会はトップ通過を目指しての2位。シード権獲得を狙っていた全日本大学駅伝はあと一歩届かぬ9位でした。2レース続けて悔しさを感じています。新春の駅伝ではシード権を確実に獲得したいですね。崩れない走りができることが自分の持ち味ですけど、最後は飛び抜けた結果を残したい」
小澤とともに今季チームを引っ張ってきたエース格の富田峻平(4年)と児玉真輝(3年)もパワースーツ コアベルトを活用したハイブリッドランニングを積極的に取り入れている。
5月の関東インカレで1部5000mと10000mでダブル入賞、10月の予選会でチームトップを飾った富田は、「体幹強化は厚底シューズに対応するのに必要だと思うので、特にレース前はトランクカール、バックエクステンションなど体幹の補強を多く入れてきました」と言う。最近はパワースーツ コアベルトを活用しており、「最初に思ったのは予想以上に腹筋、背筋などに刺激があったことです。ちょっとびっくりしましたね。腹筋あたりに疲労感というか、刺激が入った感じがします。装着するだけで体幹や姿勢に意識が向けられることは本当に魅力的だと思います」と新たなギアの可能性を感じている。
関東インカレの1部10000mで4位、全日本大学駅伝は超高速レースとなった2区で区間4位と活躍した児玉は、「自分は上半身が硬いので、上半身をもっとうまく使えるようになれば速くなる、と短距離コーチから言われています。今季は専門のトレーナーに指導していただき、上半身の柔軟性を高めることに取り組んできました。また、厚底シューズに対応するために臀部とハムストリングスを強化すると同時に、走行時にしっかり使えるように意識してきました。今では、パワースーツ コアベルトを活用して、体幹を鍛えて、厚底シューズ対策をしています」と話している。
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明大競走部ではパワースーツ コアベルトがトレーナー代わりになって選手たちのコンディションを整えている[/caption]
パワースーツ コアベルトで〝走り〟が変わりつつある明大の選手たち。正月決戦に向けてどんな戦いを見せるのか。「目標のシード権獲得に向けては、まずはこの数年うまくいっていない往路が大切になってきます。富田、児玉、小澤、櫛田佳希(4年)を中心に調子のいい選手を並べるのがベストかなと思っています。一方、復路は3年連続で10位以内を確保していますし、総合力では負けない自信がある。とにかく自分たちの力を発揮して各区間10位以内でつないでいくのがポイントです。絶対的なエースはいないので、チーム全体で戦いたい」(山本監督)
古豪・明大がパワースーツ コアベルトを活用したハイブリッドランニングを導入し、再び学生駅伝の主役になる日が近づいている。
文/酒井政人、撮影/船越陽一郎
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