HOME 国内、大学

2022.09.10

再出発のレースを制した不破聖衣来「世界陸上代表に入れるよう練習積みたい」/日本IC
再出発のレースを制した不破聖衣来「世界陸上代表に入れるよう練習積みたい」/日本IC


◇日本インカレ(京都・たけびしスタジアム京都:西京極)1日目

女子10000mは、7300m過ぎに集団から抜け出した不破聖衣来(拓大)が、そのまま逃げ切って、32分55秒31で頂点に立った。

昨年12月、自身初の10000mのレースでいきなり日本歴代2位となる30分45秒21の好タイムを叩き出した不破。オレゴン世界選手権の参加標準記録(31分25秒00)をも突破し、今シーズンの活躍が期待された。

広告の下にコンテンツが続きます

だが、1月の全国都道府県対抗女子駅伝の後、右アキレス腱の周囲に炎症を起こし、5月の日本選手権10000mを欠場。オレゴンへの道が閉ざされた。

今大会は4月中旬の日本学生個人選手権以来、約5ヵ月ぶりのレース。だが、決して順調ではなかった。故障は治って、練習を再開していたものの、8月に貧血の症状が出て、今大会に向けて一度もスピード練習を積めなかったという。

そのため、スピードが速くなる5000mではなく、よりゆったりとしたペースが刻める10000mを復帰初戦に選んだ。「直前まで棄権(欠場)も考えましたが、無理せずに最後まで走り切ることを目標にレースに挑みました」。

コンディション的には「4割程度だった」が、序盤から先頭に立って、集団を牽引。中盤では6~7人いる先頭集団の後方に下がり、その集団からこぼれ落ちそうな場面もあった。しかし、残り6周。「これまで支えてくださった人たちの顔が脳裏に浮かび、脚が自然と前に出ました」と、そこで前に出る予定はなかったものの、トップに立つ。それまでの1周80秒前後のラップを77秒あたりまで引き上げた。

「実はあの場面が一番きつかったです」と振り返るが、後続を徐々に引き離してトップでフィニッシュ。これで1年生優勝した前回の5000mに続き、2年連続でタイトルを手にし、「優勝して恩返しがしたかったのでうれしいです」。その目には光るものがあった。

「スタート前はちょっと不安もありましたが、それでも最初から最後まで楽しんで走ることができました」と不破。この後は、「来年の世界選手権の代表に入れるようしっかり練習を積んでいきたい」と抱負を語った。来夏、ブダペスト行きの切符をつかむため、これからの駅伝シーズンや、トラックレースで弾みとなる走りが見られるか――。19歳の再挑戦に再び注目が集まる。

文/花木 雫

◇日本インカレ(京都・たけびしスタジアム京都:西京極)1日目 女子10000mは、7300m過ぎに集団から抜け出した不破聖衣来(拓大)が、そのまま逃げ切って、32分55秒31で頂点に立った。 昨年12月、自身初の10000mのレースでいきなり日本歴代2位となる30分45秒21の好タイムを叩き出した不破。オレゴン世界選手権の参加標準記録(31分25秒00)をも突破し、今シーズンの活躍が期待された。 だが、1月の全国都道府県対抗女子駅伝の後、右アキレス腱の周囲に炎症を起こし、5月の日本選手権10000mを欠場。オレゴンへの道が閉ざされた。 今大会は4月中旬の日本学生個人選手権以来、約5ヵ月ぶりのレース。だが、決して順調ではなかった。故障は治って、練習を再開していたものの、8月に貧血の症状が出て、今大会に向けて一度もスピード練習を積めなかったという。 そのため、スピードが速くなる5000mではなく、よりゆったりとしたペースが刻める10000mを復帰初戦に選んだ。「直前まで棄権(欠場)も考えましたが、無理せずに最後まで走り切ることを目標にレースに挑みました」。 コンディション的には「4割程度だった」が、序盤から先頭に立って、集団を牽引。中盤では6~7人いる先頭集団の後方に下がり、その集団からこぼれ落ちそうな場面もあった。しかし、残り6周。「これまで支えてくださった人たちの顔が脳裏に浮かび、脚が自然と前に出ました」と、そこで前に出る予定はなかったものの、トップに立つ。それまでの1周80秒前後のラップを77秒あたりまで引き上げた。 「実はあの場面が一番きつかったです」と振り返るが、後続を徐々に引き離してトップでフィニッシュ。これで1年生優勝した前回の5000mに続き、2年連続でタイトルを手にし、「優勝して恩返しがしたかったのでうれしいです」。その目には光るものがあった。 「スタート前はちょっと不安もありましたが、それでも最初から最後まで楽しんで走ることができました」と不破。この後は、「来年の世界選手権の代表に入れるようしっかり練習を積んでいきたい」と抱負を語った。来夏、ブダペスト行きの切符をつかむため、これからの駅伝シーズンや、トラックレースで弾みとなる走りが見られるか――。19歳の再挑戦に再び注目が集まる。 文/花木 雫

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.20

旭化成のエマニエル・キプルトに出場停止処分 世界陸連が発表

世界陸連(WA)は12月19日、旭化成に所属するエマニエル・キプルト(ケニア)に対して、出場停止処分を科したと発表した。 処分理由の詳細について、WAは明らかにしていないが、「アスリート代理人規則に基づく異議申し立てを受 […]

NEWS 東京世界陸上代表・小池祐貴と中島ひとみが人気番組「逃走中」に参戦! 自慢のスプリントで逃げ切りなるか

2025.12.20

東京世界陸上代表・小池祐貴と中島ひとみが人気番組「逃走中」に参戦! 自慢のスプリントで逃げ切りなるか

東京世界選手権代表で男子短距離の小池祐貴(住友電工)と女子100mハードルの中島ひとみ(長谷川体育施設)が、フジテレビの人気番組「逃走中」に出演することが発表された。 小池は19年に100mで9秒98をマーク。今季は5月 […]

NEWS 川口桃佳が自己記録に迫る5000m15分26秒59 3年ぶりの15分30秒切り/日体大女子長距離競技会

2025.12.20

川口桃佳が自己記録に迫る5000m15分26秒59 3年ぶりの15分30秒切り/日体大女子長距離競技会

12月20日、神奈川県横浜市の日体大健志台陸上競技場で第26回日体大女子長距離競技会が行われ、5000m4組では川口桃佳(ユニクロ)が15分26秒59で1着となった。 川口は11月のクイーンズ駅伝で、1区を務め5位と好走 […]

NEWS 箱根駅伝Stories/日大・山口彰太「万全の状態で本戦を」 2度目の舞台は往路で勝負

2025.12.20

箱根駅伝Stories/日大・山口彰太「万全の状態で本戦を」 2度目の舞台は往路で勝負

新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 1年目はケガや長期離脱 「こうすれば良かった、という後悔が一切ない走 […]

NEWS 箱根駅伝Stories/最後のエース区間へ意欲を燃やす神奈川大・宮本陽叶 あこがれのOBに「やっと記録で追いつけた」

2025.12.20

箱根駅伝Stories/最後のエース区間へ意欲を燃やす神奈川大・宮本陽叶 あこがれのOBに「やっと記録で追いつけた」

新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 エース区間で苦戦も悲観せず 神奈川大のエース・宮本陽叶(4年)が最後 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top